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情報デザインコース卒業研究制作 | インタビュー第9弾 | 松本 優太さん

みなさん、こんにちは!
多摩美術大学情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展2024 - From: To:広報部門です。

今回のnoteは、卒業研究制作展参加者へのインタビュー記事の第9弾です。
これから約2週間にわたって全9名のインタビューをお届けしていきます!
彼らがどのような想いを持って今までの制作をしてきたのか、記事を通じて皆様にお届けできたらと思います。

第9弾は「デザイニング・エモーションゼミ」に所属する松本 優太さんのインタビューをご紹介します。


インタビュイー紹介

松本 優太 / MATSUMOTO YUTA
多摩美術大学 情報デザイン学科情報デザインコース4年
デザイニング・エモーションゼミ(主査:宮崎 光弘教授)所属

普段は主に、どんなもの・ことを制作していますか?

松本:過去の制作物を振り返ってみると、あんまり同じメディアは扱ってないです。3年の時に変な形のU磁石を粘土で作ったのですが、それ以来、粘土は比較的こねているように思います。大抵は表現したいものを考えた後に、何で形作るかは考えています。

どんな分野に興味がありますか?

松本:お笑いに強い関心がありますが、一言で好きとは言えません。子供の頃から面白いという言葉にやたらと執着してきた結果、お笑いを一言で好きと答えられない屈折した人間になってしまいました。少なくともお笑いに僕は好かれていないように思います。

卒業研究制作作品について

誰に届けたい作品ですか?

どんな作品ですか?

松本:コント思考と名付けた考え方と、その思考から作った架空の歴史と創作物です。
コント思考とは、「私たちの営みを俯瞰してみれば、それはコントかもしれない」というコンセプトのもと、視座を変えて物事をユーモラスに解釈する考え方です。ややこしいですが、この考え方自体も存在しており、社会に浸透しているという体をとっています。それでコント思考について記された古文書とか、コント思考を学習するための知育玩具とかを作りました。語っている歴史の内容も我ながらくだらなくて、火や屁から笑いを精製する「錬笑術」があったとか、AIが人間のユーモアを超える「お笑いシンギュラリティ」が起こるだとか、そんなのです。あと、作品を漫才思考でもユーモア思考でもなく、コント思考としたのは、単純にコントが好きなのと、コントの様式が日常の視座を変えるイメージと重ねやすいと思ったからです。コントって舞台にあげているだけで、よく見れば人間的な営みのあれこれです。この作品自体も、広義のコントのつもりで作りました。

作品を作ろうと思ったきっかけを教えてください。

松本:僕の好きなギャグ漫画の帯に、「明日への絶望が失望程度に変わる」という言葉が書いてあるんですけど、僕にとっての笑いとはまさにそういうものでした。僕たちの生活には面白がれる余地が実はいろんなところにあって、それを見つけて面白がることは、すごく創造的な行為だと思います。僕はそのことを作品にしたくて、「おもしろいって、おもしろい!」というメッセージを持った作品を作りました。それは言葉で伝えるよりも、実際に面白いものを作ってその中で伝えた方が見る側も納得感があるだろうなと考えて、結果こんな作品になりました。でも一番は、面白いという価値を信じたい自分に対して作った作品だと思います。

制作過程を教えてください。

松本:前期は本ばかり読んでいました。自分はお笑いを多く見てきたので、どうしても面白がり方にお笑い的なバイアスがかかっているなと感じていました。なので、“笑い”を扱いたいなら“お笑い”の外に出なくてはいけないと思って、笑いを科学的に説いた本とか、笑いを論じた哲学書とか、お笑いの批評とかを読んでいました。そうしながら、笑いって何だろうってことをずっと考えていました。この頃はコント思考を、コントに見られるような発想を体系化する試みとして制作していました。だけど、笑いってクリエイティブだよねってことを言いたいのに僕が笑いを説明しきったら、むしろ笑いを矮小化してしまうなと思って、途中でやめました。それから笑いの創造性をどう表現するかを模索して、積み木のおもちゃを作りました。この積み木は学習塾に協力していただき、実際に子供たちに遊んでもらいました。でも馬鹿馬鹿しく笑いを語りたいと思って、その積み木は実在するプロダクトということにして、最終的にはフェイクドキュメンタリー作品に仕上げました。

制作を通して気づいたことを教えてください。

松本:笑いは芸術表現だと思います。でも、よほど熱心にユーモアを思わない限り、笑いってそんな大層なものではないですよね。笑いは生活の中に当たり前にあって、テレビをつけると笑いはあるし、取り留めのない会話の中にも笑いがあります。そういうのってすぐに忘れてしまうようなものかもしれませんが、実は日常にある笑いから知らず知らずのうちに、明日を生きる英気を養っているんじゃないかなと思います。僕たちはそうやって笑いながら生きているんじゃないかと思います。この卒業制作で出来上がった作品が何なのか、自分でも掴みようがないところもありますが、真剣にくだらないものを作っていたのはそういうことかなと思います。

今後の活動や進路について教えてください。

松本:広告の制作会社に就職します。コントは作り続けます。

(インタビュー・編集:中野 梨杏・佐藤 萌香・パク ミスン、画像提供:松本 優太)


インタビュー第9弾、いかがでしたでしょうか。
本卒業研究作品は多摩美術大学 情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展に展示されております。
記事だけには載せきれない、実際に見るからこそ伝わる魅力がある作品がたくさんありますので、みなさまもぜひ会場にお越しください!

多摩美術大学 情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展2024 - From: To:

会期
3月8日(金)- 3月10日(日)10:00 - 19:00

場所
〒141-0022 東京都品川区東五反田5丁目25−19
東京デザインセンターガレリアホールB1&B2

アクセス
JR山手線五反田駅東口より徒歩2分
都営浅草線五反田駅A7出口正面
東急池上線五反田駅より徒歩3分

詳細多摩美術大学 情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展2024 - From: To:公式サイト

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