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#9 精神疾患等の二次障害に対する早期介入を実施することは可能か?②

予防にも種類がある

 まず、1次予防は疾患を未然に防ぐためのものであり、生活習慣病であれば、食事や運動などの健康増進が当てはまる。精神疾患であれば、その気質やストレス対処等であろうか(今後詳しく述べていく)。そして、2次予防は、いわゆる早期発見・早期介入である。3次予防は、疾患後の再発予防という考え方である。
 精神科リハビリテーションの基本とされてきたアプローチは、3次予防的な関わりであり、復職支援や退院後の生活支援、そのための再発予防として服薬管理や心理教育等のアプローチがあった。医療の中で注目されていたのは、2次予防であり、早期発見と介入によって重症化を防ぎ、早期の回復へと向うものだった。企業におけるメンタルヘルス介入などの早期発見からの受診・治療などもこの段階にあたる。

当時、1次予防はどの程度まで研究が進んでいたか

 前回のnote(#8)の話題から、私が精神疾患の方が360万人以上もおり、今後の精神科医療の負担が増えていくことにより、国の医療費・福祉予算は増え続けるであるという危機を感じ、「予防」という取り組みが必要なのではないか、と思ったというところから振り返る。

みなさんなら、どんな手立てがあると思いますか??

どのライフステージの段階から介入・またはフィルターが必要だと思いますか?

まずは、そもそも精神疾患の1次予防という観点での議論はどの程度なされているのかを調べるところから始めた。ネットから文献や書籍へ、そしてそれらの情報の元データを読むなど・・・・

以下、わかったことがいくつかあった(当時、2013年頃)
・精神疾患の1次予防に関する文献はいくつかあるが、具体的な方法までは落とし込めていない。医学レベルの研究はいくつか進んでた。
→統合失調症のハイリスク児を長期的に追う研究
 統合失調症の発症前特徴についてまとめた文献 など

当時、読んでいた本はこれ。

 これは、2001年に開催された、第1回日本国際精神障害予防会議で講演された内容を1冊にまとめたもので、300ページ以上あるのだが、面白くて付箋を貼りながらずっと読んでいた。

発達に関わることを次のステージとして決めた

 ただ、求めているような答えはあまり見つからず、結局セラピストが地域でどう関わることが1次予防につながるのかわからないままだった。
それこそ、学齢期からのスクリーニングテストの実行や性格特性の把握、よろず相談のような機能を地域で持たせるような工夫。。。みたいな普通のことしか思い浮かばなかった。
 まず考えたことは、OTとして将来的に地域に根ざした支援をしていく際に、この「予防」のような支援を地域の中でどう根ざしていけるのか?を研究的に分析したいと思ったことだ。
 そのため、大学院への進学を考え、塾考した結果ある大学に決め、説明会や試験を受けにいったのである。
 そこでの面接で、「予防のような視点はとても面白いし、ライフステージに長く関わるような地域での関わり方はぜひ研究でやってみないか」と言われて、とても嬉しかったことを覚えている。

ただ、それは結局実現せず、、、
というのも、大学時代からお世話になっている荻原喜茂先生(前日本作業療法士会副会長)と議論している中で、研究ではなく、発達臨床をもっと深めたいと思ったからだった。
 
相当省略して会話を思い出すと
荻原先生「その視点は面白いけど難しい。例えば修士に2年行って、ゴールは?」
「予防の視点は現在〜〜となっていまして、地域における学校等を対象にした〜〜の調査研究をベースにして〜〜」
荻原先生「まぁ、よくってそんなとこだよね。もうわかっちゃったじゃん。2年もそんなとこに使うのはもったいないから、とっとと学齢期に専門的に関われるところに行ったほうがいいよ」
「え、まじか。もう大学院いくって決まったようなものなのに・・・。でも、確かにそうかも。何にも知らないで頭でっかちになってもしょうがない・・専門性もスキルもなければダメなことは明白だし」

というやりとり(実際はたくさん議論したことはあった)を経て、ほぼ決めていた大学院入学を「すみません・・・」という連絡とともに諦め、子どもに関わることを決意したのであった。

ただ、決めていたことは青年期における「1次予防」の視点で子どもに関わりたいという気持ちだったので、いわゆる療育センター等の年齢で利用の決まっているような機関は全く考えておらず、当時そんなことが可能な場所を見つけるために、民間から探していくのであった・・・。

(つづく・・・)





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