おうし座18度のサビアン「バッグを窓から外へ出している女」は私が好きなサビアンシンボルの一つです。特にこの度数に天体があるわけでないので、持っている人がいたらうらやましいな～。って思います。

以前、松村先生がサビアンの説明をされていた時に、バッグの中身（私たちの頭の中や胸の中にあるもの）をすべて吐き出して、投げ出して空っぽにすると、もっとたくさんのものが入ってきて、前よりもバッグが大きくなる。。。。みたいな趣旨のお話をされていたと思います（うろ覚えですが）。

私はこの時に漠然とギリシャ神話にある「パンドラの箱」の物語を思い浮かべていました。

パンドラの箱の物語についてはこちら👇

私たちは人の形をした「箱」

神話などで神様が人間を作るとき「土から作った人形」とか「皮で作った人形」みたいなたとえがあると思います。
実際、私たちは土から作られた作物を食べたり、作物を食べて育った動物を食べているので、食物連鎖的には「土」を食べて肉体を維持していると思います。
そんな土人形、泥人形なのですが、人形という器の中に魂というか、こころというか、そういう形のないものが封じ込まれて初めて「人間」になるのだと思います。
だから、私たちは誰もがみな、土人形っていうか肉体という箱に閉じ込められている存在なのだと思います。
箱の中に閉じ込められている私たちの魂やこころといったものは、日々の生活の中、人とのかかわりの中、言葉にできなかった思い、喜怒哀楽といった感情、考えといったものをたくさんため込んでいきます。
言葉や音楽、絵やダンス、運動などで感情や思考を表現したり、消化？昇華？できればいいのですが、日々たくさんのことが起きて、たくさんの印象を感じているから、表現や消化、昇華作業が追い付かなくなると思います。
そうしているうちに、箱の中にはたくさんの感情や思考がため込まれ、どんどん古びて、腐敗して、錆びていて、垢まみれになって重くなってしまうのだと思います。

感情や思考を自己表現したり、消化や消化させないと新陳代謝が悪くなって、感情や思考までも重たくなる、腐敗する、錆びつく、垢まみれ。みたいな感じかな？って思います。

で、感情や思考をため込んでため込んで、腐敗して、錆びていて、垢まみれになって、重たくなったものの保管庫が「パンドラの箱」なのだと思います。

パンドラの箱は私たち一人一人が心のブラックボックスにしまい込んだ感情や思考。言葉にできなかった「重たいもの」を現すと思います。

うまく書けないのですが、たぶん私たちは「下意識」と呼ばれるものを心のブラックボックス中に押し込んでいると思います。
下意識はたぶん「貪食」「淫蕩」「金銭欲」「悲嘆（心痛）」「怒り」
「アケーディア（嫌気、霊的怠惰）」「虚栄心（自惚れ）」「傲慢」っていう7つの大罪に近いものなのかもしれません。仏教的に言うなら「欲」・「ものおしみ」・「むさぼり」の貪・「いかり」・「にくしみ」の瞋・「おろかさ」の癡といった三毒みたいなものかな？って思います。
いずれにしても、あまり好ましくない感情とか思考、精神状態をを七つの大罪とか、三毒と言って意識の奥底、こころのブラックボックスに押し込んでパンドラの箱を作っているのだと思います。

でも、七つの大罪には七つの美徳が対になっていて、三毒には三心所があるので、片方だけ選ぶいいとこどりはできないのではないかな？と思います。
光が強くなると影もまた濃くなるように、七つの大罪が大きなものならば美徳も素晴らしいものになって、三毒の毒性が強ければ強いほど、三心所も大きく広いものになる。みたいに思います。

私たちは意識の奥のほうに、こころの中に、パンドラの箱を持っていて、その中に七つの大罪に挙げられるような感情や思考、三毒と呼ばれるような感情や思考を無理やりしまい込んでいると思います。
七つの大罪や三毒は宗教が不道徳とか穢れ、みたいにラベリングするから、タブー感や罪悪感という印象操作があると思います。
でも穢れのない神聖さはありえない。口先だけの清廉潔白さは絵に描いた餅だと思います。
真に美しいもの、善なるものは穢れ、生々しい欲や衝動、狂気、邪悪さの中にあると思います。
穢れることを受け入れず、他者に押し付けて自己を正当化さしても、本当に美徳は身につかないし、本当の三心所も行えないと思います。

罪とか毒とか宗教が道徳的に「よくない」と一方的に決めつけているものは「下意識」とか「シャドー」と呼ばれるものの正体なのでは？って思います。私たちは自分が認めたくない思考や感情をシャドーとして影の領域に追いやって、一見善良で道徳的な人間としてペルソナをつけて生きているのではないかな？って思います。

タロットカード「力」

人間が上になって下にいるライオンを抑え込んでいる図柄が特徴的なタロットカードの「力」。ウェイト版では8番目、マルセイユ版では11番目のカードです。

「力」のカードは人間の意識が動物的な欲望や衝動といった動物を手なずけている？抑え込んでいる？みたいな図柄です。心理学のアーキタイプを借りるなら、ペルソナとシャドウの関係に当たると思います。
社会的な生活を送るための仮面が、生命の源から湧き上がるエネルギーを抑え込んでいる、理性で衝動を抑え込んでいる感じだと思います。
ただ、理性で根源的な欲求や衝動を抑え込むことが本当に正しいのか？人間も動物なので衝動を抑圧したままでいいのかな？って思います。

社会的に正しく生きるために、周囲と波風立てないようにして安定した生活を送るために、「パンドラの箱」に不都合なものを押し込んで、なかったことにする。ペルソナの仮面をつけてシャドウの存在を陰に追いやってしまえば社会生活の中で表面上は均衡のとれた生活、安定とか安心を得られると思います。

でも、リスクを伴っても、見せかけの均衡や安定が壊れることになっても、パンドラが箱を開けたみたいに、動物と一体化して衝動的に生きること、シャドウとして扱っていた領域を表に出すことも必要だと思います。
パンドラの箱を開けたり、衝動的な行動に身を任せるのは怖いけれど、いつまでも仮面をかぶったままでは、偽りの人生に終始してしまうと思います。

そして何より、箱を開けて影を解き放つとき、七つの罪や三毒を体験した後には希望の光が見えてくると思うのです。

松村先生は箱を壊すことをタロットカードの「16塔」に例えていました。
箱を壊すことは、意識の中にある防御壁を壊す作業だと思います。
認めたくないものを認めて受け入れる、自分の中にある衝動、欲望、動物的な部分に身をゆだねる。ゲシュタルト崩壊みたいな感じでしょうか？

そうすると、タロットカード「17星」のように塔の壁が壊れて、ペルソナをはがして、本来の姿に戻れるのだと思います。
タロットカードの星に描かれている女性は、ひょっとしたら箱を開けた後のパンドラなんじゃないかな？って思います。
彼女が箱を開けたから、夜空には希望の星がいくつも輝いているのだろうな。って思います。
パンドラの箱を開けた後、ペルソナを外した後は無防備になるから、些細なことにもダメージを受けると思うし、大変だろうな～。って思います。でも、やらないと何も始まらないし、新陳代謝が鈍ってどんどん老化してしまうとおもうので、ちょっとずつ挑戦するかな？