2017年秋冬ひとこと観劇録

*2017年年末に書いていたものを今更ながらお焚き上げ。

九月からこっち、忙しさにかまけて記録を怠っていましたが、引き続き色々な歌舞伎を観ました。今更過ぎて公開するのもお恥ずかしいですが、常に全ては語られるべきであるという信念の元に遺しておく。

九月ー谷口裕和の会

九月歌舞伎座については以前書きましたので割愛。今回は市川團子さん、市川中車さんの息子さんが越後獅子を踊られるということで、国立へ。

越後獅子の前になんと、中車さんの藤娘がありまして、この時点で会場は大盛り上がりです。あんなに沸き立つ藤娘なんてかつてあったかしら?ご本人も口の端を曲げて、若干苦笑気味に踊っていらしたように見受けました。

そして團子さん!あのお年頃に特有の透明感、無敵感を携えて、きっちりと綺麗に正しい越後獅子を踊られました。彼はとってもクリーンな感じがしていいですね。純朴そうというか。あたりにマイナスイオンを振りまいていかれたよう。これからもたくさん金太郎さんと共演してほしいなあ。

十月ー国立劇場

こちらは打って変わって大人の色気、仁左衛門さんの霊験亀山鉾です。これまでは黙阿弥ばっかり観ていた私ですが、この作品で鶴屋南北のどろどろ感にはまりました。園子温の映画かと思うくらい残酷に、あっさりと、がんがん人が死んでいく。壮絶。

悪の華たる仁左衛門さんが素敵で、殺されたい男ナンバーワンだな…と確信。演出も、火葬場や棺桶などケのオーラ全開で見ごたえがありました。棺桶を取り違える場面でちゃんと笑わせてくるところはさすが。

十一月ー歌舞伎座・国立劇場

この月は仁左衛門さんも金太郎さんも出演されるということで大変な月でした。私は霊験亀山鉾の水右衛門よりも、色男っぷりが存分に発揮されている今回の勘平が好き。二枚目なのに悲運の最期を遂げる、性と死の組み合わせが本当にお似合いだなと思うのです。

また、『大石最後の一日』では金太郎さんを凝視していました。まだ中学生なのに背が高く、手が既に男のひとのそれ。美少年美少年といろいろなメディアで取りざたされるようになりましたが、本当に今後が楽しみですね。声変わり中なのか少し声を出しづらそうにされていたのが気になりました。素敵な殿方になっていくんだろうな。

あと扇雀さんの梅川がほんとうに色っぽくて素敵でした、これは心中もしたくなりますわ…。

十二月ー顔見世(京都)・歌舞伎座

仁左衛門さんの二人椀久を観に京都へ。本当は松山の方が儚いはずなのに、椀久さんが儚くて儚くて…。二人椀久は後半の音楽がとても好きなので、熱っぽく観てしまいました。

また、夜の部では文七元結を観たのですが、前月の扇雀さんと同一人物と思えないくらい正反対のエネルギッシュなおかみさん・お兼にすべて持っていかれました。笑いあり涙あり、これぞ世話物!という台詞量とスピード感、菊五郎さんの文七を観てみたいなあ。

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