見出し画像

スマートな消費者になるためのオプトアウト戦略:データ節約のプロになる


オプトアウトって何?

「オプトアウト」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
主にマーケティング用語として使われるが、簡単に言うと、企業側がお客となりそうなユーザーに対して自社の製品やサービスの宣伝を消費者の許可を得ずに行うことを指す。
メールアドレスに見覚えのない製品やサービスの宣伝メールを送られた経験がある人はいるだろう。あれがまさにオプトアウト。メールアドレスを持つユーザーに対し自社製品の宣伝メールをユーザーからの許可を得ずに配信する。ケースとしてもメールによる宣伝が多い。

分かりやすく言うなら、玄関ポストに入れられるチラシのようなものだろう。玄関に入っているようなチラシは、大抵入居者の許可なく入れられてる。ものによってはその人のニーズに合う場合もあるが、ほとんどは不要な宣伝が多い。そうやって、スルーされる中から「欲しい!」「使いたい!」と思う人と連絡し、さらに営業をかけて顧客にしていく。それがオプトアウトの基本的な考え方だ。

もちろん、過剰な宣伝は迷惑行為につながるため、日本では「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(別名:迷惑メール法)」により、オプトアウトによる宣伝は禁止されている。今では逆に「オプトイン」と言って、企業がユーザーに対し「宣伝メールを配信していいですか?」と許可を取らないとそのようなメールは送れないことになっている。

このように「オプトアウト」といったら、ほとんどは企業側がユーザーに宣伝メールを無許可で送りつける行為を指す場合が多い。しかし、オプトアウトにはもう一つ別の意味がある。

それが、「ユーザーが宣伝を拒否する行為」についてだ。

先ほどは提供する側の行為に対する意味だったが、こちらは逆に受け手側に対する意味。つまり、企業が配信する広告や宣伝に対して「必要ないです」とか「配信しないでください」といった拒否の行為に対してもオプトアウトという言葉は使われる。

実はとあるニュースを見て、このユーザーにからの拒否を意味するオプトアウトについて考えさせられた。なのでここでは「スマートな消費者になるためのオプトアウト戦略」と題しユーザーによるオプトアウトについて少し話そう。皆さんのセールス・リテラシーを高める一助にもなるはずだ。

オプトアウトのメリットが分かる事例

2023年10月11日、海外のニュースメディアより「T-Mobileの無制限プラン価格引き上げからのオプトアウト方法」と題した記事が公開された。

要約すると、アメリカの通信事業者であるT-Mobileが、新しく策定した携帯電話のプランを現行のいくつかのプランから自動的に移行されること、そしてユーザーは今までのプランを使い続けたい旨をサポートデスクに伝えれば、プランの自動移行をキャンセルできる。そんな内容だ。

T-Mobileはアメリカの中でも大手の通信事業者の一つ。日本でいうauやdocomo、softbankのようなものだ。そのT-Mobileはこれまで、ONE PlanやSimple Choiceなど細かく区切ったデータ通信容量のプランを展開していたのだが、それらを「〜50GB」「〜100GB」「無制限」のいずれかにまとめた新しいプランに統合し、現在それを中心に展開している。これに伴って、今まで敷いていた細切れのプランに契約しているユーザーに対し、この新しいプランへ自動移行する旨の通知が送られたのだ。
プランを統合する目的は大きく分けて以下の通り。

  • データ容量の増加:ユーザーが利用できるデータ容量を50gbか100gbに統一することでプランの煩雑さをなくすと同時にデータ管理しやすくするため

  • 高解像度の動画ストリーミング:720p以上の高解像度な動画ストリーミングを提供するため

  • 通信速度の改善:4G & 5Gの通信速度プランへの移行を促すため

  • プランの見やすさ:わずかな違いしかないプランを一つにまとめて分かりやすくするため

日本でも菅内閣による携帯料金の引き下げ命令以降、端末料金と通信料金を分けたり、違約金制度を廃止したり、格安プランを導入したりと、携帯料金がだいぶ分かりやすくなってきたのは皆さんも実感している通り。T-Mobileでもそれと似たようにプランの簡略化を行なっているのだ。

ただ、プランを統合することでデメリットもある。それが料金の引き上げだ。

例えば旧プランの一つであるSimple Choiceは、無制限で利用可能なデータ容量が2~22GBと、細かいニーズに対応したプランだった。それが50GBのプランへ自動移行されるとなると、無制限で使えるデータ量は増えるものの、料金は上がる。他のプランに対しても料金は今までより引き上げられると予想されており、T-Mobileの担当者によると、1回線あたり10ドルの引き上げられる予定だという。日本とは違ってアメリカはインフレ状態ではあるものの、料金の引き上げは家計の都合上、歓迎しないユーザーも多いだろう。

そこで強く強調されていたのがオプトアウト。
企業がユーザーの許可なしに宣伝メールなどを送る意味とは別に、「ユーザーが宣伝を拒否する行為」もオプトアウトにはあると先ほど説明した。その例の一つが、このT-Mobileによる新プランへの自動移行への拒否である。

具体的にいうと、それまでの旧プランを契約しているユーザーは、T-Mobileのサポートデスクに今までのプランを維持する旨を伝えることで、新プランへの自動移行をキャンセルすることができる。ユーザーが今までのプランでも満足しているのであれば、新プランへの自動移行は実行されず今まで通りのプランが維持されるのだ。

これがまさにユーザー側によるオプトアウト。つまり、企業が「新しいプランができたので移行していいですか?」という宣伝に対し、「いや、今のままで満足してるんで大丈夫です」と拒否することができるということだ。

T-Mobileもそれまでのプランを廃止して新プランへ強制的に移行するわけではなく、今までのプランで維持したいユーザーには旧プランを残し、移行してもいいユーザーには自動で移行するという仕組みをとっている。ユーザーの意見を無視して強行しているなら問題だが、選択の余地を残しているという点では、このオプトアウトは前向きな意味合いと言えるだろう。

セールス・リテラシーを身につけ、スマートに生きる

今回のT-mobileの新プラン自動移行はユーザーとスタッフどちらにも配慮した試みだ。一方で、通信事業者の中には不当に高額なプラン作って自動移行させるケースも考えられる。そのような時は、プランそのものを解約するか、オプトアウトして今までのプランを継続して利用する意思を事業者側に伝えたほうがいいだろう。

そしてその判断を素早く正確に行うには、日頃から自分の通信料金プランに無駄な出費をしていないか見直してみること。また、契約している通信事業者からのプランに関するプレスリリースやメディアからのニュースなどにざっとでいいから目を通しておくことが大事だ。

そうすることで、ライフスタイルの変化に応じてプランを変更できるし、新プランに関して分からないことがあればサポートデスクに素早く質問できる。どちらにせよ携帯電話に関するリテラシー、ひいてはセールスに対するリテラシーが上がるのは間違いない。

このように、オプトアウトには悪い面だけではなくいい面もある。特にユーザーが自分の意思で企業の宣伝を拒否できるという点は特に重要だろう。
そしてオプトアウトすべきかどうかは、皆さん一人ひとりが自分の契約しているプランや企業が発表するニュースをよくチェックすることで判断できる。お金を払っているからこそ料金プランの変更には目を光らせる。それがセールス・リテラシーを上げることにも直結するだろう。

私も今回の記事をきっかけに「オプトアウト」という言葉を初めてちゃんと理解したので、自分の契約しているプランを一度見直すつもりだ。もっとも私の場合、宣伝の拒否よりも無駄な契約をしてしまっているかもしれないが。恥ずかしいことに。

まあ、それも一つの学びだと前向きに捉えることにしよう。
今回は以上。すべての知に「幸」あれ。

参考:T-Mobile公式サイト


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?