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進撃の巨人が好き。 YouTubeもやってます。 https://www.youtube.com/channel/UCywUchVwGQLdgEUpZbEMCSQ

最近の記事

【アニメ】『スキップとローファー(3話)』偏見を乗り越えて勇気を出す話

『スキップとローファー』アニメ3話の話。 久留米誠(くるめまこと)が「自分の思い込みから解放されて、恐怖を乗り越えて、他者の世界に入るエピソード」が、凄い好き。 何がこんなに自分の感情を動かしたのか、作品を読み解いてみる。 久留米の「偏見と思い込み」流れとしては以下の通り。省略のために、久留米誠(K)、岩倉美津未(M)、村重結月(Y)とする。 ①生徒会室前で、Kの「MとYに対する偏見」が明らかに ②Mの強引な行動でKはカフェに来る ③Kは「Mの新たな一面(怖くない

    • 【読み切り】『(たぶんきっとおそらく)(でも責任はとれないから)』漫画ならではの凄い表現

      日本人ならたぶんきっとおそらく一度は思ったことがあるはずの話。 自分自身も当てはまるし、他の人もそうかもしれないんですけど、できるだけ曖昧に言うことで責任を回避したくなるような気がする。 …というような「表現」についての話。 「責任逃れの枕言葉」を使うことが誠実さの現れ。そんな風に自分も思っていた節がある。確信もないのに言い切るのは良くない。断言することで他者を支配することは恐ろしい、と。 しかし「根拠に基づく正しい情報」と「個人の考える意見」は別物だ。前者は正解があ

      • 【読み切り】『さよならミュージアム』世界の捉え方の歪みと美しさ

        自分を守るための「世界の捉え方」というものが誰しもある。 この物語の主人公にとっては「横顔こそが真の美しさ」という考えがそれに当たる。 社会と違う「私が考える正しさ」的なものは、自分を崇高なものに感じさせてくれる。自己肯定の言い訳にもなる。 それ自体が悪いわけではないし、人それぞれの価値観は多様だ。 しかし、そのきっかけが自分の弱さである場合、その「正しさ」は自分を袋小路に追い詰める。 直面できない「他者」は、自分にとっては暗く映る。 自分の正しさを守るために、世

        • 【読み切り】『鹿野くんって美味しそうだね』防衛本能としてのデフォルメ

          「狩谷」という名前からして、狩人を想起させる。フリフリの吹き出しと、重すぎる愛の描写で1ページ目から面白いのが伝わる。 信頼できない語り手と、「食べたい」という目標設定がされたことで、生まれるサスペンス。猟奇的だけど、主人公のコンプレックスやトラウマのおかげで「可哀想」となって、感情移入が誘発される。塩梅がうまい…。 最初の鏡ごしの鹿野くんや、鹿のイラストへの友人のツッコミなど、最初から伏線がある。作者もあまり隠す気は無いと思うし、気づいたとしても「この主人公何するんだ?

        【アニメ】『スキップとローファー(3話)』偏見を乗り越えて勇気を出す話

        • 【読み切り】『(たぶんきっとおそらく)(でも責任はとれないから)』漫画ならではの凄い表現

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        • 進撃の巨人関連まとめ
          4本

        記事

          【読み切り】「立花は神様」責任を持つ辛さ

          最近の読み切りはレベルが高い作品ばかり…。『最終兵器彼女』的な、世界のために戦う少女と、それを応援する男の子の話。以下、好きだったところ。 感謝をしない市民のために頑張ることの酷さ力を持ったヒーローが、市民のために、自分を犠牲にして戦う話では、感謝の有無が重要だ。感謝してくれる善良な市民がいる(これを善良とみなすかはさておき)。その一方で、感謝をしないで自分の都合を押し付ける醜悪な市民もいる。 エンタメでたまに出てくる、こういった配慮のない第三者を見ると、自分の感情が動く

          【読み切り】「立花は神様」責任を持つ辛さ

          【読み切り】『美術部の上村が死んだ』無駄という心の鎧

          三崎しずか先生の作品、すごく好みです。「あの部屋の幽霊さんへ」が素晴らしかった。 他の読切作品も気になったので読みました。良かったので、感想です。 美術部の上村が死んだタイトルの通り、美術の上村が死んだところから始まり、すぐに「生き返る」裏切り。「Aである」→「Aではない」という反転のスピーディーさは、見ていて爽快感がある。 ナレーションのバランス、配置が優れているんだと思う。目で追いたくなる流れが心地よい。序盤の数ページで「なぜ死んだのに復活?」「無駄とは何か?」「な

          【読み切り】『美術部の上村が死んだ』無駄という心の鎧

          【読み切り】『あの部屋の幽霊さんへ』の時間経過の感動

          無料で読める読切なので先に読んでくださいませ。 かなり好みの作品だったけど、感想を言語化するのが難しい。 ①時間経過がもたらす感動本作の冒頭は「どれくらい時が経ったのだろうか?」から始まる。そして、一人の人間の生から死に影響されて、主人公の物語も終わりを告げる。 「長大な一人の人生もの」という感動の類型に私は弱い。一人の人間の一生、ある文明の繁栄と衰退。始まりから終わりまでの時間が、数十ページという短さに詰め込まれて、高密度な情報(物語)が生まれる。受け止めて、展開すると

          【読み切り】『あの部屋の幽霊さんへ』の時間経過の感動

          【漫画】『ハイパーインフレーション』で描かれる他者理解

          連載をずっと追っていた作品『ハイパーインフレーション』が面白かったので感想です。 主人公ルークの成長主人公ルークは、一方的に虐げられる側の立場。偽札を作れる特殊能力はあるものの、それをうまく使えなければ意味がない。聡い彼は、能力の利点と弱点を瞬時に理解して、相手を騙していく。 しかし、物語序盤にして、超えるべき2人の壁(ライバル)が早速出てくる。1話表紙にもいる官僚と商人である。 この二人はルークよりも年上で、お金と人と思惑とすべてが渦巻く取引に長けている。経験の好循環

          【漫画】『ハイパーインフレーション』で描かれる他者理解

          【映画】『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』ヒーローの力と責任

          面白かった。ネタバレを避けつつ感想。 スパイダーマンシリーズの「力と責任論」スパイダーマンというヒーローは、まさに「隣人」。 お金持ちお坊ちゃんのバットマンでもないし、人間性をあまり感じないキャプテン・アメリカでもないし、金持ちイケメン天才のアイアンマンでもない。ただ学生生活を送り、普通の日々を過ごし、何かに憧れているだけの少年。だからこそ、一番感情移入しやすい。 スパイダーマンシリーズを通して語られるのは「誰かを、助けなさい」。その考えに対する強度を描く物語だ。「それで

          【映画】『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』ヒーローの力と責任

          ヒグチアイ「悪魔の子」の私的解釈メモ

          敵は殺しても良いし、悪魔は同じ人間ではない。 そう思った時、自分の中のリミッターが外れる音がした。 都合の良い嘘は、冷えていく体温で暴かれる。 過去の自分が死んでしまうのが怖かった。 世界は容易に線引きをする。こちらとあちら。 見えない壁で日常は区切られ、自由を奪う。 自覚すら出来ない不自由が、時折、顔を出す。 いっそ受け入れてしまえば平穏は続く。 抵抗する選択肢を、自分はまだ持っている。 心の中の自由は誰にも触らせない。 どれだけ傷つこうと、何を犠牲にしようとも、進み続

          ヒグチアイ「悪魔の子」の私的解釈メモ

          ハードモードな「進撃の巨人」とイージーモードな「なろう系」

          ゲームには、普通にプレイするノーマルモード以外にも、敵が強くなるハードモードや、逆に弱くなるイージーモードがある。 人生も同じだ。 明らかに生まれながらに成功を約束されたようなイージーな人生と、こんな逆境でどうやって生きていけばいいんだよ…みたいなハードな状況がある。 もちろん、イージーに見える人生も、その人にしかわからない、「持てる者」の苦労もあるだろう。 つまるところ、多くの人が「自分の人生はハードモードだ」と思って生きている。 自分は平均以上に賢いと考えたり、良いド

          ハードモードな「進撃の巨人」とイージーモードな「なろう系」

          【進撃の巨人】29巻を読み返した感想

          進撃の巨人アニメファイナルシーズンpart2が始まるということで、進撃の巨人29巻「断罪」から読み返した感想メモです。 最終話までのネタバレがあるので、アニメ派の人はご注意ください 進撃の巨人29巻117話「断罪」ライナーのエレンに対する発言「これ以上誰も苦しめなくていい、これ以上苦しまなくていい」は彼の気持ちでもある。 エレンを苦しみから救うために「終わりにしてあげよう」としていた。それはある意味自分も望むことでもあることが、過去のエレンとの対話からわかる。 エレン

          【進撃の巨人】29巻を読み返した感想

          解説と考察の「罪と罰」

          2019年10月から「進撃の巨人」の感想をYoutubeで何百本も語ってきている。何度読んでも違ったところに発見がある。こういう作品を強度があるというのだろう。 ※あと10年は忘れられないと思う@エレン 難しい話を解説という体をとり、つなぎ合わせ、解釈を挟むことで、人々の理解に多少は貢献できたかなと思う。 さらには、考察という形で、見落としがちなところに着眼し、感性で受け取っていたところを言語化したりもした。これは個人的にも楽しい作業である。 「なんとなく読んでいたけど、

          解説と考察の「罪と罰」

          【読み切り】2021年の面白い漫画10選

          こんにちは、タキです。 今年は読み切り漫画を100作以上読んだと思います。その中でも個人的に好きだった作品を感想付きで紹介します。 ■霊掃業の洗井くん(静脈/肥田野健太郎)最初の4ページで既にピンチ。早くて楽しい。敵の造形が良い。人間の原型から崩れず歪んでいることが、奇妙さを出していて怖い。幽霊だけじゃなく、人間も怖い。殺人しながらも日常を送る一線を越えてしまった人間たちは、どこかで社会の規範よりも、マイルールを優先してしまった人間なのだと思う。それ故の圧。一方的なコミュ

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          【映画】『第9地区』と無自覚で罪悪感のない加害行為

          #ネタバレ 映画『第9地区』を観ました。 エイリアンが地球にやってきて数十年。主人公の会社員ヴィカスは、エイリアンたちの住む「第9地区」に立ち退き命令に向かう。とあるアクシデントから、その生活は脅かされて…という話。 ■共感できない主人公ヴィカス第9地区では主人公ヴィカスに感情移入できないまま、物語が進む。この扱いが良かったです。 ヴィカスは、社長である義父(妻の父親)のおかげで、大事な仕事のポジションを任されます。決して自身の力で勝ち取った立場ではありません。 エ

          【映画】『第9地区』と無自覚で罪悪感のない加害行為

          【漫画】進撃の巨人と自由

          自由を求めることは無条件で肯定されるべきか? 「進撃の巨人」という作品を読むと、そんな風に思わされます。 「人は生まれたときから自由だ」は本当か?主人公エレンは何度も語ります。 「人は生まれたときから自由だ」と。 しかし、これはある種エレンの願望であり、物語内では「壁の外に巨人がいるので外に自由に出られない」という問題があります。 人々はその「不自由」を受け入れ、自由の獲得よりも、平凡な毎日を選びます。その姿はエレンから見ると「家畜」であり「奴隷」。 10代を田舎

          【漫画】進撃の巨人と自由