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Media Ambition Tokyoレポ

ある日のこと。落合陽一さんのツイートが流れてきた。なんでもMAT(media ambition tokyo)が明日最終日とのこと。 

 日々、ファイン系の作品制作をする僕は好奇心に駆られ、すぐさまオンラインチケットを購入した。 場所は六本木ヒルズ森タワーの52階。1分足らずで目的階に着くのだから技術の発展は恐ろしい。 

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 入場すると、ステイトメントと全面ガラス張りの吹き抜けが見えてきた。付近には共感覚を用いた作品があった。 残念ながら体験することは出来なかったが、最先端技術によるアートの発展を感じた。(思えば東京モーターショー2020にも共感覚の展示があったような。いつか体験してみたい) 

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 次に見たのは、けたたましい音声を響かせる発光する神輿だ。失われた祝祭性を取り戻す試みらしく、世界中から集まる投げ銭を仮想通貨として神輿に入金されるらしい。一見、不気味にも感じられるがやがて技術が醸成され、受け入れられていくのだろう。

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 ※撮影が上手くいかず色味が全く違うので注意

更に進むと、仄暗い空間に蛍光色で光る作品があった。レーザーとワックス、仮設資材によるインスタレーションで会期中にレーザーでメッセージが彫り込まれるライブ型の作品とのこと。 蛍光色は放射線を思わせ、夜中の調理場に忍び込むような背徳感がある。ささやかな平和への祈りとお経を唱えるような暗示が浮かび上がってくるような気がした。

 広い空間に出た。まず見たのはライブイベントが始まっていた【小野澤 峻】さんの演ずる造形。 天井からワイヤーで吊り下げられた鉄球が揺らめきながら徐々に回転していく。パンデミックの最中に考えるのはある意味、貴重な体験だと思う。 集結した鉄球は離れていき、互いの干渉が許されない世の中を感じる。球体が衝突する緊張感は人間関係の"ソレ"や、感染症により引き起こされた鬱憤のようである。また、ウイルスそのものであるとも言えるのかもしれない。 

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向かいの窓張りには【落合陽一】さんの物化する地平線。プロペラサイネージがさざ波のような音をたてながら高速で回転し、映像を映し出している。 蝶はバタフライエフェクトなどという言葉があったり、物語のキーとしてよく使われるキャラクターであるのでつい蝶の演出に目がいきがちであるが、他の演出にも考えさせられる点が幾つもあった。 

 僕は最初に、そもそも地平線とは何かと疑問に思った。地の上に見えるから地平線。水の上に見えるから水平線。地球は丸いのに僕たちは平らな地面に立っている。 高速回転の中に見えるのは美しい現象や宇宙、バタフライ。そう見えるのも情報の一端に過ぎず、実際の隔てはもっと曖昧なものではないか。観念を崩し、無機的なものから有機的なものに変形していく様は非常に面白い。

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 暗室に入ると今度はプロジェクターで映像が全面に映し出されている。自身の影がシルエットになり、作品に組み込まれる楽しさがある。

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 展示会の終盤には気象現象を和菓子で味わうという斬新な作品があった。様々な条件で形成される渦は目にも面白く、不思議と職人技にも見えてしまう。それを食べてしまうのだから、自然の強大さを身をもって知ることが出来るのだろう。 

 アートと最新技術。その懐の広さに驚かされる展示でした。 落合陽一さんがきっかけで今回の展示に巡り会えた。展示されていた作品の一部をTwitterで呟いたところ、なんと本人がリツイートしてくれた。いつか会ってみたい。 有意義な時間を過ごすことができました。

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