始める前に要チェック!? 中学受験は途中下車不可の片道急行列車？
こんにちは。
元大手進学塾トップクラス担当講師で、現在はニュージーランド在住の受験＆国際教育コンサルタントのTakuです。
中学受験はとりあえず始めてみて、合わなければやめればいいだけ。
そんなふうに考えていたりしませんか？
でも実際は始めてみたらやめるにやめられなくなる人が多いって知ってます？？
えっ、そうなの？と思ったなら、今日の記事はきっと何かヒントになると思います。
中学受験は麻薬？
ちょっと過激な表現にドキッとしたかもしれませんね。
でも30年にわたって受験を見てきた私にとって、
それはあながち間違っているとは思えないんです。
とりあえず始めてやめたくなったらやめればいいからと、
気軽な気持ちで始める人も少なくないはず。
にもかかわらず一回始めると、引き際がびっくりするほど難しい。
忙しいから今はちょっと嫌がっているだけ。
誰だって調子が悪いこともあるし、もう少しだけ様子を見てみよう。
子どもがなかなか勉強をしたがらなくても、
ストレスで疲れているように見えても、
どんどん自信がなくなっていくのがわかっても…。
あと少し、もう少しだけ。
そう思ってズルズル辞めるのを先延ばしにする人を、
これまでたくさん見てきました。
その中には結果子ども自身が自己否定的になり、
せっかく受かった私立中学を退学した生徒も複数います。
もうちょっとだけなら大丈夫。
これって麻薬中毒者の症状と少し似てるかもと思った時は、
背筋が寒くなったのをよく覚えています。
そしてそんな状態になってしまうには、
親子双方に影響するいくつもの要素が関係しています。
最後までやりたくなる子ども
まず子どもの側に影響するのは、
彼らを取り巻く環境からの絶え間ない刺激です。
まず子どもながらに私立と公立の違いは、
一目見れば分かる施設の充実度などを通じて、
はっきりと認識するものです。
公立中学には私立中学のような、
派手な宣伝イベントがないことも手伝って、
普通ほとんどの子供は私立に行きたい！と思うようになります。
私たち親だって会社の環境について、
施設が充実したおしゃれなオフィスと、
古い平凡なオフィスのどちらを選ぶかは明らかですよね。
また週に何回も通い続ける塾では、
毎日のように私立学校の魅力に関する情報を、
シャワーのように浴び続けます。
たくさんのポスターや動画、
講師や受付からの声がけなどの中にも、
私立に行きたい！と思わせる情報がいっぱい。
大人がTVやSNSの広告を毎日見ているうちに、
無意識に購買意欲を駆り立てられるように、
子ども達も私立に行きたいと強く思わされるのです。
さらにここに「友達効果」が加わります。
ずっと一緒にやってきた友達と一緒に塾に行きたい！
たったそれだけの理由で、
勉強は嫌なのに塾に通ってきている生徒を、
これまで何人も見てきました。
彼らの結果がどうなったのかについては、
想像に難くないことでしょう。
投資したお金を回収したくなる親
では親側が中毒になる要素はというと、
これは単純に投資を回収したいという心理に尽きる気がします。
株などの投資をしたことがある方なら分かってくれると思いますが、
一度お金を投資してしまうと、
負け始めてもなかなか損切りができません。
こんなにお金を入れたのだから、損したくない。
少しでも儲けたい！
そんな強烈な誘惑が襲ってきて、
株価がどんどん下がってきているのに、
いつまでも損切りできずに持ち続けてしまう。
結果ますます損失が大きくなっていく。
これはトレードの世界ではよくあることです。
これと同じ心理が残念ながら、
中学受験の世界でも起こっています。
中学受験には数百万円の投資が必要です。
初めは進学塾の本科だけのつもりが、
弱点補強に必要と勧められて単科もたくさん取り始め、
さらには個別に家庭教師と際限なく出費が続く…。
これは受験の世界ではとてもありふれた光景であり、
中学受験が課金ゲームと言われる所以です。
（この辺は別記事で書きます）
こんな誘惑に囚われてたくさん課金していくと、
その分を子どもに何とか回収して欲しくなるのが人情。
これだけお金を使ったんだから、
もう少しだけ頑張ってほしい。
ここまでやってきたんだから、
もう少し個別の時間を増やせば何とかなるかも。
最後にプロの家庭教師をつければ、逆転の可能性もあるのでは…。
多くの課金をしてしまった親の中には、
このような心理に陥って子どもの状態を見る余裕もなく、
いつしか撤退の時期を逃す人も少なくないのです。
まとめ
さて、いかがでしたか？
中学受験にはなかなか巧妙なワナがいっぱいですよね。
親にも子どもにも一旦始めたら辞めるにやめられない中毒性が、
中学受験には確かに存在します。
もちろん「うちは大丈夫だったし」という人もいますが、
全ての人がそうではないということを忘れないで下さい。
そして自分がその1人になってしまった時、
一番深い傷を負うのは他ならぬ子供たちです。
中学受験なんて取るに足らない小さな選択。
そんなもののために子どもの自己肯定を壊したら、
取り返しがつかない後悔をする可能性もあります。
中学受験を始めるなら是非親子でしっかり話し合い、
途中下車不可の片道急行列車に乗る覚悟を決めて下さいね。
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