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20年ほど前、ある業界の重鎮「カリスマ」とサシで話す機会があった。

20年ほど前、ある業界の重鎮「カリスマ」とサシで話す機会があった。
このカリスマの家にはプールもあり、国会議員や首相も来るような、某国の情報機関とのコネクションもあるという噂さえあった、そんな凄いカリスマだ。

カリスマとはロサンゼルスでの7、8人のの会食などではご一緒したことはあったがサシで話したのは、初めてになる。

まぁ、サシで話した、というより「呼び出し」を喰らったのだ。
このオーナーカリスマが一代で創った上場企業Aと僕が一課長を拝命していた企業Bなどが、合弁で子会社Cに出資していた。

僕はこのカリスマの経営する会社Aが子会社Cに提供するサービスや資材を相場の3倍近い高値で売りつけている「公然の秘密」を知り、現場同士でA社に改善つまり値下げをお願いしていたのだ。

そこで「呼び出し」だ。

赤坂のA社の会長室に午後7時に呼び出された腹ペコな僕は色んな絵画の飾られる会長室前の廊下でボーッと待っていた。

待っていて10分ほど経ち、ようやく会長室に入るとカリスマは居た。

カリスマ「あ、瀧川さん、どうぞお掛けください。何か飲みますか。ウイスキー🥃などいかがですか?」といつもの丁寧語で聞かれる。必ずいつでも丁寧語だ。
僕「あ、はい。いただきます。」
そして運ばれて来るストレートウイスキー🥃🥃2杯。

カリスマとウイスキー🥃🥃を飲みながら話す。

カリスマ「瀧川さん、私の仕事の生い立ちはご存知ですか?」
「実は存じ上げません。」と素直に応えると、美少年宝石商、美少年バーテンダーなどから、G慶太との付き合い、A慶太劇団の俳優を使った海外ドラマ映画の吹き替えビジネスの展開、社名の由来、など40分以上もお話を聞いた。
非常に面白い戦後日本の業界の成り立ちを含めたカリスマとA社の歴史をお聞きできた。

しばらくすると
「何か子会社Cで問題でもありましたか」との問いがあった。
僕は素直にA社が子会社Cに請求している金額が相場の三倍近いなので、改善して欲しいとお話しした。そして子会社Cの社長も兼任しているカリスマに「子会社Cの社長としてご出勤されている際にはC社の事を優先して考えて欲しい」という趣旨の話をした。

カリスマは直接には答えることはせずに会長室の内線電話を取ると「◯君はいるかな?」と息子さんでA社の役員でもある◯君を呼び出し、すぐに◯君は会長室に姿を現し、三人でストレートウイスキー🥃🥃🥃を飲むことになったが、後はバカ話に終始して、僕の意見への応答は無かった。

夜9時頃に解放された僕は
空きっ腹にストレートウイスキー🥃🥃🥃を何杯か飲んだので、一人で吉野家で牛丼を食べて帰った。嬉しい話だったらカリスマと◯君と美味しいフレンチでもご馳走になったのかな?

翌朝、出社すると部長から「お前、カリスマに何か言った?」と聞かれたので経緯を話した。部長は笑いながら「カリスマ、割と怒ってたよ」と教えてくれた。

あとでこの話を某民放の幹部の方にお話ししたら「会長室とかに、すごい名画が飾ってなかった?」と聞かれたので、「何枚か見たことがある絵がありましたけどら特に話題にしませんでした」と応えたら「その絵画は勿論、レプリカなので知ったかぶりして褒めるとカリスマに馬鹿にされるから、褒めなくて良かったね」と笑われた。

それから何年もカリスマとはお近くで仕事をしたが、言葉を交わすことは無かった。

戦後を創った一人のカリスマだったけれど、親しくお話しできたのはあれが最後だった。

子会社との取引条件はすぐには変わらなかったけれど、だいぶ経ってから少し改善したと僕が担当で無くなってから、聞いた。

あれから20年も経ち、
そのカリスマもお亡くなりになり、A社は子会社Cの株式を売却してしまった。

合掌

そんな事を昨日のように思い出した「#フクロウと呼ばれた男」を5話まで観た。最後まで観るつもりだ。




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