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日本における癌ゲノム医療での去勢抵抗性前立腺癌の治療方針決定

2019年12月から2023年4月までに日本の国立大学のがんゲノム医療おいて、次の治療法を検討するために、2,991人の患者を対象に、癌ゲノム遺伝子パネル(OncoGuideTM NCCオンコパネル*検査:679名、Foundation One CDx**検査:2312名)による遺伝子検査が行われました。がんゲノム医療において、進行性・転移性癌2991例の内、進行性去勢抵抗性前立腺癌298人の症例が、癌ゲノム遺伝子パネルによって検査されました。

進行性去勢抵抗性前立腺癌298人の症例に対する癌ゲノム遺伝子パネルによって、38症例においてBRCA1/2遺伝子内のpathogenic variants (PVs)、27症例においてCDK12遺伝子内のPVs、25症例においてATM遺伝子内のPVs、19症例においてRAD51遺伝子内のPVs、33症例においてTumor Mutation Burden (TMB)-High (>10)、16症例においてmicrosatellite instability (MSI)-Highが検出されました。癌ゲノム医療の診療カンファレンスにおいて、BRCA1/2 PVsが認められたCRPCの患者に対してPARP阻害剤(Olaparib, Niraparib、または白金製剤)、TMB-Hが認められた患者に対して免疫チェックポイント阻害剤であるPembrolizumab、MSI-Hが認められた患者に対してPembrolizumabが、保険適応薬として個々の患者へ処方・投与されました。

JAMA Oncologyに掲載されている進行性CRPCの患者に対して行われた癌ゲノム遺伝子パネルの検査の結果 (Table)から、私達の医療機関では、この進行性CRPCの患者に対して、Pembrolizumabの保険適応薬として処方・投与されことが可能である。しかし、この患者の進行性CRPCの組織を用いた癌ゲノム遺伝子パネルの検査結果において、TMB-Tの値は、10であるため低値である。そのため、この進行性CRPCの患者に対するPembrolizumabの奏効性は低い可能性が考えられる。JAMA Oncologyでは、正解としてDが示されている。JAMA Oncologyでのdiscussionは、癌ゲノム医療を行っている私達医療スタッフに非常に有益である。

We do not have potential conflicts of interest.

癌ゲノム医療専門ドクター・新興感染症専門ドクター
NHO Kyoto Medical Center                                                                        Cancer Genome Medicine, Kyoto University Hospital

Published in JAMA Oncology, October 27, 2023. by 京都@takumaH 

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