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落ちこぼれシニアのリベンジ読書~『リベラルは死なない 将来不安を解消する設計図』井手英策編~

【「All For All(みんなの税はみんなのために)」という政策のもと、消費税を軸としながらみんなで痛みを分かち合い、同時に富裕層も含めたすべての人たちの命と暮らしを保障する】
民進党の当時の政策である。この著書はその政策の詳細について、著者である井手氏を中心に国会議員が得意分野(!?)を章立てにして棚卸したものである。
結論的には、井手氏の「税の話」、旧ニセコ町長の経験談をもとにした逢坂氏の「地域活性化の話」は興味深かった。ただ他の6名の方のレポートは、こちらのリテラシーの問題とは思うが、具体性に乏しく、当たり前のことや理想論が書かれているだけであり、あまり心に響かなかった。
「将来不安を解決する設計図」とサブタイトルにあったが、自分の中では不安は解消しなかった。
 
まずは参考になった井手氏の「税」についての話。
井手氏は、消費税を軸としながら、これに富裕層への課税を組み合わせた「税のベストミックス」の追求をうたっている。それによって「全員が受益者」となることを目標としている。ベストミックスについての記載はなかったが、別の著書によると低所得者も富裕層もともに受益感を感じることのできる「共存型再分配モデル」という提案もあると聞く。
この著書の中では、税についての理解と議論を強く訴えている。自分自身も「税金はとられるもの」との認識が強い。本来は「税金は国民の充実した社会のために活用するもの」なのだろう。改めて、国民レベルで税について話し合う場、学び合う場があってもいいのかもしれないと、強く感じた。
 
次に逢坂氏の「地方自治体の活性化」について。
不勉強もあり、正直、逢坂氏がニセコ町長であり、ニセコブランドの立役者であったとは知らなかった。「情報共有」と「住民参加」でまちづくりをやられてきたとのこと。ある種のマーケティングを地域活性化の中に愚直に取り入れたものと理解している。
「地域振興論議のスタートでは、その地域の現実や実態を真正面から見据えることが重要」
「地域が元気にならない理由を並び立てて、その先が考えられないなどの思考停止に陥らないこと」
「デメリットと思われがちな地域の条件も長所に転用可能だ(デメリットはメリットだ)」
この3つのメッセージは逢坂氏が実践してこられたものであるが、まさに地域活性化のための肝であり、各地に広げることができたらと思う。
いずれにしても、お二方ともコンセプトが明確である。そこが読み手にとして特に参考になったポイントであるに思う。

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