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街の中にも秋が来た

木の葉の色が変わる、秋が来た。街の中にも秋が来た。そろそろ、自宅の日影の窓枠に並べてあるモミジやイチョウの葉っぱを入れ替えてみようかと思った。

日影側にある窓の外は、隣の建物とのすき間に面している。窓を開け放つと、ちょうど隣の建物のキッチンと対面してしまう。夏の間は細く開けて風を通すこともあったが、ほとんど窓を開けることはない。

ほとんど開けない窓だけれど、光は弱いながらも入ってくる。せっかくだから、ポストカードほどの絵を置いたり、ドライフラワーを飾ったりする場所として利用している。絵の隣には、秋に拾ってきた紅葉やどんぐりをならべてある。これは、学生の頃に葉脈標本を作ってから、もう何年も続いている。

窓枠に落ち葉を並べるのは、生物系の研究室で習慣にする人が多いみたい。昨年、どなたかのコラムを読んでいて似た話を読んだ記憶がある。秋の終わりころまでに、赤いモミジや黄色いイチョウの葉を拾ってきて窓辺に並べておく。

窓辺に並べた赤や黄色の葉っぱは、春が来る頃にはぱりぱりに乾いてしまい、夏には色がかなり白っぽくぬけてくる。次の秋が来る頃に触るとざりざりと崩れてしまいそう。形が崩れきる前に、新しく秋の葉っぱを集めて窓辺に並べ直す。

初めて自宅の窓枠に色づいた葉っぱを並べたのは、就職して広島で一人暮らしをしはじめた年のこと。そこから、毎年。秋になると新しい葉っぱを並べてきた。岩手に転勤した秋は、いつもより鮮やかな色づきに驚いたり。病気で休職していた東京の秋は、イチョウを3枚だけ持ち帰って並べたり。どんぐりの中に虫が入っていて、驚いた年もあったっけ……何度も秋をむかえて、何度もならべなおした。

今年も、また紅葉を並べ直す。
今年はどこで葉をひろおうか。家の近くでも拾えるかな。

そろそろ、考えてみるのがたのしみだ。

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