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『小さなチーム、大きな仕事 完全版』を読んだ

 ジェイソン・フリード デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン『小さなチーム、大きな仕事 完全版』を読んだ。大企業でなく、小さな小さな、ほとんど最小限というか、法律事務所みたいにゆるやかな同業者組合みたいな組織にしたいと思っているので、勇気づけられる。
 2013年に一度読んでいて、そのときに記録した読書メモがOneNoteに残っていたけども、その頃とはまた違うところが気になっていた。

 気になっていたところをいくつかメモ。コメントを挟みつつ。

 長期のビジネスプランは幻想、占いの世界だ。マーケットの状況、競合他社、顧客、経済などの手におえないたくさんの要素があるのに、計画を作っただけで、実際には制御できないものをコントロールした気になる。
 計画ではなく実情にあわせて予想と呼んだらどうだろう。ビジネスプランをビジネス予想、財務プランを財務予想、戦略プランを戦略予想と名前を変えてみよう。気を揉んだりストレスに感じたりする必要はなくなる。
 予想を計画に変えた途端、危険な領域に入り込むことになる。計画は、過去に未来の操縦をさせる。目隠しをするのと同じだ。「前からこうすると決めていたんだから、こうするんだ」。しかし、計画は身軽さと矛盾する。
 あなたは臨機応変に振る舞わなければならない。やってくるチャンスをつかまえられなければならない。ときには「今からこの方針でいこう。このほうが今の状況に合っている」と言う必要がある。
 長期計画を立てる時期も間違っている。何かをしているときこそ、最も情報が豊富なときだ。する前ではない。だとしたら計画はいつ立てるべきなのか?たいていの長期計画は何かを始める前に作るが、重大なことを決定するのにこれ以上悪いタイミングはない。
(略)
 計画なしに仕事をするのは恐ろしく思えるかもしれない。しかし現実と折り合わない計画にしたがうのは、もっと恐ろしいことだ。(p.21-24)

 計画についての項目、まさにそのとおりだなあ、と思います。いまの会社で勤めて19年。経営の数字を本格的に見られるようになったのは、ここ数年(その前までは、目の前のことに必死)。長期計画なんてものがちっともできない自分を感じていたけども、それでもいいのかな、と。むしろ、短期にどんどん反応できるように、スキルを磨いておきたいし、たくさんの関係性を作っておきたいな、と思う。

 あなたの会社に最適な規模は5人かもしれない。40人かも。200人かも。もしかして、あなたとラップトップが1台あればいいのかもしれない。どのくらいの規模にするかをすぐには決めないことだ。ゆっくり成長して最適なサイズをみつけよう。あせって人を雇うのは多くの企業にとって死因となる。身の丈に合わない急激な成長にも気をつけよう。
 小さいことは通過点ではない。小さいことは、目的地でもあるのだ。
(略)
 小さなビジネスを目指すことに不安を抱かなくていい。持続的で、利益の出るビジネスを行っていれば、それが大きかろうと小さかろうと誇るべきことなのだ。(p.25-26)

 これ、「何人くらいで会社やっているんですか?」はよく訊かれる質問。むかしはちょっと、「いや、本当に少人数で…」とおずおずと言ってましたが、最近、それでいいじゃないかと思っている。「小さいことは通過点ではない」というのは、勇気づけられる言葉。

 どんなビジネスに乗り出すにせよ、外部の資金はできるだけ少なくしよう。「他人の金を使える」というのはすばらしいことに聞こえるが、そこには以下のような罠がある。(p.53-54)

・コントロールを失う
 →資金を外部に頼れば、彼らに応える義務がある。
・売却は良質のビジネスの構築を妨げる
 →投資家は資金の改修を期待する。売却を期待されれば、長期の持続性は考えられなくなる。
・他人の金を使うのは癖になる
 →簡単だが、しかしやがて金は使い果たされる。
・基本的に不利な取引になる
 →スタートしたばかりならば、立場は弱い。
・顧客が後回しになる
 →顧客がほしいものではなく、投資家の思い通りになってしまう。
・資金調達に注意をそらされる
 →すごいものを作ることに集中すべき。

 外部資金をできるだけ少なく、ということももちろんそう。自己資金は、自分たちの仕事が社会的に評価を受けて得たお金(投資で受けるお金もまあ、そうだけど…)なので、自己資金でできる範囲でやれる仕事をしていきたいな、と思っています。

芯の部分を見つけ出すのだ。どの部分が切ってはいけないところなのか。これやあれがなくてもやり続けていけるのであれば、それらの部分は芯ではない。それを見つけたとき、「それだ」と思うだろう。そうしたらその部分を最大限に引き出すべく、エネルギーをすべて注力するのだ。あなたのすることはすべて、その原則に基づいていなくてはならない。(p.76)

 あと、「芯の部分」はどこなのか、ということも大事にしたい。というか、何らかの形で「芯の部分」に関係する仕事でなければ、やりたくないと思っています。でないと、がんばれないし。自分たちのチームにおいて、「芯の部分」とはなにか。うちの会社だったら、ここが「学校の授業」なのだと思っています。そこを大事にしていきたい。

 人も状況も変化するため、全員に対してすべてを提供することはできない。あなたの会社はニーズがころころ変わる特定の個人よりも、あるタイプの顧客に忠実である必要がある。(p.162)

 これも本当に大事にしたい視点。思いを共有できる顧客と一緒に仕事をしていきたい。ときには、顧客(うちの会社で言えば、例えば、学校)が成長して、うちの会社のサポートが要らなくなるということもあると思う。でも、それを喜べる方がいいのだろうな、と思う。

 すばらしいアイディアを思いつくと高揚がもたらされる。可能性と利益を思い描き始める。そしてもちろん、それらをすべてすぐに得たいと思う。そのため、他に行っているすべてのことをやめ、最後に思いついた「一番すばらしい」アイディアを追い求め始める。
 これは悪い一歩だ。新しいアイディアへの熱意は、そのアイディアが持つ本当の価値の正確な指標ではない。たった今、確かなひらめきが生まれたように見えたのも、次の朝にはただの「あってもいい考え」に格下げとなっていることもある。そして「あってもいい考え」には、他のすべてのことを延期するほどの価値はない。(p.162)

 ああ、もう、何年か前の自分!って感じです(笑)

 自分をマネジメントできる人は、自身の目標にもとづいて実行する人だ。彼らは、あれやこれやと指示を必要とせず、毎日の細かなチェックも必要としない。彼らは、管理職がやること(歩調を合わせて、仕事を割り当て、仕事に必要なものを決める)を、自分で自分のためにする。(p.217-219)

 まさしく、こういう人と仕事をしたい。細かく目標設定をして、それをチェックをして、というのは毎週1時間、チーム全員でシェアをするけれど、ものすごく細かいところに関しては、各自に任せている。自律的でいてくれないと、できない。僕は管理職みたいな感じというよりは、環境を整える人であればいいような気がしている。

 もし、選考の過程で誰を雇うか決めかねているときには、文章力の有無は一つの大きな選考基準になるだろう。マーケターでもセールスマンでも、デザイナーでも、プログラマーでも、どんな職種でも、文章力は大きな要素となる。
 文章力がある人はそれ以上のものを持っている。文章がはっきりとしているということは、考え方がはっきりとしているということである。文章家は、コミュニケーションのコツもわかっている。ものごとを他人に理解しやすいようにする。他の人の立場に立って考えられる。彼らは、何をしなくていいかもわかっている。そんな能力こそ必要なはずだ。
 それに、最近また文章力は見直されている。今や、電話よりもメールや文章でのやり取りの方が圧倒的に多い。IMやブログでのコミュニケーションも増えている。現在、文章というのは良いアイディアを導く通貨なのだ。(p.219-221)

 最後に、人を採用するときに、「文章力が大事だ」という箇所をメモ。以前に読んだときにはあまり気に留めなかったところ。そう、文章力は思考力とも結び付いているし、コミュニケーション力とも結び付いているので、絶対に必要だと思っています。
 いま読んでいる、ナンシー・アトウェル『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』で、ライティング・ワークショップに興味を持っているのも、ここに繋がっています。

 うちの会社はたぶん、ずーっと小さな小さなチームだと思うけれども、それでも大きな仕事を成し遂げられるように、がんばっていこうと思っています。



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