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「十日の菊」とはいうけれど

とおかのきく。時機におくれて役立たないことの例え。
菊の節句(9月9日)の翌日の菊は、節句に間に合わず、節句の役には立たないことから。
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9月9日は、まだ夏の気配強い時期。
この時期にむかえる「菊の節句」とは、とても不思議なここちです。

菊の花が咲くころといえば、10月に入ってから。
「菊まつり」の名前で花を見て楽しむ機会が増えてくるのは、10月半ばから11月にかけて。そのころには、公園や寺社などにも菊の花の鉢が並べられて、菊の香りを街の中でも楽しめます。
 菊を食べて楽しむ機会をもてるようになるのも、10月半ばを過ぎてから。スーパーでも菊の花をみかけるから、花びらを汁ものに浮かべたり、おひたしにしていただいたりして楽しみます。

 菊の花は漢方としても用いられ、菊の花びらを乾燥させて飲むお茶は、夏の間に身体にたまった熱を外に出し、のどを潤す効果があります。
 菊の節句では、9月8日の前夜から9日の朝にかけて菊の花におりた露を長寿のくすりとみなし、長寿を願いました。

 日本では、カレンダーどおりの暦と旧暦の風習を取り込んだ暦とがまじりあうから、節句をいわうときに少し妙な心地がします。

野で花咲く時期は、旧暦に沿う場合がほとんどなのだけれども、カレンダーに沿って節句を祝うためにカレンダーでの日付に合わせてお花やさんが花を売っています。
 そのため、旧暦で節句を祝おうとすると、花がない!!ということになります。今年の桃の節句も、旧暦で祝うために知り合いの農家さんにお花をお願いしてのりきりました。

今日。カレンダーでの9月10日の菊の花は、ことわざでいうところの「十日の菊」ではあるけれど、今年2018年の旧暦9月9日はカレンダーでの10月17日にあたるから、まだまだ、はしりの菊の花。

「時機」をどこにもつのか。
それ次第で、十日の菊には まだまだ ならない。

役立たないことなんて、ないのです。
 だって、菊の花みて「美しいな」「いい薫りだな」そう感じられることにはかわらないのですから。


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