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愛憎芸 #37 『人生n章目前夜、短歌を始める時』

 世の中のカフェのBGMが全部Nujabesになったらいいのに。スターバックスにおりながら2000年代へタイムスリップ、ジャズ、R&Bに端を発するビートに癒され酔いしれる、こういう気分のことを酔いしれるというのだろう。しかも、比較的オールドスクールなラップが乗ってるじゃないですか。いやー、Nujabes、最高!まさしく自分の好きな音楽!——こんなこと書いてるけどNujabesを好きになったのはここ1ヶ月で、それまでは「こういうのが好きなんでしょ」と言われるのが嫌で聴くのを避けていたアーティストだった。しかし、先日大阪で友人と訪れたカフェで、流れてきた曲全部好きで片っ端からShazamしたらぜんぶNujabesだった。Nujabesしか流れないカフェだった。やはりほんとうに好きなものを誤魔化すことはできないし、そこから逃れることもできない。わたしはNujabesが好きだしなんならレコードも欲しい。絶対高そうだな……それでいいのである。

 愛憎芸の更新をずいぶんと飛ばした理由はふたつある。まず、言い訳でもなんでもなく文章は毎日書いている。以前より確実に書いている。下北沢のBONUS TRACKにある日記本の専門店「日記屋 月日」のワークショップに参加しており、毎日日記を書いている。3ヶ月間、限られたメンバーにのみ見せ合う日記をつけるというもので、ファシリテーターはエッセイストのPhaさん。どうなるかと思っていたが、なんだかんだで毎日1000字くらい書いてしまう。書き始めて2週間が経ったがここ2週間で書いた量は過去に比類のないものだ。

 出す場所があると満たされてしまう。愛憎芸みたいにテーマを決めるわけではない、日々の記録が日記。そこに書くという行為が明確にあるから満足しているのだろうか。取り組んでいて思うのは、日記とエッセイはジャンルが近いようで全く異なるかもしれないということ。どちらが土井善晴さんが昔星野源のオールナイトニッポンで言っていた「日々の楔」たりえるのかを考える。毎日行うという意味では日記が楔たり得るのだろうけど、意識的に楔を打つのはエッセイだよな、後から振り返ったときにあるもののクオリティは後者の方が勝るのかな。でも価値は同じくらいか日記が少し上かなやっぱ。思い出の価値は綺麗さだけにあらず。だってこんなにも、日々が文章と化している!(クローズドなのでいろいろ書けます)そんな感じで毎日日記を書いてまして、少なくとも「書いて発散!」のモードではないということです。

 もうひとつの理由は転職である、つい先日のこと。つまるところ、前職を辞めた。そして、以前書いていた通り経堂へ引っ越しをした。前の愛憎芸はいつだろうと思ったら11/3、1か月か。確かにこの1カ月は怒涛。引越しはたいへん。やたらホコリを吸い込んだせいか喉が弱くなり、風邪気味を2週間以上引きずり、入社日の挨拶もめっちゃハスキーボイスだったので、今のところそういう声の人だと思われている。人が鼻声であるかどうかを初対面で判別するのは難しいと思う。

 驚異的な暮らしの変化。もう仕事で車に乗ることはないみたいだ。つい先月までは水戸とか古河とか栃木とか、どこへでも一緒に行ってくれたフィットくんはもうわたしのものではないらしい(もとから会社のものだ)。日曜19時に思い立って下北沢へ行って、最寄りとなったユニクロに行き、その足でCity Country Cityに行って、21時に帰ってきた。職を変えて、家を変えて(というか、借りて)、閉塞しっぱなしだった人生が転がっていく。そりゃあまたどこかで行き止まりみたいなのは訪れるでしょうけど、とりあえず今の気分は常磐道。どこまでも走り続ける気がしたのは東北道でも関越道でもなく常磐道だった。一番海沿いだから?その答えを小菅JCTに置いてきました。

 そして、ふいに短歌を始めたいなとか思って、『起きられない朝のための短歌入門』を買って、ちまちま読んでいる。わたしには表現したい刹那が多すぎる。そしてそれらを、一部分ではなく主役にしたいという欲深さがある。堀切JCTを過ぎたあとの浮遊。東京をすべて手にした瞬間。東京に出てよかった、そういう風景をいちばん描写できるのはもしかすると57577なのかもしれない。やってみる。みる。

 根性。新しい日々を絶対に記録するしうやむやにはしない。もう人生何章目かわからない。もしかすると1シーズンが100話くらいあるヤバいドラマで、製作者がヤバさに気づいていないダメなパターンかもしれない。でもこれは明確でしょと地面ぐりぐり、そんな感じで念願の東京都への納税、はじめていこうとおもいます。



■MAGAZINE:BUTLOVESONLY

■記事:イチローも警鐘を鳴らした…「大人に叱ってもらえない」Z世代が直面する「やさしさという残酷」

 最近考えていること。「やさしさ」=好きにさせてあげること、ではないもののかといって過干渉すればそれはまた迷惑で…前職であまり働きたくない後輩をOJTしていたときこのことでずっと悩んでいて、この件の中庸についてなら今永遠に語れます。

■ベースボール・ユナイテッド(中東の新しい野球リーグ)

 野球の話ばっかりでごめんなさい。ただ、6ランホームランですよ、おもしろすぎるでしょ。なんでも「マネーボール打席」という、特定の打席に限り得点が倍になるという特別ルールがあるらしい。革命すぎる。注目していきたい。なんか、野球がようやく世界に伝播していきそうな感じ。

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