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【インスタ創業者による新アプリ『Artifact』】AIを使えばニュースはもっと面白くなる


AIはエンタメを盛り上げる装置となる


「AIというテクノロジーに影響を受けない人間などいない」

これは私がAIのテーマについて発信するときにハッキリと確信していることだ。
会社員だろうとスポーツマンだろうと主婦だろうと、AI(人工知能)は私たちの生活のありとあらゆる場面に影響している。
物流倉庫内で資材を運搬するときのロボットの自動化、会計帳簿をつけるときの入力の自動化、スマホカメラの自動フォーカス、…。AIの活用によってそれまでの業務や機能が大きく変わった分野はあふれていて、実際にその変化を経験した人もきっと多いだろう。それほどまでにAIが人の生活に与える影響は大きく、この流れは既にあらゆる分野に広がっている。

私が今回伝えたいことは一つ。

「AI(人工知能)はエンタメにも影響を与えている」ことだ。

AIと聞くと、上に挙げたような「機械の自動化とかに使われる」イメージが強くて、「まあ、自分は機械とかそんなに使わないしあまり関係ない話だ」と考える人もいるかもしれない。

しかし、私も含め皆さんが毎日当たり前に使っている機械があるはず。スマホだ。
そのスマホで皆さんがいつも何をしているか。SNSをいじったり、動画を見たりしているだろう。X(旧Twitter)で好きなタレントやミュージシャンの情報をチェックする。Instagramでモデルやアイドルのコーデを見る。Youtubeでクリエイターの動画を楽しみに見る。そう、「エンタメ」を楽しむためにスマホという機械を日々使っているはずだ。

この娯楽の中にもAIは影響を与えてくるという話を今回はしたい。
例えばTiktokのオススメ表示に代表されるように、自分が興味のあるコンテンツを過去の閲覧履歴に基づいてアプリ側が自動で表示してくれるようになったのはみなさんも実感しているだろう。それまでもSNSはたくさんあったが、自分が興味関心のあるコンテンツというのは基本的に自分で探して集めなければならなかったのが今までのネット環境だった。だから自分の趣味嗜好に合うミュージシャンや動画クリエイターに出会うには、自分でネットから調べたり口コミを頼りに見つけていくしかなかった。

ところがTiktokというアプリは、それまで自分で見つけるしかなかった自分の興味関心のあるコンテンツをAIに「レコメンド」という形で機能させることによって、ユーザーに探させる手間を無くした。この、自分の興味関心に合う動画が絶えず流れる「レコメンド」の仕組みこそがTiktokの最大の強みであり他のSNSと違う点である。この仕組みのおかげで、私たちユーザーは自分で探すよりもはるかに楽に、そして効果的に自分好みのコンテンツに巡り会える確率が上がった。それまで無名だった動画クリエイターがTiktokに流れることによってたちまち人気になるのはレコメンドがあるからである。

だから私は伝えたい。AIというテクノロジーはエンジニアや研究者だけに関係するものではない。今を生きる私たち全員に関わってくる存在であり、その一つがエンタメなのだと。

さて、AIと私たちの生活の関係性について分かってもらったところで、今回のテーマに入ろうと思う。これも私たちの生活をより充実させるための話になるので、ぜひ最後まで聞いてもらいたい。

新アプリ『Artifact』とは?

今年3月、とあるアプリがストア上でリリースされた。それが『Artifact(アーティファクト)』というアプリ。どんなアプリか一言で言うと、「ニュースフィードアプリ」である。ニュースフィードというのは、「たくさんのメディアから発信されているニュースを時系列にまとめたもの」。
日本のニュースを発信しているメディアといえば、日経新聞や読売新聞などの新聞社や、ギズモード・ITmediaなどネットを拠点とするメディアなどがあるだろう。それらのメディアから毎日発信されるニュースを、時系列に一覧にして整理したアプリがこの『Artifact』である。要はSNSのニュース版といってもいい。
そしてさらに面白いポイントが、このアプリの開発にInstagramの共同創業者の2名が関わっていること。だからなのか、アプリの操作画面がシンプルで見やすい。

UIはシンプル
SNSを使う感覚でニュースが見れる

このニュースフィードアプリ『Artifact』となぜ今回紹介しようと思ったのか。それはこのアプリが今までのニュース配信にはない”ある特徴”を持っているからなのである。「レコメンド」だ。これについて話す前にまずはそれまでのニュースフィードというのが一体どいういうものだったかを簡単に説明しよう。先ほど日本の主要なニュースメディアをいくつか挙げたが、Artifactのようなニュースフィード、つまりニュースを時系列にまとめるメディアも日本にはいくつかある。その中の一つが皆さんも聞いたことがあるだろう『NewsPicks(ニューズピックス)』。日本のメディアからのニュースを中心に集めて時系列に一覧にして表示しているのがこのアプリ。名前の通り「ニュース」を「ピック(つまみ上げ)」している。私も情報収集する時によく使う。オリジナルコンテンツも多数あり、NewsPicks編集部が企画した特殊記事や限定番組などが配信されている。堀江貴文さんや落合陽一さんなどの著名な経営者・研究者がレギュラーとして出演している番組もあり、YoutubeやXなどで一部映像を見たことがある人も多いのではないだろうか。このように日本にはニュースフィードアプリが多く存在しているが、基本的な機能は大きく分けると以下の通り。

  • ニュースを時系列にまとめている

  • ジャンルごとに分けている(「ビジネス」「テクノロジー」「スポーツ」など)

  • キーワード検索ができる

  • 気に入った記事を「いいね👍」などで保存できる

  • アプリ内やSNSでシェアできること

これらの機能を使ってユーザーは自分の見たい記事を選んで読んだり、評価をしたり、SNSで共有する。これがニュースフィードアプリの標準的な使い方だ。
ところが、今回紹介するArtifactというアプリは今までのそれと明らかに違う「レコメンド」という特徴がある。それをこれから説明しよう。

ニュース版「TikTok」

ニュースフィードアプリというのは基本的に、アプリが集めてきた記事の中から読みたいものをユーザーが決める、というものだった。ジャンルごとに分けたりキーワード検索ができるのは、ユーザーに探してもらうことが土台にあるからである。

ところがArtifactというアプリは、ユーザーに記事を探してもらうことを軸にしてデザインされていない。「レコメンド」機能を使って、ユーザーが自分の気になる記事をアプリ内で見れば見るほど、表示される記事が好みに合った記事にパーソナライズされていくのだ。

それまでのニュースフィードアプリは、時系列に表示された記事の中から自分が見たい記事をユーザー自身が探しながら使っていた。しかしこのやり方だと、自分の好みや関心に合う記事をユーザーが探すのは正直大変である。例えば自分の興味あるジャンルから記事を探すにしても、そのジャンルから自分が本当に見たいと思う記事・あるいは好みに合う記事見つけ出すのは、書店の漫画コーナーで見たいマンガが置いてある棚を見つけようとするくらい骨の折れる作業である。
まず検索機を使って在庫と棚を確認し、次にマンガコーナーの場所まで歩き、棚の場所を見つけたら今度は原作者の五十音順から目で追い、最後は巻数順に並ぶとこから目的の巻を手に取る。一冊探すだけでこれだけ手間がかかるのが書店だ。

一方、これがAmazonを使って探すとどうだろう?
検索バーにタイトルを入力してボタンを押すと、一瞬でその本の購入ページに辿り着ける。購入手続きはその場で行えて、1日2日で自宅に届く。これが電子書籍でいいなら専用アプリに本のデータがインストールされてすぐ読むことができる。おそらく検索から購入まで1-2分程度しかかからないだろう。さらに購入した後のamazonのホーム画面では、購入した本と似たジャンルの本が「オススメ」として表示される。

さて、ユーザーにとって好みを探しやすいのはどちらか。当然、amazonだろう。

これと同じことがニュースフィードにも言える。時系列に記事を表示しただけではユーザーが自分好みの記事を見つけるのは難しい。だからそれまでの閲覧履歴に基づいて、その人が好みそうな記事の一覧が表示されるようパーソナライズした方がいい。これを実現したのがArtifactというアプリなのである。

これまで記事では、閲覧回数やコメント数といった「人気度」や「話題性」のあるものが目に止まりやすかった。しかしユーザー一人ひとりにとって、人気や話題のある記事だけがその人の好みに合うとは限らない。むしろ、人気や話題はなくてもその人にとって興味関心がある記事であればどんどん表示してくれる方が使いやすいだろう。

例えば美容に関するニュースに関心があり、その中でも「化粧水と肌質の関係」に関する記事を見たいと思ったとき。有名な美容品の販売会社が発信する自社の製品の宣伝も込めたような記事が上位に表示されていても、「見たい記事と違うな」となってしまうことはよくある。それよりも、皮膚科のクリニックが発信するやや専門的な記事の方が実は自分の知りたいことにドンピシャだったりする。その記事に人気や話題性がなくとも、ユーザー個人が知りたい情報とマッチするならそれを優先的に表示した方が満足度は上がるのだ。ゆえに、ニュースをレコメンドするというアプローチは非常に重要な意味がある。

私も実際にArtifactを使ってみたが、ジャンルだけでなく、過去に閲覧した記事と近いテーマの記事がタイムライン上に表示されるので、検索して探すよりも好みの記事をはるかに見つけやすいことを実感する。アプリのデザインに関してもシンプルかつスタイリッシュで操作しやすいのもポイントが高い。

まさに「ニュース版TikTok」と言えるだろう。

「AI」カテゴリ内で記事を閲覧すると、その閲覧履歴に基づいて近い内容の記事が表示される

「釣りタイトル置き換え」機能

記事に限らず、動画でも音声でも「釣りタイトル」が及ぼす悪影響は皆さんも経験があるはずだ。ユーザーの不安や恐怖を煽ったり、コンテンツの中身とはかけ離れた誇張した表現をタイトルにしている例は星の数ほど存在する。それがコンテンツの中身と一致しているならいいが、中にはそういうタイトルに釣られてついクリックしてしまい、フタを開けてみたらタイトルほど深刻でもなかった、という流れに陥ってしまった事が多い。これがエスカレートするとユーザーを誤解させることにつながってしまう。

Artifactはこの問題にも対処している。アプリ上に流れる記事の中で、中身を適切に反映していない誇大なタイトルを付いているような記事は、運営側の開発するAIエンジンによってそのタイトルを自動的に置き換えるという機能がついているのだ。
これによってニュース記事を発信するメディアは、ビュー数稼ぎのための釣りタイトルをつけようとすると、強制的にタイトル変更される。

これはユーザーからするとかなりありがたい話だろう。今まで誇大なタイトルにつられて有益な情報を得られなかったのが、AIを使って適切なタイトルに置き換えられることで記事の中身とより正確に向き合うことができる。Artifactの創業者によれば、実際にこの機能の正確性について実験したところ、「タイトルを置き換えた100回中99回は、当初のタイトルより生成されたタイトルの方が記事の内容に即していた」という結果が出たという。ユーザー満足度の観点からも、AIエンジンを使ったタイトルの置き換えは精度が高いようだ。

全てがパーソナライズされる時代へ

「ニュースのレコメンド」に「釣りタイトルの置き換え」と、Artifactというニュースフィードアプリは今までのそれとは一味違う。ただここまで話したものの、やはり実際に使ってみないことにはその良さは実感できないだろう。
今回の話で興味を持ってくれた人がいたならば、ぜひ自身の手で使ってみてほしいと思うが、残念なことにArtifactはまだ日本語対応しておらず、操作画面もニュースも英語しか対応していない。日本語で読むにはChat-Gptなどを使って翻訳する手間が必要になる。なので、今すぐ使ってほしいとは言わない。それよりも今回の話で一番伝えたいのは、「AIにはこんな使い方がある」ということを知ってもらうことだ。

「AIは自動化以外で何に使えるか分からない」と思っていた方も、Atrifactでの活かされ方を聞いて驚いた方もいるのではないだろうか?
AIは機械の自動化に使える。しかし本当はそれだけじゃなく、ニュースフィードにおけるレコメンドといった「エンタメ」にも使える。場合によっては不適切なタイトルを置き換え誤解を防ぐことにも使える。

インターネットとスマホが、コンテンツをいつでも・どこでも・誰でも楽しめるようにしたのだとしたら、これからの時代は、そのコンテンツをユーザー一人ひとりの好みに合わせてパーソナライズしていく時代になるだろう。ここまで分かると、AIがあらゆる分野に影響すると言われる理由が理解できたのではないだろうか?

もちろん、AIというテクノロジーはあくまで手段。目的はコンテンツやアプリがより良いものにより良いものになることであり、そのためのツールになり得たのがたまたまAIだった。なので、ここまでの話を聞いてAIに対し必要以上に怯えることはないし、逆に「 AIに任せればなんでも解決するんだ」などと神聖視する必要もない。AIは確かに有用なツールだが、それをどう使うかを決めるのは人間である。人間が目的を不明確にしたり悪用したりすれば、ツールであるAIはその決定に基づいて動く。だからこそ、AIというテクノロジーがどのような場面でどのように使うことができるのか。どう使えば人の生活の役に立つのか。これについて学び続けることが、私たち一人ひとりが充実した人生を送る上で必要なことだろうと私は思う。

ぜひ、AIの可能性について多くの人が楽しく知ってほしい。私もその一助となれるよう今後も発信を続ける。


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