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カラー暗室はじめました

こんにちは
フィルムカメラ大好きTKです

先日モノクロ暗室をはじめた際に記事にまとめましたのでよろしければこちらも読んでみてください

さて、2018年春 初めて手に取ったフィルムはカラーネガフィルムでした モノクロフィルムからはじめる人はなかなか稀有だと思います 先にモノクロ暗室を作ってみて暗室プリントめちゃくちゃ面白いやん!となった私は思いました「カラーもやりたい、、」実はモノクロ暗室をはじめる際カメラ仲間から引き伸ばし機を譲っていただきました しばらくしてもっと本格的にやりたいと思い安かったカラー引き伸ばし機を購入していたのですが(カラー引き伸ばしでモノクロも焼ける)本業が忙しくなり時間も取れないのでカラー引き伸ばし機は一度手放してしまいました (いまは別のカメラ仲間の元へ)  ようやく仕事も落ち着いてきたのでカラー引き伸ばし機を再度購入しました 6×9までプリントできる引き伸ばし機をゲットしました 筆者は6×9フォーマットのカメラはMamiya Press、FUJICA GW690Ⅱを所有しています 引き伸ばし機以外の道具はモノクロ暗室をはじめる際に購入できていました 

カラー暗室を作る際に必要だったものをリストアップします

引き伸ばし機 10,000円 ヤフオク
引き伸ばしレンズ
LPL 75/4 1200円 メルカリ
Nikkor 50/2.8 2800円 メルカリ
ピントルーペ 11900円 ヤフオク
イーゼルマスク 8×10 1900円 メルカリ
温度計 199円 モノタロウ
低温調理器 6000円 Amazon
薬品保存ボトル ×2  220円 100均(セリア
引き伸ばしタイマー 3000円 メルカリ
四つ切り 無反射ガラス 1210円 ヨドバシ
印画紙 六切り100枚ヨドバシ 10,000円
ペーパー用 発色現像液、漂白定着液、発色スターター28,000円
ペーパー現像タンク ベセラー 0円 貰い物
※前回のモノクロ暗室の記事と重複有り

カラー引き伸ばし機

今回ネックだったのは現像液でした
以前はヨドバシで普通に購入できていたKodakのカラーペーパー用現像液がコロナ禍以降急に購入できなくなりました 他社のカラーペーパー用現像液も(ADOX等)も軒並み購入出来ず 唯一ラボ用にケミカルや印画紙を販売されている写真創庫さんで購入することができました 業務用なので1セット×4入りとなります 量が多いので暗室仲間と共同購入などできればいいのですが、、

カラー暗室の手順

前準備
現像薬品の作成

①発色現像液
オリエンタルカラー ペーパー現像用(RA-4)発色現像
A液 35ml
B液 25ml
C液 25ml
発色スターター 35ml
水 650ml

②漂白定着液
オリエンタルカラー ペーパー現像用(RA-4)漂白定着
A液 115ml
B液 120ml
水 500ml

上記の割合で配合します
容器はできれば遮光性のあるポリ容器にいれて保存してください 現像は液温30℃で作業します 作業する前に作成した液をあらかじめ湯煎しておきます 低温調理器があれば便利です

湯煎で30℃キープ

モノクロ暗室と大きく違うことはカラーは全暗でおこなわないといけないことです モノクロ暗室は赤色のセーフライト下で作業できるので手元が見えます しかしカラー印画紙は全ての光に感光するのでセーフライトもダメです 袋から印画紙を出す、イーゼルにセットする露光する現像タンクに入れる ここまでは全暗です もちろん現像処理も全暗で行います 慣れてしまえば問題ありませんでした フィルムの自家現像をされている方は同じく全暗で作業をするので割とスムーズに作業できるかと思います では手順を説明します

モノクロ暗室はセーフライト(赤)下で作業可能

① ネガをネガキャリアにセットする

ネガキャリアにネガをとりつける

② 画角を決める
③ ピントルーぺを使用してピントを合わせる

フィルムの粒子が見えたらピントが合っています 下には画用紙などを置きましょう

絞りは開放で明るくしてピント合わせを行う

④ マゼンタ、イエロー、シアンのカラーフィルターの値を決める


C,M,Yの項目がある

これはフィルムごとに変わります まずはテストプリントを行い徐々に好みの色に合わせていきます 今回はいくつかのフィルムで試した数値を載せていますので参考にしてみてください 先ずはM 90,Y 50,C 0でテストプリントしてみて色合いを確かめるとよいかと思います 考え方としては減らしたい色のフィルター値を増やします 例えばマゼンタよりだなと思ったらマゼンタの数値を+10増やします この際に数値が増えると露光時間も長くする必要があるので気をつけてください 色合わせの際に便利だったのがネガ→ポジに反転するスマホアプリです 片手でスマホ画面を見ながらフィルターの値を変化させていくとマゼンタが強くなったり減ったりとてもわかりやすかったです あくまで目安程度にしかなりませんが初心者には原理がわかって便利でした 参考までに

フィルターを増減させると露光時間も変化します 便利な係数があるので載せておきます

引用 Kodak 最新写真百科

⑤テストプリント

印画紙も高価ですので一枚使ってテストプリントを行うのは経済的ではありません なので印画紙をカットして短冊状にしたものをあらかじめ用意します 

印画紙を短冊状にカット 保存はもちろん全暗

カットする工程も全暗で行う必要があります 100均で売っていたペーパースライサーを使用しました 引き伸ばしレンズのf値をf11にセットします タイマーの時間は3秒にセット 短冊を用紙にセットしたら露光します 少し分厚い用紙(ノートでもなんでもよい)で短冊の3/4を覆って再度露光します 次は2/4を覆って露光、最後に1/4を覆って露光、現像タンクに入れて現像 これで3,6,9,12秒露光したデータが得られます 適正な濃さ、色合いに調整して問題なければ本番です

⑥現像


⑥-1 発色現像
前準備で用意していた発色現像液を計量カップに120ml移します 現像タンクを横に置き液を注ぎます 連続で回転させます 1分25秒 液を計量カップ、元の容器に戻します

ペーパー用現像タンク


⑥-2 水洗
水を120ml現像タンクに注ぎます 連続で30秒間回転させます 排水します

⑥-3 漂白定着
前準備で用意していた漂白定着液を計量カップに120ml移します 現像タンクを横に置き液を注ぎます 連続で回転させます 1分25秒 液を計量カップ、元の容器に戻します

⑥-4 水洗
水を120ml現像タンクに注ぎます 連続で30秒間回転させます 排水します 3回繰り返します

現像タンクから用紙を取り出します

⑥-5 水洗
バットなどに用紙を置き水で10分間連続水洗を行います 

⑥-6 乾燥
洗濯バサミなどに吊るし乾燥するまで干します

簡単に説明しましたが以上の手順でプリントできます

以下にプリントした作例、設定を載せておきます

FUJICOLOR 100

FUJICOLOR 100,M40,Y62,f11,露光12秒
同上
同上

Kodak Gold 200

Kodak Gold 200,M40,Y60,f11,露光7.8秒
同上
Kodak Gold 200,M40,Y60,f11,露光7.6秒

MARIX NEGACOLOR 800T

MARIX NEGACOLOR 800T,C40,M74,f11,露光8.4秒
同上
同上

まとめ

 カラーネガ自家現像をはじめた際にデジタイズ時(ネガをポジに変換)になかなか納得できない写真がいくつかありました 最近もフィルムをディスプレイ上の画像データとして楽しむことに少しもやもやしていました フィルムで撮影してもスマホの小さい画面に表示して終わるのが少しもったいなく感じたり インクジェットプリンターは以前から所有しておりたまにプリントして部屋に飾ったりしていました しかしこちらも何か物足りない モノクロ暗室をはじめて体験した際、とても感動しました 自分が撮った写真に、より愛着と自分が撮ったんだという実感が湧きました 暗室プリントをすることで一コマに一手間かけて向き合うことが関係してくるのかなと思います デジタルの現像だと自分の場合プリセットを当てて明るさを調整する程度なので一コマあたり1分もあれば現像できてしまいます 暗室プリントはまだ慣れていないのもありますが一枚プリントするのに30分以上かかります 動画の倍速再生機能、AIが小説を要約、タイパ(タイムパフォーマンス)という言葉が飛び交うこの2023年に一コマの写真に手間暇をかけて向き合う行為は時代にあきらかに逆行しているように見えます しかし世の中が加速する一方でマインドフルネス、瞑想などのワードも話題になっています 暗室プリント作業は暗室に入って外界から遮断されて黙々と作業をするので気がついたら2,3時間が経っていることがしばしばあります よく言うゾーンに入った状態かと思います もちろんデジタルの現像であってもゾーンに入って編集できる方もおられると思います 自分の場合はデジタル現像にあまりしっくりきませんでした もし同じようにデジタルで撮る写真にモヤモヤ、マンネリを感じられている方は暗室プリントにチャレンジしてみてはいかがでしょうか 出来上がったプリントを見てこれだ!となった感覚を是非みなさんにも味わっていただきたいです 自宅暗室はハードルが高いのでレンタル暗室などを最初は利用してみてください ワークショップを実施されているお店もあったりします トライアンドエラーを時間を気にせずできる自宅暗室はやはりとても大きなメリットですので自宅暗室の導入はかなりおすすめです!

これからの展望

 記事の冒頭にも書いてあるように暗室用品のほとんどがすでに生産終了しているものばかりです ほとんどフリマサイトで購入しました ですのでペーパー用現像タンク、ピントルーペ、イーゼル、引き伸ばし機 これらの必要不可欠な道具を安価で製作できないか模索中です 実用レベルにまでなったら販売も考えています せっかく暗室に興味を持ったのに道具がなくて始めることが出来ないのはあまりにも悲しいです 暗室プリント人口を増やす為にも手助けできる存在になれたらいいなと思っています 販売の予定は未定ですが出来る限りスピーディーに形にしていきたいのでここにコミットしておきます 最終的にはフィルムフリークとわいわい暗室プリントを楽しむ場所をつくりたいです 
film never die
フィルムは楽しいぞ〜 
以上 拙い文章を最後まで読んでいただきありがとうございました

参考図書

① 久門易の暗室完全マスター Hand Book ~自分でつくるモノクロプリント~
モノクロ、カラー共に内容が充実しています

②KODAK最新写真百科
モノクロ、カラー暗室、自家現像すべて網羅してます
とくにカラー暗室情報は充実していてわかりやすいです

参考動画

※注意※

廃液処理については自治体の方針に従ってください 薬品の取り扱いは自己責任でよろしくお願いします。

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