見出し画像

その背中

28歳の時に、ロシアに語学留学をした。留学をする前に旅行としてロシアを訪れて、ロシアはどんな国か、この目で見てみようと思った。その時の5月の、ウラジオストクはくもり。カメラには、モノクロフィルム。くもりの時の撮影は、強い光で被写体の情報が、飛ばないから好きだ。肌寒い町を防寒して、ひたすら歩き回った。ウラジオストクは坂の多い港町で、歩き回っていると足が疲れる。目の前のカフェに飛び込んで、熱いコーヒーを飲む。ウラジオストクは、人口あたりカフェ・レストランの軒数がロシアで一番多く、本当に足を止めると目の前にカフェがある。かじかんだ指先に、カップの温もりが伝わる。休憩後、再び歩き出し、あの丘へ。坂の途中の展望台、湾を見下ろし、景色がずいぶん良さそうだ。先客、地元の若者がおり、その背中の写真を撮った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?