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Bリーグ第34節宇都宮-アルバルク。極限状態で1点を争う痺れるゲーム

宇都宮の東地区優勝が懸かった今節は2ゲーム差で後を追うアルバルクが2連勝すれば首位が交代する天王山でもありました。
4/20(土)、4/21(日)の両日は宇都宮のホーム最終節ということもあり、多くの宇都宮ファンは真っ黄色に染まった日環アリーナ栃木でホームでの優勝セレモニーを期待していたのではないでしょうか。


しかしながら、結果は1勝1敗となりアルバルカーズとしては自力優勝はないものの、残り4試合に東地区優勝の望みを残せる結果となりました。

お互いに週3試合が続き、水曜ナイトゲームで宇都宮は仙台と、アルバルクは千葉Jとの接戦を戦い中2日のタフな状況です。またアルバルクはサイズをコンディション不良で欠くこととなり、その負担は第1ゲームに40分間出場するなどロシターに重くのしかかっていました。

この極限ともいえる状況で宇都宮の3P攻勢に善戦しながらも屈した第1ゲーム。そしてここからアジャストして勝利を掴み取った第2ゲーム。
今節の宇都宮戦を振り返りたいと思います。


第1ゲーム宇都宮の3P攻勢とチェンジングディフェンス

第1ゲームの宇都宮の3Pは第1Qから凄まじいものでした。
佐々HCも試合後「3Pを決め切ったのはでかかった」と言っています。


この日の宇都宮の3Pは14/27本、51.9%です。特にゲームの立ち上がりには遠藤、エドワーズ、比江島2本と4本の3Pをメイクされてしまします。
(第1Q残り6分35秒 4-14)

これで主導権を握られたアルバルクはジェレットの2本の3Pを加えて第1Qだけで6/9本の3Pをメイクされ、第1Qは19-27と8点のビハインドとなります。


ここから離されず持ち堪えた要因は翌日の戦略にも大きく寄与した2-3ゾーンからマッチアップに変化するチェンジングディフェンスでした。このディフェンスでマンツーマンと織り交ぜながら守り、宇都宮のリズムを変えることで宇都宮のシュートが外れはじめました。(第2Q宇都宮の3Pは1/6本)


第2Qに10点開いた差は徐々に詰まり、前半終了までに同点に持ってくることに成功しています。(前半終了42-42)

ここでオフェンスで躍動したのが心優しきリトアニアのビッグマン、グダイティスです。


トップでメインデルとのハンドオフに行くかと思いきや1on1でエドワーズを抜き去る。
(第2Q残り5分40秒 28-36)
エンドインからテーブスとのPnRからポストプレーで連続得点。
(第2Q残り5分 30-36)
トップで小酒部とのPnRからダイブして中央からワンハンドダンクでバスケットカウント。
(第2Q残り2分46秒 35-36)


第2QだけでグダイティスはFG5/5本、FT1/1本の11得点、リバウンド2本、トータルで22得点12リバウンドの活躍でした。 


目覚めた神様ニュービル、最終は接戦


第1ゲームの後半はニュービルの3Pが炸裂します。後半だけで3Pは5/6本です。「後半1本目3Pを入れることができてリズムに乗ってこれた」と本人がいうようにこの日24得点のうち3Pは5/9本です。後半だけですべての3Pを決めています。目覚めてしまったニュービルは止まりませんでした。



第4Qに入いるとニュービルのドライブ、3Pなどで引き離されて、アルバルクは残り7分13秒には61-71と一時10点のビハインドとなります。
それでもチェンジングディフェンスの発動やロシター、メインデルの3P、残り2分26秒の安藤のシューターセットなどの成功で74-77と3点差に迫ります。

残り2分を切った最終局面は1点を争う痺れる展開でした。


残り1分50秒 メインデルが右コーナーからジェレットを抜き去ってエンドワン(76-77)


そこから先は連戦の疲れからかショットが入りません。


残り1分48秒 メインデルのFTが落ちたところロシターがOR。しかしゴール下のジャンプショットは落とします。(76-77)


残り1分44秒 左コーナーの安藤が右ウイングに回り込みロシターのシールの背後で打つオープン3P。これも落ちる。


残り33秒   テーブスのミドルが外れロシターがOR。もう1回。


残り22秒   テーブスとロシターのPnRからポケットパス。ロシターのフローター。出ずっぱりで奮闘のロシターは思うように動けていない。これも入らない

残り15秒  まだあります。アルバルクはファウルに出て遠藤のFTは1本メイク。76ー78。2点差。


最後のタイムアウトを使ったアルバルクはサイドインからロシター→テーブスに預けます。
しかし遠藤は読んでいました。遠藤にべったり着かれたテーブスは中途半端な3Pとなり、残り2秒。万事休すです。


この5回のオフェンスチャンスを活かせなかったアルバルク(逆に宇都宮は良くぞ防ぎ切りました。)は最後ファウルゲームに出て76-80で宇都宮に敗れることになりました。



 しかし、試合後アドマイティスHCは「頭を下げてはいけない。頭をあげよう」と選手を鼓舞し、「最後まで諦めずにハートをフロアにすべて出し切ったことに関して、選手たちはよくやった。」と語り翌日の戦いに向かいました。


第2ゲーム宇都宮の3Pを抑えることに成功

第2ゲームは出だしから昨日の課題の答えをアリーナで表現します。


第1ゲームの敗因の一つである宇都宮の3Pシュートをコンテストして簡単に打たせないことを実践します。
この日の宇都宮の3Pは7/28本、成功率は25%です。昨日のメイク数14本を半減させて成功率も半減しています。一方で宇都宮もアルバルクの特徴である2Pのメイク数を21/45本46.7%から17/42本39.5%に減らすことに成功しています。


しかし、アルバルクはFTの獲得数(BREX4/7本、ALV12/20本)ファストブレイクポイント(BREX5点、ALV14点)で大きく上回りました。
またリバウンドの数ではほぼ互角といえますが(BREX14-27-41、ALV15-28-43)セカンドチャンスポイントに差があるので(BREX10点、ALV22点)リバウンドはアルバルクが上回った印象が残ります。


ゲームは第1Qはアルバルクが平岩のORセカンドチャンスの活躍もあり(第1Q残り2分34秒 20-8)18-0のランと走ります。


ディフェンスでは第1ゲームから使っている2-3ゾーンからマッチアップのチェンジングを多用して、3Pシチュエーションにはフィジカルにコンテストして宇都宮の3Pを第1Qは0/7本に抑え込み第1Qは20-11と9点差のリードを取りました。


しかし第2Qになると宇都宮が反攻に転じます。ニュービルの3P、ファストブレイクからニュービルのバスカンなどで点差を詰めます。(第2Q残り6分35秒24-22)



さらにゾーン対策を打っていきました。
宇都宮バックコート陣が広がってハイピックなどから入るとき、アルバルクの2-3ゾーンの形の真ん中のビッグマンがフリースローライン下まで吊り上がるので最初の宇都宮のアクションでアルバルクのディフェンスがマッチアップに移行するときゴール下ダンカースポットが空くようでした。


そこを狙われたのがオフィシャルタイム明けトップの比江島のワンピックからゴール下のジェレットに送られたアリウープダンクでした。(第2Q残り4分41秒 24-24)


その後一進一退を続けた前半は35-34と1点リードで後半に向かいます。
膠着状態を続けた第3Qはアルバルクがリードを保つもののジェレットの得点で1ポゼッションの差に詰められて最終クオーターに入ります。

周人タイムからディフェンスの集中力


第4Qに入ってすぐにエドワーズのORからセカンドチャンスを決められて1点差となります。
(第4Q残り9分41秒 51-50)


安藤とグダイティスのPnR からグダイティスの得点で離すもすぐに遠藤の3Pで同点とされます。(残り7分41秒 53-53)



拮抗した場面で頼りになったのは安藤の連続3Pです。



残り7分4秒 安藤この日4本目の3P
グダイティスのORから→左ウィングの橋本→右トップ安藤にわたって3Pメイクです。(53-56)


残り6分40秒
比江島とジェレットのPnR でジェレットのジャンプショットで再度1点差(56-55)


残り6分24秒
トップの橋本が左トップに上がったグダイティスにパス。
左コーナーの安藤が左ミドルポストの吉井のスクリーンを使って上がります。グダイティスとハンドオフ。リピックして左ウィングから安藤5本目の3Pが決まります。(残り6分21秒59-55)


4点リードを奪ったアルバルクはここから高い集中力をもってディフェンスをして宇都宮に3Pを打たせません。さらに残り2分48秒にはロシターのフローターが入って62-55(7点差)になります。


ただし残り2分48秒
中央突破のニュービルからのキックアウトに左コーナーで待っていたのは竹内公輔。3Pを決められて62-58。4点差です。まだわからない。


焦らされましたがメインデルのミドル、グダイティスのFTで再度7点差に広げたあとは残り1分で宇都宮がファウルゲームに出ました。


そこからは慎重にゲームをクローズして最終スコアは70-61でこの試合に勝利して今シーズンの宇都宮との対戦成績を2勝2敗のタイとして得失点差で上回ることができました。


疲れがピークの中、アウェイの地、しかもホームチームへの愛情と後押しが一段と大きい宇都宮を相手にして主戦のサイズを欠いての1勝は価値あるものに違いありません。 


良く勝ってくれました。

宇都宮は残り4試合で東地区優勝までマジック3ですが、アルバルクは残り試合4つ連勝して吉報を待ちたいものです。


選手、スタッフの皆さんにはCSに向けてコンディションを整えつつ良い試合をしてくれることを願っています。


phots by Kii

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