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新規サービス「フィークル」が誕生するまでの軌跡

この記事は2018年8月17日に作成された記事です。
記事内に出てくる「フィークル」というサービスは現在終了しています。

こんにちは、UXデザイナー兼フィークルのプロダクトオーナーの八尾です。

私が2018年1月からプロダクトオーナーとして関わってきて、約4ヶ月ステルスでリリースしていたフィークルというサービスのプレスリリースがついに発表されました!!

1から関わってきた身として感慨深いものがあります(しみじみ)

そこで、今回はフィークルというサービスがいかにして生まれたのか、またそこから得た学びについて書いてみようと思います。

(ここでは根本の提供価値やコンセプトについての成り立ちにとどめ、具体的な体験の設計やUIの設計についてはまた後日とします。)

フィークルとは?

フィークルは、一言で言うと、「フリーランス・小規模事業主が抱える報酬の受け取りの不安をなくす請求代行サービス」です。

フリーランス・小規模事業者の方が、フィークルを通じて、請求情報の入力・入金の申し込みを行い、その申請にクライアントが同意すると、運営会社である株式会社クラウドワークスによって報酬が早期支払されます。

多くのフリーランスの方にとっての課題となっている報酬にまつわる不安を解決することで、より仕事に集中できるようにしたいという想いがこもったサービスです。

サービスは現在終了しています。

フィークルの成り立ち

1.きっかけと初期仮説の構築

フィークルはじめるそもそものきっかけは、アメリカの「Fundbox*1」というサービスでした。Fundboxは、スモールビジネスの資金繰りを改善するサービスです。このように、クラウドワークス社としてもフリーランスのお金にまつわる課題を解決できないかというアイデアから全ては始まりました。

当時の私たちは、クラウドワークスユーザーへのインタビューを一年以上続けているので、フリーランスのお金周りについての課題もぼんやりとはわかっている状態でした。

そこで、私たちは、過去のインタビューから着想を得て、「フリーランスになりたての状態では、仕事の不安定さや支払いサイトが原因でキャッシュフローに課題があるのではないか」という仮説をもってフリーランスの方へのヒアリングを進めました。

約10人のフリーランスへのインタビューの結果、やはり実態としてキャッシュフローの課題は存在しており、その根底の一つに、「支払いサイト(クライアントの締め日から実際にワーカーに報酬が渡るまでの期間)の不安定さ」があることがわかりました。

*その不安定さにはさらに深い理由がありましたがここでは割愛します。

2.スグフィー(sugufee)の誕生

インタビューの結果得られた「支払いサイトの不安定さ」を解決するために、ペルソナを作成し、6up-sketchesなどの手法を使ってサービスの提供価値、ユーザーのストーリーを設計しました。

そして、「仕事が終わるとすぐにお金はもらえるべきだよね」という想いの元、フィークルの原型となるスグフィーというサービスが生まれました。

スグフィーリリース!

2018年4月17日にスグフィーがリリースされました。

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スグフィーでは、

・そもそも本当に支払いサイトを短くするサービスにニーズはあるのか
・サービスを運営する上でのオペレーションコストはどの程度なのか
・貸し倒れリスクはどの程度あるのか

という問いに答えるためにリリースし、ステルスで運営をしていました。

初期仮説の構築からリリースまでが約4ヶ月というスピード感でした。

3.リリース後に見えた新たな可能性

リリース後は、会員登録したものの利用には至っていないユーザーや、複数回利用してくださったユーザー、非ユーザーなどあらゆる層のユーザーにヒアリングを継続的におこないました。

リリースし、マーケティングの類は一切せず、クラウドワークスグループのサービスを利用しているユーザーへのメルマガのみで告知をしましたが利用は右肩上がりでした。

そのような事実に加え、なぜ利用してくれるのか、本当に価値を感じているポイントは早期支払いなのか、をユーザーにインタビューをすることで明確化していきました。

多くのユーザーの話を聞くことを通じて、問いの一つであった、

「そもそも本当に支払いサイトを短くするサービスにニーズはあるのか」

については一定ニーズがあることがわかりました。
そして、同時に新たな可能性を見つけることができました。
それは、

フリーランスの方は仕事をしても実際にお金が支払われるまでは報酬が支払われない不安を抱えている

ということです。

フリーランスの方々はそのリスクに対して、「必ず対面で会ってから仕事を受ける」など、人それぞれの対処法でなんとかそのリスクを抑えようとしていることがわかりました。

そしてそのリスクを抑える手段としてスグフィーを利用している場合があるということもわかったのです。

4.フィークルの誕生

この新たな可能性に対して私たちは議論を重ね、市場性、課題のインパクトの大きさなどの観点から、報酬の受け取りに安心を届けるサービスにすることを決めました。

この意思決定をしたのがスグフィーリリースから約2ヶ月後のことでした。

解決する課題の変更に伴い、ブランドも刷新することを決め、サービス名、新ロゴ、デザインの変更に取り組み、ようやくフィークルが誕生しました。

そして、ついにフィークルリリース!

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そして2018年8月13日に報酬の受け取りにまつわる不安を解決するサービスとしてフィークルのプレスリリースが発表されました。

現在は、より本質的に不安を解決できるよう新たな体験を検討し、ユーザーに提供できるよう開発を進めております。同時にユーザーやフリーランスの方へのインタビューも常におこない続けています。


振り返りと得た学び

1.ユーザーに深く「共感」する

デザイン思考の文脈で、よくユーザーと共感するということが語られますが、その重要性を強く実感することができました。

ユーザーの行動を理解するだけでなく感情の共感まですることで、

ユーザー自身も気づいていない奥深くに眠る本当の課題に気づける
プロダクトの存在意義を強く持てる
という効果を私は実感しています。

2.大胆にスピーディに変える

これまでのものにこだわらず容赦無く変えることができるのも新規事業だからこそであり、やるべきことだなと感じました。不確実な要素が多いからこそ新たな可能性に前向きになり、どんどん変化させていくものだという認識をチーム全体で持つことの重要性を感じました。

スグフィー→フィークルの転換は、スグフィーリリース後2ヶ月足らずのことでしたが、変える意思決定をスピーディに行えたことで、それだけの時間を別の仮説の検証に当てることができています。

おわりに

いかがでしたか?フィークルの提供価値や解決する課題がどのような変遷を経て今に至るかについて書いてみました。次に執筆する機会にはより具体的なユーザー体験の設計などについても書いてみたいと思います。

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