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あれは反抗期だったのか?

私は、ほぼ反抗期の無い子どもでした。
中学か高校生の頃、学校生活がうまくいかなくて、無性にイライラして、心配して話しかけてくれた母に「うるさいんだよ!」と捨て台詞を吐き、部屋に閉じ籠った。
翌日もイライラは続き、母を無視するものの……。
母があまりにも悲しい顔をするので、「あ、やめとこ…」と思ってやめました。
たった2日間の反抗期でした。

大人になってから気付いたのですが、たぶん、私の家庭環境は、私にとってあまり良いものではありませんでした。もちろん、衣食住や学校など不自由なく行かせてもらいました。だから「私は、幸せなんだ。」と思っていました。

でも、ずっと寂しかったんです。


父は、無口で、怒るととても怖い人でした。
母は、そんな父に逆らうことなく、忍耐強かった。そして私は母が怒ったところをほとんど見たことがありませんでした。

父は仕事の事などで機嫌が悪いと、怒りを家族に向けてくる人でした。
私はそれが、心底嫌だった。

母はいつも、オロオロしながらも父を受け止めていました。私は成長するにつれ、そんな母が可哀想だと思う事が増えました。

我が家では、父の言うことが絶対でした。
「お父さんがダメと言ったから、できない」
「そんな事したらお父さんに怒られる」
小さい頃に叩かれたり、家から締め出された記憶があるので、意気地無しの私は反抗する事が怖かった。

しかも、反抗したら母が悲しみます。
母が悲しむ顔は見たくありませんでした。

「自分の本心は隠したままでいる。」
要するに、それが一番ラクだったんです。私は大事なことから逃げてきました。

父は無口なうえ、不器用だったため、家族への分かりやすい愛情表現も無い人でした。
大人になってから「ああ、あれは父なりの愛情だったのか」と気付く。そんな感じです。だから子どもの頃は「父は自分に興味が無いのでは?」と思っていました。

私が高校生の頃、未成年犯罪に関するニュースを見ていた父に、私の人格を否定するような発言をされました。

いまでも憶えています。
母が珍しく「お父さん!」と強い口調で父をとめてくれました。父は冗談半分だったのかもしれませんが、あまりにひどい発言だったと思います。

私は、涙が出るほど悔しかった。
でも、とうとう父に言い返す事はありませんでした。

私はその時、諦めたんだと思います。

「父と分かり合う事は出来ない。」

父との楽しい思い出もたくさんあったはずなのに。決定的な何かが崩れてしまったんです。
もう傷付きたくなかったから、父の事は諦めました。父を連想させる大嫌いな『怒り』の感情も、一緒に捨てました。

私の寂しさの原因は、ここにあったのではないかと思います。


みなさんは「反抗期の無い子は危ない」という話を、一度は耳にした事があるのではないでしょうか。

私はおそらく、危ないと言われるタイプでした。

私は思春期に怒りの感情を捨てたので、上手な怒り方が分からないまま大人になりました。

就職をきっかけに実家から逃げるように1人暮らしを始め、結婚、妊娠、出産を経て、私はおかしくなりました。
ホルモンバランスの崩れや、睡眠不足による疲労、子育ての不安……その他もろもろが、一気に溢れ出したのです。

私は、1~2年ほど常に怒っている状態になりました。色々なきっかけが重なり、あんなに嫌いだった『怒り』に支配されました。

夫にはもうホントまじで迷惑な話だと思いますが、あれが私の、真の『反抗期』だったのではないかと…。親が近くにいない代わりに、夫に当たり散らしたのです。
かなり恥ずかしいのですが、大人のくせして反抗期のお手本のように泣いて叫んで、携帯電話を破壊したり、壁に穴あけたり、とんでもない失態もやらかしました。
全ては「自分を理解して欲しい」という欲求でした。あんなに怒り続けたのは生まれて初めてで、内側から焦げて無くなるかと思った。「怒りは身を滅ぼす」とは本当ですね。

夫も相当しんどかったと思います。もう感謝しかありません。
もしあのとき夫に受け止めてもらえていなかったら、私は今ここに存在しなかったかもしれない。受け止めてもらえたからこそ、初めて自分と向き合い、ここまで落ち着く事ができました。


そして……怒り狂った後に思い出すのは、いつも父の事でした。

「あの時のお父さんも、こんな風に自分で自分を抑えられなかったのかな」

何となく、遠く離れた父の事を考える事が増えました。


おとうさん。

あの時、何を考えていましたか?

もし私が心を開いたら、私の話を怒らず聞いてくれましたか?

もしちゃんと会話が出来ていたら、分かり合う事が出来たでしょうか?

おとうさん、私のこと、愛していましたか?


これが、私の諦めていた本心だと気付いたのは、最近の事です。とても時間がかかりました。

怒りの感情を学んで、少しだけ、父の気持ちに近付いた気がします。

今は、この言葉を口にすると涙が溢れてきます。まだ父に直接聞く勇気は持てません。
父と答え合わせができる日は、来るのでしょうか。


今だから思う事ですが、反抗期は『怒る練習』なのではないかと思います。自分と向き合う大切な機会のように思います。

現在、私には小学生と幼稚園の子どもがいますが、これからどんな反抗期が来るのか。私に受け止めきれるのか、正直不安です。

反抗されても特別悲しい顔はせず、変に怒らず、受け止められたらいいなと思います。

私が子どもの頃、そうしてもらいたかったように。


この記事は、2日ほど前にかすみさんの企画記事を拝見して、急いで書きました。(10月7日しめきり)

マガジンでは、たくさんの方の反抗期について見る事ができます。

私の記事、反抗期から脱線しているような気がしてなりませんが……。かすみさん、どうでしょうか😂

めっちゃ重い話になってしまい、すみません。でも自分の心の中を少し整理できたような気がします。

色々な方の『反抗期の思い出』を読めて良かった。すごく考えさせられました。
かすみさん、素敵な企画をありがとうございました🙏✨

今までいただいたサポートを利用して水彩色鉛筆を購入させていただきました☺️優しいお心遣い、ありがとうございました🙏✨