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観光客誘致に成功した京都のインバウンド(1) ー 次の課題へ

2020年のオリンピックを控え、日本全国で海外からのインバウンド旅行者の誘致が全国の自治体で行われている。

その中で観光客誘致の面では、京都市は圧倒的な成功例であると言えるだろう。

京都市への年間観光客数は過去3年連続で5000万人を維持しており、平成29年には5,382万人を達成している。平成24年の2,621万人に比べると 2倍以上の成長である。(京都府ホームページより)

「Travel + Leisure」誌に5年連続でベスト10に選ばれた実績もある。

観光消費額は年間1兆円を突破し、市の目標を4年前倒しで達成している。

観光客誘致、また消費額に対する政策に関しては大成功を成し遂げているした京都である。

一方では京都は、次の課題に直面している。

オーバーツーリズム

オーバーツーリズムとは

In short, overtourism occurs when there are too many visitors to a particular destination. “Too many” is a subjective term, of course, but it is defined in each destination by local residents, hosts, business owners and tourists. (quoted from Responsible Travel)

オーバーツーリズムとは、

特定の場所にビジターの数が多すぎる状態になった時に見られる現象である。「多すぎる状態」とは主観的な言葉ではあるがそこに住む人々によって定義されている。
宿泊施設の異常な値段の跳ね上がり、旅行者による車両で狭い道の混雑状態、観光地の景色を楽しむ事が出来ない程の人混み、環境破壊。全てオーバーツーリズムによる現象である。

オーバーツーリズムはどのように起こるのか?

これらは、旅行産業がグロースばかりに集中し、そのインパクトについては考えを及ぼさなかった結果に起こる現象である。結果、コントロールできなくなった成長によりその地域には利益よりも問題を起こしてしまうのである。

オーバーツーリズムが起こる原因は地域によって様々である。よく例としてあげられるのは、宿泊施設の増加が挙げられる。Airbnb等のホームシェアの認知が広がり、またホステル等の簡易宿泊施設の増設により旅行者の数の規制に歯止めが効かなくなる状態があるそうだ。

日本全国のケースでいえば、安倍政権による戦略的なビザの緩和、また免税品の大幅な充実など大胆な改革を矢継ぎ早に行ってきた結果であると言える。

実際、京都ではオーバーツーリズムによってどのような現象が起こっているのか。

1. 京都での市中心部の交通渋滞が悪化

そのインパクトは市民生活に大きな支障が出ている。

京都の市バスの出発地点の多くが観光名所になっている為、観光客は席を確保し、日常的にバスを使う地元の人々は席に座る事ができない。また、繁忙期にはバスに乗る事さえもできない。

個人旅行客だけではない。団体旅行客からもネガティブなインパクトが起こっている。
京都の道は、広いわけではない。例えば、金閣寺のような小さな地域にあるお寺は手前の道路は一車線になっている。市バスが通る道ではあるがそこをを複数の大型バスが道を塞いでしまい、30分以上の遅れが市バスに出たケースもあった。


京都の交通のインフラは147万人と4000万人程度の観光客を想定されているそうで、また想定時には今のような個人旅行ではなく従来は団体旅行が中心であった。ここ一年で公共交通の旅行客は2割以上増加している。キャパオーバーになるのは当然である。

2. 特定の観光地のみに集中して観光客が集まっている

世界最大の旅行サイト、トリップアドバイザーによると、
伏見稲荷大社に続いて、清水寺と金閣寺、また嵐山の竹林は旅行者の行きたい人気観光地TOPに入っている。

そのような観光地では人がごった返し。ゆっくり情緒ある場所を楽しむ場合ではなくなってしまっている。人が写らないよう写真を撮るにも一苦労。

旅行者によれば、嵐山の竹林で人が写り込まないいい写真を撮りたければ、朝の08:00前には現地には到着しておかなければならない状態だそう。

かといって、同じ嵐山でも竹林から徒歩20分ほど離れた場所にある日本人の間では名の知れている祇王寺や愛宕寺等のお寺には訪日旅行者は一人もいない状態なのである。

観光客誘致に成功した京都市の次の課題

京都市のインバウンドは、観光客誘致という局面から観光公害対策という次のステージに舞台を移しつつある。

次の記事では、
実際にどのように課題解決する方法があるのか、日本国内外の事例も扱いつつ提案します。

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