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血を吸う週末、80年代の今と昔

 最近のことをまとめて。

 週末は少し早い8月の超大怪獣2021.今月は『咬みつきたい』『血を吸う薔薇』の新旧和製吸血鬼映画二本立て。新旧といっても、新作扱いの『咬みつきたい』からもう30年なんですね。そういえば今月末から上映の『ヒルコ』も30周年。そんなに昔なの? と驚いてしまいます。

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 と、その前にあさイチでみなみ会館夏の一押し映画『サイコ・ゴアマン』へ。日曜日の朝、ライダー、戦隊の後に見ても何の違和感もないカナダ製SFアクション映画でした。

 宇宙最強の悪者怪人が、地球の少女にコントロールされ、そして追手を迎え撃つ。ドラえもんのような異人居候もの+東映特撮に血糊をぶちまけたような映画。着ぐるみの怪人たちが森や廃工場で戦うという、毎週見慣れた光景。あぁ、この監督好きなことやってるな、というのが見ていていやでも感じられます。かなりブラックなギャグも多くて、特に脳みそのバケモノの正体は……でも彼、特に嫌がってる様子もないからいいや。サイコ・ゴアマンを飼いならす少女のクソガキ加減も最高で、普通この手の作品ならのび太みたいなダメ人間がすごい力を行使できる、みたいなパターンですが、最悪の怪人に最悪の子供をドッキングさせたセンスがいい。劇中登場する架空スポーツ『マッドボール』がよくわからんけど、これも一過性のギャグに終わらず、しっかり伏線になっていた。もう一度見たくなる、そんな特撮映画。

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 そして『咬みつきたい』『血を吸う薔薇』の二本立てへ。どちらも吸血鬼という西洋由来のものをいかに日本に根付かせるか、に成功した作品。コメディタッチながらも極秘裏に発見されたドラキュラの血清を日本サラリーマンが輸血されてしまうという前者に、日本に流れ着いた異国人が迫害ののち鬼と化し、生きながらえるという悲劇性を盛り込んだ後者。緒形拳のドラキュラのミスマッチ感に場内は笑いが絶えない『咬みつきたい』。山間の学園という逃れられない閉鎖空間の中、わかっていてもギョッとなる岸田森の『血を吸う薔薇』。笑って怖がらせる二本立てでした。どちらも『吸血鬼は鏡やカメラに映らない』という設定をうまく取り込んでおりました。


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 そして数日後。珍しく、書き物仕事に追われ追われて、それでも時間に余裕ができたので午前十時の映画祭『ターミネーター』へ。中学生に衝撃を与えたB級SFアクションが、デジタル化されて帰ってくるとは! 何度も何度も見たけど、シンプルかつ、深いアイデアが秀逸。これも予算がないからアイデアで勝負、ついでに筋肉で勝負ということなのか。未来の殺人サイボーグと未来戦士、という万能そうに見える両者に枷をつけてサスペンスを盛り上げ、一夜の生死をかけた鬼ごっこを見事成功させている。撃たれても撃たれても何度も蘇り、外皮がはがれても骨格だけになってもひたすらに標的を追い、邪魔するものは容赦なく殺害していく冷徹サイボーグ、やはりこの時のターミネーターがよかったな、と年寄りじみたこと書いてしまいます。豪勢に、さらに派手になった『2』も好きだけど、シュワルツェネッガーがええものと聞いたときに、ちょっと萎えてしまったのも事実。いくら高性能でも、普通の人じゃ怖くない。あの筋肉だるまみたいなやつが迫ってくるから怖いのですよ。『こんな奴にどうやって勝てるの?』という不安感があるからいいのです。だから一作目のターミネーターはある意味ジェイソンやレザーフェイスみたいなホラー映画のキャラの系統でもあるんですな。

 『2』はやってることは前作と同じ、金をかけただけ、でも面白いんですよ、だから来週も観ます。で、これももう36年前の映画かよ! と愕然としたのでした。


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