楽しいか楽しくないかとか言ってたら気分障害になる

【ライブは演るほうも楽しまなくてはならない】という言説がある。

メンバー間、ライブハウスのブッカー、関係者、先輩バンドとの打ち上げ…

かなり賛否ある意見なのだが「楽しんで演奏しろよ💢」というアドバイスを一定量言われてきた。

20代でよく言われたことなのだがいまだに正直よく分からない。というよりどんどん分からなくなってきている。

楽しいかどうかを基準にするとむしろ気分障害になる話だ。

たしかに僕も演り終わって「楽しかったわ!」という感情になった経験はある。事実4日前、新潟でのライブは楽しかった。

アスリートの試合前インタビューなどでも「全力で楽しみます😊」というのを見たこともある。

しかし「楽しくないから悪い」というのもどうなんだろうかという気もしてこないだろうか。
プレイヤー側のドーパミン分泌量が、それほどクオリティを左右するものなのだろうかとも思う。

というより【楽しい楽しくない】という基準がもたらすものなどたかが知れているので、言説を持ち込んだり、ましてや助言めいたフィーリングで伝えてくるというのはナンセンスなんじゃないだろうかという気さえしてくるのだ。

生来、1000本近くライブを経験していると思うが「今までで一番楽しかったライブはどれですか?」なんて質問されたとしても候補すら出てこない。

ワンマンやフェスなどのメガライブになるのか、それとも年越しイベントなどのお祭り系になるのか、ビギナーだった高校生の頃なのか見当もつかない。それに4日前の新潟の楽しさがそれらに負けている肌感もない。

改めて【ENJOY指数】は本当にどうでも良いことだと感じる。ステージに登るとき、右足が左足かぐらいどっちでもいい。

だけど『楽しさ』なんてそれぐらい取るにならないものに対して頭を抱えて悩むひともいる。

今やっていることが楽しくない‼️
ここにいても楽しくない‼️
いやぁ、まぁ楽しくないんすよね‼️

みたいなことを息を吸うように言ってしまう。
あなたのまわりにも一人二人こういう系の人々が過去に存在したと思う。

悪いひとでもないのだが、楽しい楽しくないの話をとてつもなく重大なことのように話すので、つい戦時中の話をよくしてくれたじいちゃんを思い出してしまう。そうなると「じいちゃん、平和になったよ👼」と天国に想いを巡らさざるを得なくなる。

これはどんな仕事でも同じだろうけれど「楽しむ気をなくして真剣にやるっす🦍」ぐらいで取り組むと普通に楽しかったりする。

ハイクオリティな仕事の中身なんて大体がめんどくさいことで構成されている。

ENJOY指数は『成功したから楽しい。だってその過程をもたらしたのは俺だもん』によって決定されるんじゃないだろうか。

シンプルに【うまくいったから楽しい。ミスったからつまんない】で考えたほうがいい。ここに「楽しいか楽しくないか」を放り込むからバグってくる。

たとえば賃金が安かったり、人間関係が嫌なら仕事を変えるのが早いし、裁量権が欲しいなら決裁者に聞くのもいい。

だけど「楽しいか楽しくないか」だと難しくなってしまう。

なぜなら感情はそのひと次第なので、二日酔いだったり、糖を摂りすぎていたり、彼女にフラれていたりと多くの要素が働いた結果でもあるからだ。

うまくいっても不健康だったり地獄ぐらい貧乏だと楽しさを感じられないものだ。

4日前のjuJoeの新潟のライブは物販もたくさん売れたし、楽しかったが、サイフの中に30円しか入っていなかったらたぶん楽しくないと思う。
経済的欠乏感を抱えているとき、人間のIQは13ポイント下がるので睡眠不足の徹夜状態に近くなるので、楽しむどころじゃない。

これは汎用性が高いテクニックだけど、置かれているシチュエーションをある程度の解像度で言語化すると迷走しにくくなる。

「なんか楽しくない‼️」とか「楽しまなきゃ💦」ぐらい言葉が荒いと何が起きているか自分でも分からなくなる。すると「ただただ不快」みたいな気分障害に陥りやすくなる。

台湾のスターバックスでこれを書いている。言語が通じないのはつらいが、このnoteが読まれて届く嬉しさが倍増する気もしている。

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