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ザ・クラッシュ 「サンディニスタ!」+ケン・ローチ「カルラの歌」

「ロンドン・コーリング」に続いて発売されたクラッシュの4枚目のアルバム「サンディニスタ!」は、レコード3枚組の超大作で、ロックン・ロール、レゲエに加え、ダブ、R&B、カリプソ、ゴスペルなど音楽の幅が飛躍的に広がると共に、散漫な印象を与えてしまい収集がつかなくなったような作品という当時の評価でした。 最近、新たにこの作品が気になって、当時の社会情勢を調べながら、聞き直し、歌詞を読んでみると、その幅広いジャンルにまたがった音楽で、ジョーストラマーとクラッシュが伝えたかったことが

Reverberations (Travelling In Time) BBC Radio Sessions & Creation Singles 1985-86 / Primal Scream

最近はフランスのラグジュアリーブランドChanel のマンチェスターでのショーに登場し、今でもメジャー/マイナーの垣根を飛び越えた活躍のPrimal Scream/Bobby GillespieがJesus &The Mary Chainのパート・タイム ドラマーをした後に、友人Alan MacgeeのレーベルCreationからの2枚のシングルと当時のBBC録音を収録した1985年当時のコンピレーション。ライナー・ノーツは、当時のスコットランドはグラスゴーの”ネオアコ“シー

Meshell Ndegeocello~at Billboard Live Tokyo 2024.02.14

Funk、Jazz、HipHop、R&B、アフロビートなど様々なジャンルを横断し、唯一無比の世界を作ってきたマルチアーティスト/ベーシスト、ミシェル・ンデゲオチェロ(Meshell Ndegeocello)。ずっと観たかったのですが、ジャズフェスティバルなどでは近年も来日していたものの、単独ライブの方がいいなと思い機会を逸してましたが、待望のビルボード東京でのライブ。 新作は、Jazzの名門Blue Noteからの「The Omnichord Real Book」。 Robe

「Stop Making Sense」4Kリストア版@IMAXシアター

約40年振りに観ました。83年作ですが、僕が見たのは、85年。レイト・ショーのみの公開でした。 当時は、メンズ・ビギがプロモーションをサポートしており、店舗にも大きなポスターが貼ってありました。あの時代、肩幅を強調したジャケットが大人気でしたが、あのスーツは肩だけでなく、身頃も巨大で来日時に観た能にインスパイアされたそうです。 改めて、彼らの音楽をまとめて聴いてから観たので、その辺の話から、映画につなげたいと思います。 さてTalking Headsといえば、Televis

「Perfect Days」ヴィム・ヴェンダース監督作品

東京国際映画祭の先行上映時は、旅行中で 行けませんでしたが、やっと観る事が出来ました。(以下ネタバレ注意ですが、その話の筋というより、日常の何気ない風景や仕草 そして徐々に変わる感情の変化の描き方が素晴らしいです)  カンヌで主演男優賞を受賞した役所広司さんが初めの1時間?近くは全くセリフはなく、古アパートに住み、朝早く起きてからのルーティン、そしてトイレ掃除の仕事、早く仕事が終わり、銭湯に入り、浅草の居酒屋でくつろぎ、その後、行きつけのスナックで一杯やり、寝る前に読書という

菊川のStrangerで「Get Crazy」。

1983年 ロックの殿堂として名高い会場での 大晦日の年越しロック・コンサートの話。 監督は「ロックンロール・ハイスクール」のアラン・アーカッシュ。 フラワー・ムーブメント全盛にグレートフル・デットやCSN&Yなどのアーティストが毎夜出演したフィルモア・イーストでステージライティングを担当していた人で当時書かれた脚本を撮影された83年にアレンジしたそうで、映画内でも15周年(68年から数えて)アニヴァーサリーと言っています。よって当時を引きずるヒッピー集団やヘルス・エンジェル

Last /The Unthank

The Unthanks の初期の3枚のアルバムがそれぞれ2枚組でアナログ化されて、興奮中の私。EMIから権利を買い取り、自分たちのレーベルからの発売で、装丁もこだわっています。  2010年ころだったと思いますが、当時、ロンドンのオックスフォードストリートにあった大きなHMVのお店の地下に英国フォークのコーナーがあり、そこで見つけたのが、BBC Radio 2 Folk Awardというその年の活躍した英国フォークのアーティストのコンピレーションCDで、毎年これを買うのを楽

ソウル・フラワー・ユニオン 結成30周年記念ツアー at 京都磔磔

久し振りに磔磔に行ってみようと思い調べたら、Soul Flower Unionが出るというので、おそらく40年ぶり。学生の頃なんで、多分、スターリン、じゃがたら、リザードとかを観たんじゃないかと思います。あの時を思い出させてくれます。住宅地にあるので、今日は6時スタートで9時には終了しないといけないらしい。 中川敬さんは前身のバンドNewest Model の頃から好きで、パンク/ニューウェーブの疾走感と突破力に楽曲の良さで当時邦楽にあまりカッコ良いと思うバンドはあまりなかっ

【カリブ海とアフリカの移民から読み解くUKジャズのムーブメント】~青山学院大学 英米文学科「イギリス文化特講」

今日は、青学で行われたオープン講義に参加。  大学のキャンパスはいいですね。  数年前から気になっていたUK Jazz。今回の講師は、「Jazz The New Chapter」という冊子とCDそして多くの記事の投稿で、最新型ジャズを紹介している柳樂光隆さん。 奴隷としてアメリカに連れてこられた黒人やクレオ―ルによりニューオリンズで生まれたJazzが、カリブやアフリカから移民として、英国に渡ってきた黒人たちにより、 どのように独自の発展を遂げたが、大英帝国による植民地時代から

『シェイン 世界が愛する厄介者のうた』Crock of Gold: A Few Rounds with Shane MacGowan

年末にケルト系のミュージシャンを呼ぶ10年以上続くイベント“Celtic Christmas”。 今回は、ザ・ポーグスのフロントマンを務めたシェイン・マガウアンのドキュメンタリーも上映されるということで、楽しみにしていたところ、シェーンが亡くなったというニュースで、追悼上映となってしまいました。(その後のピーター・バラカンのトーク・ショーもトム・ウエイツによるシェーンのSNSでのコメントの説明から始まりました) この映画は、アイルランドからの移民の両親から生まれたシェーンが、

40 Years of Morrissey in Tokyo,2023

昨日はモリッシーの40年にも及ぶキャリアを総括するツアーの唯一の日本公演。 僕にとっては、1991年の日本武道館での初来日公演以来になります。 40年前、イギリスの新しい音「New Wave」に魅せられ、「Cherry Red」「Factory」「4AD」など個性豊かな多くのインディレーベルから発売される知らないバンドの新譜を“レーベル買い“する日々。そして、十字屋やリバーサイドなどの京都のレコード屋を徘徊する中、新京極は詩の小路にあった優里菜でもNew Wave のスペース

Shabaka And The Ancestors Live at Billboard Tokyo

先月のNubya Garcia に続きUK Jazzの重要人物の相次ぐ来日。Shabaka Hutchinsは、並行して3つのプロジェクトで活動していますが、The Comet is coming,Sons of Kemet そしてこのShabaka And The Ancestors。 このバンドは、南アフリカのミュージシャンの共演。南アフリカといえばイギリスの植民地だったわけで、アパルトヘイト政策に反対するミュージシャンがイギリスに移り住んだりとUK Jazzシーンと繋が

テデスキ・トラックス・バンド、4年ぶりの来日公演

今日はテデスキ・トラックス・バンドの初日。 幸運にもど真ん中の前から2列目。 優しくフォーキーな歌い出しから徐々に熱を帯びて、 ダブルドラムスの重戦車のような乱れ打ちにデレクのスライドが炸裂。腕達者なメンバーのアンサンブルも勿論ですが、僕も昔ギタリストになりたかった事を思い出すデレクのギターそしてスーザンのギタリストソロを優しく見守る眼差しに魅了されました。前方席の特権でセットリストとスーザンのピックも頂きました。「Bell Bottom Blues 」やりましたよ。

Nubia Garcia at Blue Note Tokyo

現在進行形のUKジャズの中心人物の1人ヌバイア・ガルシアのブルー・ノートでのライブ。 カリブ海やアフリカからの移民ら 社会的弱者である黒人が多く住むブリストルやノッテイングヒルで生まれたUKレゲエは、白人に若者から生まれたUKパンクと繋がり、70年代後半、不況下のイギリスにおいて、社会に不満を持つ若者の“レベル・ミュージック”として、機能したわけです。そして、時代が変わり2010年代より南ロンドンを中心に大きなムーブメントになって来たUKジャズも彼女が「ノッティングヒル・カー