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「読んでいて、つらい物語」を、それでも読んでしまうのはなぜか?/書かないよりは、まし。19

先日、ある著者の方(仮にAさんとする)と飲んでいて、ウェブ漫画の『左ききのエレン』の話になった。
以前、「面白いですよ」と『エレン』をAさんにおすすめして、その後、読んでくれたのだ。
ただ、登場人物と同じ業界で働いている彼からすると、あまりにリアルで、途中で読み進めるのがつらくなったという。
なるほど、僕は登場人物とはすこし違う業界の住人だけど、そのつらさ、胸がキューッとしめつけられる気持はよくわかる。
そこで、このnoteの見出しの問に至った。

「読んでいて、つらい物語」を、それでも読んでしまうのはなぜか?
そのときはうまく整理して話せなかったのだけど(今もうまく書けるとは限らないけど)、改めて考えた答えを以下に書く。

一言で言えば、僕にとって人生は「生きていて、つらい」ものだから。

さすがに、24時間365日まるまる「つらい」、なんてことは言わない。
それでも、何歳になっても、ある程度の間隔をあけて、いろいろなつらさが訪れる。
仕事でも、プライベートでも、自分が引き起こしたことも、急に巻き込まれたことも。

そんなつらさに心をぶん殴られたとき、僕は物語に助けを求める。
本でも漫画でも、紙でもウェブでも、かまわない。
つらくても、「負けられない」と思うからこそ、物語の中に自然と「戦友」を探している。
それが、僕にとって、この問の答え(の一つ)なんだと思う。

もちろん、人生にはしょうもないバカ話ができる友達だって、いたほうがいい。
そのときどきの気分で会う友達を選ぶように、いろいろな「友」を、いつも物語の中に探している。

『エレン』に出会ってから、それほど年数はたっていないけれど、何十年来の「戦友」だと、僕は勝手に思っている。

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