「将来どうなりたい?」

これから先「将来どうなりたい?」なんて話をすることが何度あるだろうか。あの頃は、それを毎日していたように思う。

僕たちは明日の予定も無いのに、将来に漠然と期待していた。トゥモローではなくフューチャー。「あしたのジョー」に出てきた意味合いの"あした"なら自分たちにもあると信じていたのだ。だから横丁のあの店の、あの時間帯はいつも「将来どうなりたい?」で埋まっていた。

0時まではサラリーマンや学生を始めとする人々が店をにぎやかす。

だけど日付けをまたぐと、店は次第に静かになっていく。一人、また一人と店から人が去っていった。

"明日"のある人々は店を出て"あした"にすがりつく人々は店に残り続けた。

午前4時頃になると、"あした"なんて到底見えない、将来が消滅した人間たちの掃き溜めみたいになった。

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音楽を作るために考えていること

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