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融資特約とは

融資特約(通称:ローン特約)とは、簡単に言えば、買主が住宅ローン等を利用する予定で不動産を購入する契約を結んだ後で、そのローンを設定する銀行など金融機関の最終承認が得られずにローンが組めなかったときは「売買契約を契約解除できる」というもの。
この場合、契約解除(契約は白紙!)となるため、当然、買主が契約締結時に支払った手付金や仲介手数料は全て返還され、契約前の状態に戻すことになります。つまり、ローンが組めなかった買主を保護するための買主保護の制度です。

 住宅を購入する場合、多くの人が住宅ローンを利用するため、融資特約は必ずと言ってよいほど契約書に明記させます。
不動産業者が住宅ローンのあっせんをした場合には、融資特約を定めることが法律で義務付けられていて、あっせんが無かったとしても、融資特約を付することが必要だという宅建業法上のルールがあります。
しかし、実際に融資特約を実行して契約を解除するにあたっては、売主からすると、当然解除をされたくないため、「本当に金融機関がローンを拒絶したのか?」「やるべきことはやったのか?」「契約書通りの内容で解除が主張されているのか?」など、細かく事実確認がされることになります。


例)融資特約の内容で、金額と金融機関のみ記載されている
→金利が想定より高くて支払いが続かないので融資特約を使って契約解除するとはできない場合がある。金額と金融機関でOKが出たからということ。

融資特約について、買主から解除の連絡方法は、仲介業者と売主に書面を用いてする必要がある。また、融資特約には、期日が明記させているので、書面による解除が売主に到達するのが1日でも遅れた場合、融資特約による解除は認められない。
このように融資特約による解除が認められなかった場合、手付金を放棄して契約解除する(手付解除)か最悪の場合、違約金を請求させる場合もあるのです。

「手付解除」とは、買主が契約時に売主に支払った手付金(通常、物件価格の5~10%程度が多い)を放棄する、つまり、売主からの返還をあきらめることで無条件に契約を解除できるというもの。この場合、不動産業者に支払った仲介手数料は、裁判をしたとしても、返ってこないと解されることが通例。

 「違約による契約解除」について、融資特約期日のみならず、手付解除の期日も過ぎている場合、売主は違約金を請求できます。そしてこの違約金は、契約時に設定されていますが、上限を売買価格の20%とし、10~20%の間で設定されることが多いのです。

また、融資特約の契約内容については法律で定められていないため、買主と売主の合意があれば、基本的にはどのような内容でも可能。予め確認しておくべきこととして、以下のような点
 

  •  融資金額(通常明記されます)

  •  融資特約の期限(通常明記されます)

  •  融資を申し込む予定の銀行

  •  予定の金利条件

  •  融資特約を使う場合の解約方法の確認と文面(重要)

 
売主との合意が基本となるが、もし自営業等の場合で金利条件によって支払いが大きく変わってしまうことが懸念される場合には、銀行や金利条件まで明記することを交渉することは有利に働きます。万が一、その金利で融資が下りなかった場合、融資特約を使うという選択肢と、他の銀行に申し込みをして予定通り契約続行という2つの選択肢がとれることになります。

○解除権留保型
一定期日までにローンの承認が得られなかった場合、売買契約は解除できる。「できる」なので、買主が書面で期日までに解除を申し出ない限り、解除とならないので、1日でも期日を過ぎると、手付解除、または違約金請求させる可能性がある。

○解除条件型
一定の期日までにローンの承認が得られなかった場合、売買契約は、「自動的」に解除となる。
売主は受領済の金員を無利息で買主に変換する。


土地や建物をローンを使って売買契約するときは、ローン特約が解除権留保型か、解除条件型かを確認しましょう。


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