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認知症日記(4) 夫の歩き方がおかしくなったと思ったら、軽い脳梗塞でした。鍼灸院に行ってよかった。

2年ほど前、夫と一緒に近所の定食屋で夕食を済ませた帰りに、夫が急に、ととととっと早足で歩き始めたのでした。
普段は、歩くのがむしろ遅いのに、つんのめるような早足。
「どうしたの?」
「わからない」

以来、ときどき歩き方がおかしくなった。

かかり付けの内科に行って、医師に訴えたら、
「舞踏病っていうのは、あるけどねえ」
と、とりあってもらえませんでした。

ならば。
いきなり大きな病院に行ってしまおうと、MRIのある病院に行きました。

診察を受けて説明すると、「じゃあ、とりあえずMRIでも撮りましょう」
ということになり、
結果は、
「軽い脳梗塞のあとがありますね。
ちょうど(定食屋の帰りに歩き方が変になった時期である)二週間くらい前、
ですかね。
軽くてよかったですね」
で、診察は終わってしまったのでした。

要するに、やることがないらしい。
麻痺が残っているわけではないから、リハビリも勧められない。
でも、ときどき転ぶんだよなあ。
歩き方、やっぱり変なんだよなあ………。
仕事には行っていたんだけど。

そこで、ネットで鍼灸院を検索して、
信頼できそうな先生を探し、電話で予約して診てもらいました。
(先生は親の代から鍼灸師………ではなく、そのまた先代も鍼灸師だったらしいです)

予約した日に行くと、先生は夫を診察台に座らせ、人差し指を立て、
「はい、ではこの指を目で追ってください」
と言って、指をゆっくりと右へ、左へと動かす。
目で追う夫。けれど、目の動きが途中で引っかかる。
先生は、うーん、という感じで考え考え、様子を見ながら頭に数本の針を打っていきました。すると、目の動きが滑らかになる!

そんなわけで、最初は毎週通いました。
しばらくして、二週間に一度に、そして一ヶ月に一度に。

うちのマンションのお掃除のSさんが夫の様子を見て、
「おとーさん(Sさんにとって、一家の夫はみな「おとーさん」らしい)、
良くなって良かったねえ!」
と言ったくらい。他の人からみても、あきらかに良くなっているみたい。
(てか、家族って逆に、よく分からない部分がありますよね。毎日見てるから)

別の日、Sさんが、
「ほんと、良くなって良かったねえ。愛の力だね」
と、声を掛けてくれました。曖昧に微笑む私。内心、
「残念! 愛の力ではなく、鍼灸院の先生の力と、
鍼灸院に通える程度の夫の資金力ですっ」
と、思っていたのでした。

鍼灸って、いろんな派があるらしいですけれど、
夫には、今の先生が合っているのかも。

ただ、それでも認知症のほうは進んでいます。
認知症と軽い脳梗塞(×2回)が、どう、からんでいるのか。
あれから、最近まで6週間に一度、というペースで通っていましたが、
また、ちょっと調子がイマイチみたいで、
前回、鍼灸の先生から、
「しばらくまた、できれば間を置かずに来てください」
と言われたのでした。

鍼灸の治療を受けると、なんというか、目に力が戻ってくる感じです。

一筋縄ではいかないけど、気長に、なるべく気楽に、思い詰めずに、日々穏やかに暮らしたいと思っています。

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