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退院できない問題


「患者さんが退院したいと思わないなら、病院での生活を整えればいい」という考え方より、これらの課題にどう立ち向かうのかを考えなければいけないと思っています。
(以上、引用)


精神看護の世界に足を踏み入れて感じたことのひとつに、退院をあきらめている人も、実は「あきらめさせられている」のではないか?という違和感。

それと同時に「医療とは治すのが前提では?」「病院は治す場所なのでは?」「治らなくていい病気などあっていいのだろうか?」と患者目線でそう思いました。

もちろんすべての人が同じようにあるべきとは思いません。
しかし、人は人に生まれた以上、その人らしい生き方、自分らしい生き方が、きっとあったはずです。

だから僕たちは患者様(利用者様)の「心の声」に耳を傾ける存在でありたいし、本心を聞き分ける心を持ち、あきらめなくても良いように、本人の望みに変えて生きる力に寄り添いたいと思ってます。

住まいがなくて退院できないなら住まいを探す。仕事がなくて退院できないなら一緒に考える。お金がないなら一緒につくり方貯め方を教える。

そんな存在でありたい。

病気や障害の治療に向きあうにも、現在と未来に困難や苦悩が存在している状態では、病気や障害の治療に向きあうことは難しいものです。

支援者としては、それらも一緒に取り除けないかを考える。
そうすることができれば、病気や障害の改善に向き合いやすくなり、治療の効果も大幅に改善すると信じていますが、退院をあきらめている状態は、患者様が現在と未来に希望が持てない状態。暮らしの中に困難や苦悩が存在している状態に見えてしまうのです。

日本は世界で最も精神病床数が多く、入院日数の世界一の国です。しかし多くの支援者は知っているはずです。
地域での受け入れ体制が整っていれば普通に暮らせる人がたくさんいることを。

精神看護に関わるすべての支援者は、この「退院できない問題」がこのままでいいのかを真剣に考える必要がある。

そんなふうに思います。

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