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初めに言葉ありき

『パフォーマンス医学』 先読みレビュー6 加藤 英男 さん

  私は、学生時代に2年間だけ一所懸命空手に励み、地区大会にも出場し、その後は中学まで頑張った野球を趣味(草野球)にしていました。

  中年期になり、学生時代の友人とSNSで再会し、彼が空手の指導者になって、大勢の子どもたちから慕われていることを知りました。私は、彼との再会がきっかけになって、空手道場に再入門し、壮年部の試合に出るようになりました。

 ところが、昔のようには行かず、悩んでいました。

  私は、思い余って、当時、格闘技ショップの店長に相談したところ、二重作先生のDVDを紹介されました。私は、その場で、同先生のDVDを2枚購入しました。

そこから、私は、アマゾンで二重作先生の書籍を購入し、実際に二重作先生主宰のセミナーにも参加して、昔のように上段蹴りやバックスピンキックなどができるまでなりました。

私は、それ以降、主にメカニックと安全衛生を中心に二重作先生(Dr.F)の活動を追いかけるようになりました。

そして、『パフォーマンス医学』です。

本書には、「脳のイメージにより、動員される筋肉が変わり、出力される運動が変わる」(p.45)という殺し文句があります。

 
脳のイメージを変えるのは言葉。

言葉の力。

その言葉を読み、実践することは、脳のイメージを変えるプログラミングをすること、でもあります。プログラミングを変えれば、身体の動きが変わり、結果も変わります。

 本書には、私が常々追い求めている、心身の操作法、心身の稼働率を最大限に高めるためにどうしたらよいのか、が書かれています。

 長らく一部の人だけしか実践できなかったこと(それは、天賦の才能と思われていたに違いない)が実は計算(証明、検証)可能なことである、と明らかにし、大勢の人が実践できるようにする。それを「科学の言葉」によって、です。

   例えば、本書で紹介されている、「5本の指を大きく開いてみる実験」(p.30)、「大きくつくって、小さく動く実験」(p.43)、「身体を超越してみる実験」(p.50)など「そんなことあるわけない」「やらせだろう」と思われる方もいるかも知れません。

 しかし、自分自身で実際にやってみると、おそらく殆どの方が、「現実」であることに納得されることでしょう。

一般的傾向として、武術の師範や先達は、技を見せて真似させてくれはしますが、「どうしたらできるのか?」というコツまでは教えてくれません。

稀に親切な先達がいて、「どうしたらできるのか?」というコツまでは教えてくれることはあります。しかしながら「なぜそうなるのか?」という原因部分まで明快に教えてくれる人は、まずいません。

おそらくは「なぜ?」の追求は、医科学の領域だからでしょう。

『パフォーマンス医学』では「脳のイメージにより、動員される筋肉が変わり、出力される運動が変わる」(p.45)と、「なぜそうなるのか?」という原因、そしてその仕組みまで、あっさりと明快に教えてくれています。

私は、ずっと以前から、自分自身の身体能力、頭脳に自信を持てないので、自分自信の心身の稼働率を高めないと、仕事でも趣味でもうまくいかない、楽しめないと思っていました。

そして、自分の心身の稼働率を高めるにはどうしたらよいのか、そのコツになるようなことを知るために、様々な本を読んだり、講演会やセミナーに参加してきたのです。

 今、本書を読み、自分の心身の稼働率を上げ、趣味の格闘技、草野球でパフォーマンスを上げるコツとともに、これまで謎だった武術の不思議な技のいくつかについても、「どうしたらできるのか?」「なぜそうなるのか?」についての、重要なヒントが得られました。

また「脳のイメージを変えるプログラミング」というコンセプトは、仕事や日常生活にも幅広く応用ができそうで、わくわくしています。

 明快な医学の言葉・定義は、原因、過程、結果を具体的に示し、「自己再現」、「他者再現(一般再現)」を可能にします。本書でも、たびたび言及される用語、「再現性」です。

それは、まさしく、「科学」です。

『パフォーマンス医学』に記された科学の言葉に触れ、感じ、味わい、身体の不思議、できる驚きを味わいましょう。

できる驚きは、できる喜びとなり、当たり前になり、私たちの活動を楽にし、満足度を高めてくれます。

 誰もが利用できる「一般性」、すぐに効果を発揮する「即時性」、利用するのに追加料金や努力無用の「無償性(低負担性)」、利用後に害悪が発生しにくい「低副反応性(但し、思わぬ高出力に身体が耐えられない場合があるかも…)」を帯びた言葉の数々。

本書は、手にした全ての人々の心身の稼働率を向上させ、パフォーマンスを直ちに向上させてくれる福音の書。繰り返し読んで身に付ければ、自身の通常能力がバージョンアップされるはず。

 もっとも、科学は、常に進歩します。

本書で示された、脳のイメージを変え、パフォーマンスを高めるコツに関するプログラミングは、今後も様々追加され、書き換えられて行くことでしょう。「人間の可能性を拡大する」(p.248)パフォーマンス医学の今後の展開がますます楽しみです。  加藤英男

PS 途中経過としてのパフォーマンス医学


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