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あなたの文章が好きなのです。

時々、声に出して読みたくなる文章に出会う。

自分の声で、口に出して、音と言葉が空気に溶けていく。そんな風にして味わいたくなるのだ。

そんな文章は、その人のリズムがあって、それが心地よい。心地よいのはそれだけが理由ではなくて、書いてる人の「書きたい、楽しい」が溢れている気がする。それが悲しい内容でも、綴り方は丁寧で、きっと残しておきたい出来事や気持ちなんだろうなあと思う。

わたしはたぶん、春や秋のような文章に惹かれるのだ。夏のようなギラギラした輝きや激しさはないけれど、あたたかくてなんだか安心する、穏やかな春。冬のような、キリリとして目を奪われるようなかっこよさはないけれど、少し切なくて、でもとても繊細で、見ていたくなる秋。季節として好きなのも、春と秋。はっきりした熱さと冷たさの間の、曖昧で消えていきそうな瞬間。だからといって春も秋も、ぼんやりしている訳じゃない。それぞれに確立されている。けれど何処か淡い気がする。

普段は口に出して文章を読むことはあまりない。過去を見ても、学生時代の音読が、人前で文章を読んだ記憶としては大きい。大人になってから、たまたま読んでいた小説を声に出して読んでみた。自分以外誰にも聞かれない空間で、目の前の作品に入り込むように。それがすごく楽しくて、心地よかった。それ以来たまに、読みたくなる文章に出会っては、音や空間と共に味わって楽しんでいる。

春や秋のような文章を書く人は、きっと素敵な人なのだろうなとも思っている。

noteでも、そんな文章に出会うことがあって、そんな時は密かに声に出して読んでいる。これからも、ちいさくて幸せな片想いは増え続けていく。

いただいたサポートで、お菓子を買います。 悲しくなった時にそのお菓子を食べて、また書いたり読んだりコツコツ紡いでいきます。目をとめてくださってありがとうございます*