将来なんてなかった
これから先「将来どうなりたい?」なんて話をすることが何度あるだろうか。
あの頃は、それを毎日していたように思う。
明日の予定なんてなかった。
でも「あしたのジョー」に出てきた意味合いの“あした"なら、自分にもあると信じていた。
大阪に住んでいた頃、僕はいつも横丁に入り浸っていた。
そしてあの時間帯はいつも「将来どうなりたい?」で埋まっていた。
0時まではサラリーマンや学生を始めとする人々が店をにぎやかす。
だけど日付けをまたぐと、店は次第に静かになっていく。一人、また一人と店から人が去っていく。
“あした”のある人々は店を出て、“あした”の無い人々は店に残り続けた。
午前4時頃になると、"あした"なんて到底見えない人間たちの掃き溜めみたいになった。
元殺人犯や学校に行っていない15歳、アル中の40歳が肩を寄せ合っていた。
その中に僕はいた。
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