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メタリカから学ぶクオリティの高い仕事をする方法

先日、メタリカの映画を見た。セイント・アンガーというアルバムを仕上げていくメンバーの姿をなかなか結構赤裸々に収録した「真実の瞬間」というドキュメンタリー映画だ。

正直、日本でメタリカはそんなに浸透していないけれども、メタリカは間違いなく世界一売れたメタルバンド。1983年にデビューしてから今でも現役で活動していて、2019年時点でアルバムの総売上推定枚数は1億2000万枚。意味がわからんくらいに、成功をしているメタルバンドな訳です。

そんな彼らが新しいアルバムを制作するドキュメンタリーって考えると、まぁジャムセッションしたりアレンジのぶつかり合いだったり、作曲や作詞の苦悩が写ってるのかなぁなんて想像をすると思うんですけれども、基本的なテーマとしては「より良い作品のためにどれだけ自分のエゴを捨てられるか」という事だったりします。自分のわがままや自己顕示欲をどれだけ捨てて、より良い作品のためにどれだけ自分自身を、自分の感情をコントロールする事が出来るのかという姿が実に生生しく描写されているんですよね。ちゃんと最終的に作品として発表出来たからハッピーエンドでうまくまとまったけれども、マジでタイミングを誤ればバンドが空中分解して、新アルバムも映画も完成しなかった可能性も十二分にあったと思います。だから周りの関係者はもうヒヤヒヤだっただろうなぁ(笑)。

世界一売れたメタルバンドが新アルバムを作るドキュメンタリー。すんごく雑に平たくいっちゃうと、メンバー間の確執が最初はもう凄まじすぎて、めっちゃ喧嘩してんのよ(笑)。何ヶ月も音信不通になっちゃったり、新しく作ったスタジオなのにすぐにメンバーが来なくなったり。でもメンバー同士がお互いに「エゴを出すとうまくいかない」ってのはちゃんとわかってるんだけれども、やりようの無い感情が言葉に出ちゃって、売り言葉に買い言葉になっちゃって、結局衝突しちゃう、みたいな。まぁ細かいところは是非映画で見てみてください。

そんな感じでもちろん楽曲制作の場面や、作詞や作曲で悩む姿も収められてますが、「世界一のメタルバンドも人間なんだな」っていうのが本当に印象的で。「より良い作品のために、いかに自分のエゴを捨てられるか」ってさっき書いたけれども、ぶっちゃけコレってどんな仕事やどんな関係性や、どんな場面にも当てはまるだと思うんですよね。彼らが成功したのはもちろん才能や努力もあるけれども、そういったチームプレーの基本をちゃんと向き合った事も成功の大きな要因なんだろうな、と。

自分はこうしたい、けれども相手はああしたいと思っている。ここでうまく擦り合わせが出来ればいいけれども、相手を理解していたとしても譲れない思いだってある。「今宿題やろうと思ってたのに、パパが宿題やれっていうからやる気なくしたんだよ!!」子供もパパも別に悪い事をしたわけじゃなくて、ちょっと言葉がすれ違っただけなのに、意地になって突っぱねちゃう事なんて、割と大人になってもしょっちゅうあったりしますよね。

エゴってのは言い換えると「自分に良い様に物事、人をコントロールしたいという欲」とも取れると思うんです。そして自分が思い描いている範疇から外れると、あの人はどうだとか、裏切られたとか、期待ハズレとか言い始めちゃう。一番良い形が、自分と相手がどういう状態になったらより良くあれるのかを一緒に考える事だと本当はわかっているのに、それが出来ない、それと向き合えない、逃げ出してしまう、放置してしまう、意地を張ってしまう。これらをひっくるめて「エゴ」というのかなと。

よくある男女関係のすれ違い問題で「彼女の言うことをなんでも聞いていれば、それが大事にしているんだと勘違いしている故のすれ違い」ってのもありますよね。二人のあり方をちゃんと向き合って話し合って、自分の考えを出して、そうやって信頼関係を構築していく事が良い姿とわかっているのに、面倒になったり、諦めたりしちゃって、全部言うことを聞いておけばいいか、みたいになっちゃう。これも一つの「エゴ」の形かと思います。

娘が今2歳ですが、絶賛イヤイヤ期で歩くのに疲れるとところ構わず寝転り、起こそうものなら絶賛泣き叫びます。大人からすると「こんなところに寝転んで、わがまま言わないで!!」ですけれども、子供からすると「今のんびりゆっくりしてるんだから、わがまま言わないで!!」な訳で。

そう考えるとやっぱりこの「エゴ」という感情はあんまり良いものではなくて、正常な判断をする上で障害になる事がほとんどです。純粋に「わたしたちがどうあるべきなのか」を考える上では、無い方が何かとスムーズなんだろうなと。

ふと振り返ると、自分自身もまだまだそんなエゴの塊で、子供みたいな正義を身に付けて振り回してしまう事も多々あったりします。正論は正しいけれども、正しい事をぶつけるのは正義じゃない。「素直が一番」ってわかってるんだけれども、常に素直でいるのはなかなか難しい。でもいきなり完璧になるのは無理でも、少しずつ少しずつ、出来るようになって、大人になっていくんだろうなぁ、なんて。もうすぐ39にもなりますが(笑)。

世の中いろんな考え方、価値観があるけれども、わたしの場合、わたしのこういった考え方を煮詰めていくと、いつも結局のところ仏教にたどり着くんですよね(笑)。一切皆苦、諸行無常、諸法無我、涅槃寂静ってのがありまして、なんかわたしが感じている事、考えている事がそのまま仏教に乗ってるやんけ、みたいな。世の中の優れたリーダーが仏教や禅に興味を示すなんていう話をよく聞きますが、なんかそれも凄くわかるような気がします。仏教とわたし、めちゃくちゃ気が合います。今後も、よりクオリティの高い仕事、質の高い何かを生み出すために、「エゴ」としっかり向き合っていこうとメタリカの映画を見て思いました。

メタリカの事をよく知らなくても、普通にヒューマンドラマとして面白いから、見たことなければ一度見てみる事をおすすめいたします。うほ。

おわり


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