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走る東京プチトマト

きょうも1キロ採れたプチトマト。
東京でも、おいしい。小さな庭でも、おいしい。
桃源郷でなくていい。東京でいい。



三千年(みちととせ)の桃

トマトの写真ではじまったけれど、桃のおはなしから。

中国で、桃といえば「不老長寿の果実」。
三千年に一度実を結ぶという不老長寿の桃。そのくらい長いスパンで偶発する不思議な力という喩えでもあるのだろう。

もう一方で、古事記にも、威力をもつ桃が登場する。イザナギが魔物に投げて退治した桃がゆえんで「邪鬼を払う果実」と呼んだ。


そうそう、疫病の渦にまかれながら、人々が、理想的な言葉や思考を仙人や神のように羅列することに懐疑を抱いていた。天地開闢や仙人が住む桃源郷なんてないのだから。おかしな世の中になって、今さらながら「わたしの国の政治は善だ、わたしの国は悪だ」とか「わたしたちの心の中が変わるだろう」と、あちこちの国の、いろいろな人が、仙人(達観者)になったような口調で言っているのが滑稽だった。あの戦争や震災でそう思ったのに、あの悪な政治体制を非難しつつも、けっきょく変わらなかった人間たちを思いながら。



明日は明日の風が吹くトマト

わたしたちの東京は、長いこと静かに、春も夏も抑制されている。ゆっくりだからこそ、少しだけ心の中が変わった。マスクや手洗いうがいは日々の生活文化だったし、電車の中もそもそも静かだったから、生活様式の変化は日本文化のなかに溶け込んでゆく。

孫悟空は、不老不死に憧れて桃を食い荒らしたとか。幸福を求めすぎて、三千年の桃を奪いあってはいけないな。明日は、明日のトマトを、東京では東京のトマトが食べられればそれが一番だ。野菜を育てても、海を渡った旅をつづけていたため、実りをいただけない夏を過ごしていた。この夏は東京にいるので東京の小さな東京トマトを毎日ほおばっている。


走るプチトマト(45秒動画)

最後に「走る東京プチトマト」をどうぞ。45秒間で走り抜けますから、目をこらしてどうぞ。オーブンでなくフライパンで焼いてもおいしい。応用編として、フライパンで焼いたら白ワインを入れてアルコールを飛ばし(水でもよい)茹でたパスタ(または冷製パスタ)を絡ませても。

陶箱のうつわコッチョリーノは直火、オーブン、レンジ使用可能


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