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詩集【青い月】

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詩集マガジンをつくりました。 やや“少年”の趣のある詩を集めた【青い月】。 イラストは、猫野サラさんからお借りしました。 『夕凪を写しに』シリーズの主人公で詩人の星野しずかです。… もっと読む
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記事一覧

船になる

【詩】   船に乗るのではなく、船になるのだ あなたがあなたであるが故の矜持に 相応しい…

もうひとりのぼくへの手紙

【詩】   ある朝、もうひとりのぼくが言う 「ぼくはもう行くから、きみはここに残ってくれ…

こんなにハート汚れてますが

【詩】   いつか描いた未来に立って 自分を認めることができるのでしょうか ぼくはいつかの…

あしたの自分

【詩】 強さと弱さがシーソーのようにきみの 気持ち揺さぶりアイスコーヒーのなか 溶けた氷…

不完全性定理な心

【詩】   なんのかたちもありません 丸でも四角でもないのです なにも証明できません 不…

青が足りない

【詩】   海に在って青が足りない 笑顔で語らう言葉の裏側で 語られない言葉が砂に染みて…

坂本さんの右腕

【詩】 坂本さんのことを覚えていますか そう大学2年の夏にゆくえがわからなくなった あのとき彼と最後に話したのはどうやら 僕だったらしいのですよ 僕は大学の図書館へ行くために駅に向かい ホームでばったり坂本さんに会ったのです ベンチに腰かけている彼に僕は声をかけた 「こんにちは」「暑いですね」 「どちらに行かれるのですか」 そんなあたり障りのない言葉だったはずです 「ああ君か」「今日はちょっと暑いね」 「なに銀座の画廊まで知人の絵を見にね」 たぶん彼

惜しむのは季節がゆくことじゃなく

【詩】   惜しむのは季節がゆくことじゃなく 惜しむのは世界を覆うひかりじゃなく 全力で…

陽炎ゆらいで

【詩】   陽炎ゆらいで命がいそぐ 風の切っさき心かすめて きみの歩調を乱していても ひか…

窓の人

【詩】   また電車に乗り遅れた と眠りから目が覚める 駅の階段駆け上がって 息切らして閉…

顔の見えないわたしです

【詩】   顔の見えないわたしです あなたに見つけてほしいのです 風吹く街に住んでいます …

さわがしい少年

【詩】 どうにも少年がさわいでいる さまざまな質問をぼくにぶつけ 怒ったり 笑った…

2000光年先の星の消滅

【詩】   はるか昔 2000光年離れた宇宙の果てで ひとつの星が消滅した ありきたりな話で…

遠ざかる彼の祈りを

【詩】   その直線運動はすでに1年ほど続いていて 火星の引力圏をかすめて木星を目指している それはぼくの友人だった男の祈りである 祈りは友人の死の直後に発せられ 小さな眩い光を放ちながら空を目指した 純粋な光であれば火星まではわずか5分 ところがそれは時速1700キロくらいで 物見遊山を楽しむかのようにのそのそと 宇宙の果てを目指しているのである ここからは見えるはずもないけれど ぼくは見あげる月のない晴れた夜空に 尾をひいて遠ざかる彼の祈りを   tamit