見出し画像

救世主ここに現る

「予約してませんね~」

店員さんのワードに固まるわたしと小6の息子…。

今日は春から、中学生になる息子の制服採寸の日だった。

1月の今週末までなら、割引価格でつくることができる。

他にも週末までならではの特典! サイズ直し3年間無料やら、シューズ袋プレゼントなどのサービスついてくる。

考えるのは皆一緒で、期日までに予約が殺到。
少し出遅れたわたし達親子の枠の選択肢は絶望的…

息子がバリバリの授業中の時間か、わたしがバキバキ仕事の時間帯のいずれかだけ。

仕事は中々休めないのが現実。
となれば息子に時間を調整してもらうしかない。

あまりにも早い時間の早退や、または遅刻はなんとなく罪悪感。
真面目なの。わたし…。

少ない選択肢の中からまだ一番校内に滞在できる時間の長い6限目の最後の方で早退することにした。


車で学校まで乗り付けるから時間厳守で門のところに来て!と息子と待ち合わせ。

息子はよく約束を忘れる…。

今日は家族で出かけるから、何時までに帰宅してやと伝えても8割忘れる。

遊んでいると時間もなんもかんもが吹っ飛ぶらしい。
息子だからなのか、世間の男子もそうなのか?

主人は42歳のおじさんで男子と言えない年齢だけど、主人も度々約束を忘れる。

作業に没頭しがちな時によくそれが起こる。
これは我が家の男だけの基準なのか?世間の統計なのか?

とにもかくにも今日は、絶対飛ばせない予約。
割引もかかっている。サービスもかかっている。
それに仕事、学校を調整する日を再度捻出するのは難しい。

息子には登校する前くどいほど伝えたかいあって約束の時刻1分前に門に現れて時はホッとした。

時間通りにお店に到着して、名を告げると
そこでまさかの予約がない…とな…。

ウェブ予約しました。
わたし、しました。
アワアワしながら予約画面を探すけどでてこない。
なんで?!あの画面は幻だったのか。

スマホを高速で操作する横から次々と予約の親子連れで店内が溢れる。

待ってましたとばかりにおばちゃん店員がわらわらとそちらの採寸にとりかかる。

わたし達どーなるの…。

別の店員さんが2,3人集まってきてタブレットを操作しながらないですを連発。

もうお帰りいただくしか…
予約は別の方で埋まっているので…
ちょっと今日は無理ですね…

そんな。そんな。

わたしが予約の際、何か操作の不手際でミスがあったのだろう。
自分のどんくささを呪う…。

そもそも予約でパンパンの合間をぬって抑えているのだから、現状を考えると予約なしできた形になるわたしたち親子の枠はなくて当然。

いや~でも帰りたくない。
まただなんて嫌だ。嫌すぎる。遠いねん。しかもここ不便やねん。

心の中で叫ぶけど、店員さんを困らせるわけにいかない。

ハーとかヘーとかが口から洩れつつも、なんとかお願いが言えない。
そりゃ、迷惑やんな…。

おばちゃん店員さんたちはもう帰る一択ですのでの空気100%だしている。

だめかと思いながらも足がとどまりたい言っている。

その時、シャーーーーと店の奥のカーテンが開いた。
中から菊池凛子似の店員さんが登場。

エプロンを半分つけるしぐさをしながら、どうしましたか?と聞いてくれる。
おばちゃん店員さんらが事情を説明。
ねっ! これは帰ってもらわなーみたいなことを説明している。

凛子が出てこようとも、もう帰るしかないか。

諦めモードのその時!!!

「わたし今、出勤したから、わたしがやるわ!」
「一人ぐらいすぐ採寸できるやろ。大丈夫やで」

とおばちゃん店員さんを説得してくているのが聞こえる。
若干、不服そうなおばちゃん店員さんたちの様子が離れて場所でも感じ取れる。
すまぬ。

申し訳ない気持ちになるけど、お願いできるなら非常にありがたいのもまた事実。

おばちゃん店員たちの賛同を得るまえに再度、
凛子の男前な「できるからやるわ!」が聞こえる。

アワアワしているわたし達の元にスーーーと来てくれて
「わたしが測らせもらいます!」
「さ、こちらに」と試着室に息子を誘ってれた。

凛子!!神か!!神なのか!

神だからなのか、神がかった手つきでサクサクと採寸をしてくれた。

それがまた雑でもなくて、少年体系がまだ残るヒョロリンした息子の今後の成長まで見越して丁寧に説明をしてくれた。

ベストな丈を提案してくれる中にもこちらの意志もきちんと確認をとってくれた。
わたしは凛子の言うことならなんでもハイ!ですからの気分で、
ありがどうございます。助かりますを連発。

ベルトが不慣れな息子には
「こうやって、しっかり腰でとめるねんで」
と、優しいやないの。泣けるやないの。

もう、凛子とは呼べない。

凛子様の登場で無事に採寸を終えたることができた。

規則ですから、予約してませんから、操作ミスとか知らんから、お帰くりださいモードのおばちゃん店員さんも凛子様の神接客に最後は一緒になって親切にして下さった。

凛子様、皆さまのおかげで今日なんとか無事に割引とサービスを死守しながら採寸に漕ぎつき再来店を免れることができた。

そもそもがわたしの落ち度。
ほんとにすみませんしかない。

レジで会計を済ませ店を後にする時、店内の凛子様を探してじゃまにならないように
お礼を伝えた。

凛子様は言う。
「ちょうどこの時間でほんと良かったですよ。他の日なら完璧アウトでした。たまたま他の人も誰も待たせてないし、お客さんタイミングよかったです」

アワワワワワワ…。
なんとな。
優しい。

身も心も小さいく小さくして、再度お礼と感謝となにかわからん賛辞を述べて店を後にした。

息子と帰り道。
「予約の段取り、やらかしててごめんね…。
でもマジで助かったな。」

うんうん。
息子も一安心の顔。

わたしは今日。誓った。

今度だれか困っている人がいたら絶対全力で助ける。力になる。

規則とか、決まりとか、段取りとか、めちゃくちゃ大切なのはわかる。

だけど最善を尽くしてイレギュラー対応してくれた凛子様の様な人でありたいと思った。

凛子様へのせめてものお礼で彼女に直接反映はないだろうけど、ズボンの生地を格上げさせてもらった。

当初は4ランクあるズボンの生地を一番下のものでチョイスしていた。

どうせ息子のことだから保障があるとはいえ、破いたり、なにかして、上等なんは、もったいないわ。
一番安いポリの生地でいっとこと思っていた。

だけど、親切に何か少しでもお返しがしたくて支払い時に一番高いウールの率が高いものでお願いすることにした。

儲かるお店って、愛されるお店ってこういう店員さんがいる店だよね。

まずは、母しっかりしろよって話だけどね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?