見出し画像

激闘再び、帰ってきた80年代

 『トップガン・マーヴェリック』で、トム・クルーズが30数年ぶりに続編を手掛ける、そのニュースを聞いたシルベスタースタローンが『やるなぁ、トム。俺も何かできるかな……』と思ったかどうか、定かではありませんが、ほぼ同年代の作品を21世紀に蘇らせるという点ではどこか共通しているかもしれない『ロッキーVSドラゴ』が劇場公開されました。

 『ロッキーVSドラゴ』は『ロッキーⅣ』の再編集版、といえば簡単なのですが、90分強のオリジナルに40分の追加シーンを入れて再編集して90分強の作品にするという編集マジック。ということはオリジナルのほとんどのシーンを削除したということで、これはもう新作と言ってもいいかもしれない内容になっております。再編集の一番のポイントは『ロッキーが義兄ポーリーの誕生日プレゼントに送ったお手伝いロボット』のシーン全削除で、なるほどあれは80年代の最先端だけど、今見ると最もダサい部分かもしれない。その他細かいシーンも追加されており、オリジナルを知ってるものはどこが変わったのか気になるところ。

 劇場には自分と同年齢かその上の『80年代の中高生』が上映を待っていました。そして本編、冒頭から『え?』となる編集。ロッキーを知らない人間にもわかりやすく説明してくれる親切設計。

 スピーディーに物語が進むオリジナルに比べ、会話シーンを増やし、ドラマパートを増やしたことでキャラクターの心情がよく見えてくるという構成。でもロボットはいない。最初からその存在を否定されてしまっている。一方で『そこは残すのかぁ』なシーンもあったり。大筋は変わっていないけど、編集次第で見る人の印象が変わるというのもまた映画の面白さだったりするのかなぁ。

 クライマックスのロッキーVSドラゴ、ソ連での完全アウェーな試合に挑むロッキーの姿に、場内ではすすり泣く声も聞こえてきた。こんなに観客が泣くのって『砂の器』以来だなぁ。みんな最後は知ってるのに、それでも心を動かされてしまう。ロッキーってそんなシリーズなのです。でも、見ながら『ロッキーもドラゴもこの後悲惨な人生を辿るんだなぁ』とちょっと冷めた目で見ておりました。こんなご時世でなかったら、これほど応援上映がふさわしい映画もないですよ。声は出せないけど、足を小さく鳴らしてロッキーコールを送っておりました。

 もともと配信のみだった作品がファンの熱意で劇場公開、そしてその関数が徐々に増えているのもロッキーという作品が今も愛されてるからかもしれません。帰宅してから、答え合わせのように『ロッキーⅣ』を、そしてその後のささやかな生活を送るロッキーを描いたら、クソミソに叩かれたけど、個人的には大好きな『ロッキー5』見返してしまいましたよ。

 

 

映画館近くの大阪駅前には新作のプロモーションでガンダムがずらりと並んでおりました。これもロッキーと同じく70年代後半に生まれて、今も根強い人気を誇るコンテンツだなぁ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?