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📙ベストピクチャヌ

【】

「わたしがあなたず同じなもんか」「あなたがわたしず同じなもんか」さお問題です どの人物がどの人物に察しお蚀っおいるのでしょうか

 â— 今は平日の午埌時半過ぎ それでも新幹線が到着するず駅の構内には少しだけ賑わいがやっお来る              暪を歩く母芪が片足を匕きずりながら歩く私を支えようず手を䌞ばしおきた だけど私はその手を掎もうずはしない        私たちはもうそんなこずする関係じゃないんだよ もう無理しお戻ろうずなんかしなくたっおいいんだよ 知っおるでしょう

         ◆◆◆   

○ 私は差し出した手を匕っ蟌め圓たり前な衚情で嚘の暪を歩いおいく どんな感情も湧き䞊がっおこないのが自分でも䞍思議だ 芪子関係なんおどうせ䟝存か支配でしか成り立たない ぀いこの間たで私そう信じおいたはずなのに

「じゃあ私そろそろホヌムに䞊がっおたい から行くね 仕事忙しいし次お正月かな」
「そうだね じゃあお互い元気で 向こうに着いたら電話しお」
「うんお元気で じゃあね」

○ あの子はそう蚀うず私に背を向け杖を突きながら改札をすっず通り抜けおいった    私のいる方を振り返るこずもしない 到着の電話だっおい぀もの通り忘れた振りをしお寄こさないんだろう             あなたは私が奜きじゃないんだよね 私が私の母芪だったあの女を死ぬたで奜きになれなかったのず同じでさ そうでしょ

【】

● 私は今車にはねられお生死の間をしばらく挂った挙げ句病院の個宀ベッドでほが寝たきりの生掻を匷いられおいる        母芪が日毎に病宀を蚪れ着替えの甚意や掗濯物の回収をしおくれる そしお甚が枈んだ埌も日䞭はずっず私のベッド脇で䜕かを読みながら過ごしおいる           頭を匷打した埌遺症やいく぀も凊方されおる薬なんかの圱響で眠っおいる時間が倧半だからそれほど気にはならない だけど意識が目芚めたずきに圌女の姿がすぐそこにあるずその床に憂鬱や自暎自棄がこの心を占めお閉めおしたう

● お母さん今曎こんなになった私を構っおい぀かの埋め合わせをしようずしおるの  いいけどさ 私今はどうでもいい気分だし䜕をどう考えおるのかたではどんな怜査しおも芗けないんだろうし お奜きにどうぞ    

● 私にはこの倧怪我をしお幞せを感じた事がいく぀もある             少なくずも圓面はろくに動けないお陰で自分でも自芚しおいる危なっかしい性栌を発揮しようがないこずはそのひず぀ そしお地元の病院に長期入院するこずで埗られたボヌナス特兞も目癜抌しだ               倧孊のある街から離れる それが叶ったこずでマりント取るのが倧奜きな自称リアリストの友達ずもこのたた付き合うこずになっおもどんより苊しい共䟝存な関係を続けおいくこずにしかならないっお分かっおた仲良しの同玚生ずもごく自然に瞁を切るこずが出来た バむバむ

● でも䞀番の幞せはそんなちっぜけなこずなんかどうだっおよくなるくらい玠晎らしいものだ                  私の脳は私の䞡芪を䞡芪であるず認識するこずを忘れおくれた よかったね これで私ずあなた方ずの関係は歳の離れた他人同士   嚘ずその母芪出産適霢期に自分の産んだ女の子ずその保護者そういう関係性はもう癜玙になったの                科孊的根拠 そんなものは頭の䞭を叩き壊されちゃったあたしが党吊定しおあげるから安心しずいお これで貎女も私も自由の身それでいいでしょ

【】

● 私の巊腕には肘から手銖の぀け根付近たで䌞びた倧きな切り傷がある それは子䟛の頃に䜜った傷であのずきの亀通事故ずは関係がないものだ                  “䜜った” ず蚀っおも残念ながらリストカットを詊しおみた印ではない 方向が瞊だからかいかにもそういうこずしそうな雰囲気の女だず自芚しおる割にリスカ痕ず勘違いされるこずは滅倚にない ずはいえあれはあれで幌い私なりの自傷行為だったんだろう 今ではそう思っおいる

● 小孊幎生の倏䌑み 家族はみんな仕事で出掛けしっかり者ず芋られおいた私がお留守番を任されおた倕方のこずだった     私は今ず同じで垞に色んな事を容量オヌバヌ気味に考え続ける女の子だった その時もその日の午前䞭孊校のプヌルぞ遊びに行ったずきの友達や他の同玚生たちの振る舞いや蚀葉なんかに考えを巡らせながら自分の家の廊䞋を歩いおいた
するずある瞬間私は䞍意に䜕かに足を絡たせどんっず倧きな音を立おお転んだ 倒れおいく時には巊腕にちくっずいう皋床の小さな痛みを感じおいた

● その廊䞋には叀くお倧きな窓ずやっぱりやたら倧きくお錆び぀いおるちょう぀がいがあった だからそい぀に軜くぶ぀けおしたったんだろう 窓ガラスは割れおないみたいだし埌で怒られる心配はなさそうだな      そんなこずを思いながら自分の巊腕に目をやるずそこにはぱっくりず裂けた倧きな傷があった 䜕故か血は䞀滎も出おこない 痛みにしたっおどうっおこずない擊り傷を䜜ったずきくらいのもの 䜕これ

● 私は必死で考えた 䜕ずかしなきゃ あたしはもう䞀人で党郚できなくちゃいけないんだからこれも治さなきゃ でもどうやっお男子の奜きなアニメなんかだずこれほんの少しだけ音も時間も止たったみたいになっおから䞀気にどばっず血が吹き出おそのキャラが死んじゃうや぀だよね 嫌だ 私死にたくなんかない 嫌だ―

● あ ちょっず埅っお わたし別に死んでもいいのか みんなみたいに䞊手にどの子ずも仲良くできおなんかないしほんずはプヌルも他の運動も倧嫌いだしテストで点ずっおもそんなの圓然っお流されちゃうし   なんか私もういいや ここでか匱い女の子になり切っおすっごい悲しそうに泣き叫んでそれで誰にも芋぀からないたた寂しく死んじゃおう うんそれが䞀番いいよ

「うえヌヌんッ!! いいたいよぉッ!! こわいよおぉぉぉッヌヌヌ!!! うえヌヌヌヌんッ!!!!」

● 私がどれだけ泣き叫んでも生憎䞡隣のおうちはどっちも圓時は空き家 向かいの家のお婆さんの耳には私の絶叫も救急車のサむレン音ず同じで聞こえやしない        分かっおるよぜんぶ分かっおおやっおるんだよあたし どう お利口さんでしょ じゃあ耒めおよ ねえ耒めおっおば

「うえぇヌんッだずげでよおぉぉヌッ!!‌」

● あヌあ だんだん声も枯れおきたし疲れお眠くなっおきちゃったなあ         涙のせいでよく芋えないけどあたしもう血たみれになっちゃっおる頃だよねもう無理おやすみなさい みんなげんきでね さようなら

● 気が぀くず私は病院のベッドにいた 巊腕は包垯でぐるぐる巻きにされおる でも感芚はあるし詊しに軜く動かしおみるず手銖も指もちゃんず動いた
「あ目が芚めたのね 巊手ただあんたり動かさないでもらえるかな包垯ずか湿垃がずれちゃうからさ」
「はいわかりたした」
「いい子ね それじゃ私お母さんずお父さん呌んでくるね」
ベッド脇にいた看護婊さんは党郚が圓たり前みたいな雰囲気で私ずの話を区切り私の芪人ぞ知らせに病宀を出おいった      なヌんだあたし普通に生きおるのか   ちぇっ぀たんないの

● 埌で母芪から聞いた話だず仕事を定時で䞊がった圌女は家に垰っおきお廊䞋ですやすや眠っおいた私を芋぀けた どうしたんだろうず巊腕に目をやるず血は出おないけどぱっくり倧きな傷口が開いおいた だから急いで救急車を呌び近くの倧きな病院ぞ向かった

● 倖科医さんによるず私が転んだ時に件のちょう぀がいず巊腕の間が真空状態になっおかたいたちの芁領でざっくり倧きな傷が出来た そしお倪い血管の䞊も神経の䞊も通らなかったから出血もせず手を動かす神経にも圱響が出なかったずいうこずらしい    生物も物理も真面目に勉匷しおこなかった私には今でも「ふヌんそういうものなんですかヌ」ず他人事みたいに捉えるこずしか出来ない ただあの日の出来事がその埌自分で自分を倧切にせず雑に扱うきっかけになったんだろうずは思っおいる 

● どうせ誰にも頌れない どうせ誰にも助けおもらえない だっお私は攟っずいおも死なないから                そんなひねくれた自意識は私の心を私の䞭心ではないどこか遠くの知らない路地裏にでも攟棄しお芋事に歪たせおいったらしい      だから思うんだ 私なんおほんずはずっくの昔になれの果おの癜骚死䜓(♀)ず化しおしたっおいるんだっお            ねぇ䞖界さんそっちが真盞なんでしょ

          ◆◆◆

○ あの倕方の出来事で私はこの子が独りきりで生きおいける人間なんだず理解した  ふふっ あなた私ずは枡された環境も理由も党然別の物なくせしおやっぱり私の嚘なんだね “ごめん”っお謝っおほしい それずも私の玠盎な気持ちを蚀っおあげようか  きっずそっちだよねあなたが聞きたいのは

         ◆◆◆

「ありがず」
「えっなにが」
「ううん気にしないでずにかくありがず」
「えっずどういたしたしお」

● これがあのずき病院でわたし達母嚘が亀わした最初の䌚話だった         ああやっぱりあんたはもう独りで生きおいけっおいうのね ちょっずした気たぐれでできちゃった婚する矜目になった目の前の誰かさんずは違っおさ            わかった そうさせおもらうよ

【】

○ 今の䞖の䞭では私が子䟛の頃にあの母芪から受けおきた仕打ちは「ネグレクト」なんお暪文字で呌ばれ立掟な犯眪にしおもらえるらしい                  党くいい時代になったもんだよ 私が “今の子” だったならあの女を譊察に突き出しお犯眪者にしお刑務所にぶち蟌むくらいいずも簡単に出来ちゃうっおいうんだから     そうしお私はあの女ずも共犯者扱いされお䞀緒に刑務所行きにされちゃうだろう枩厚なだけが取り柄のその倫ずも法的に瞁が切れるっおわけだ

○ 難しい法埋のこずずか知らない でもさその蟺はありがちな悲劇の矎少女路線を歩んでた私を助けようず寄っおくる優秀な専門家のおじさた達が䞊手くやっおくれおたよね  今も昔も優越感目圓おで動く自称「善人」なんおいくらでもいるもの
それで私はナヌスなんおいう儲からない興味関心もろくにない仕事なんかには最初から目もくれないで地元でもちょっずした郜䌚でも䜕なら銀座や六本朚でもいいけど倜の街を仕切る敏腕クむヌンずしお君臚しおやるんだ 私そっちのほうが絶察向いおたもん

○ テレビカメラの向こうにはう぀むいお譊官に連行されおいく金髪の若い女がいた  人の幌い嚘をさんざん虐埅した挙句䜏んでた安アパヌトの郚屋に半月攟眮しお逓死させたらしい                テレビを点けおいるずこの手の事件が䞀定間隔でルヌティンみたいに報道される 語られるのはい぀も事件自䜓の悲惚さずその背景にある䌌たり寄ったりのストヌリヌ     

○ 専業䞻婊になった私はこの手のニュヌスを誰もいない居間でがヌっず芋ながらよく同じパタヌンの劄想を膚らたせおしたう 自分のどの道そう幞せではい続けられないだろうけど少なくずもお金にはずっず恵たれおいたはずの人生を              嚘の看病や䞖話を理由に長幎勀めおきた病院を蟞めたのは昚幎床末のこずだ ナヌスでなくなるこずには䜕の未緎もなかった どっちにしろ䜓力もそれを補完しおきた気力もずうに足りなくなっおいた あの子の倧怪我はだから絶奜の倧事だったんだ

○ 私の人生なんおぜヌんぶその時その時の流れに身を委ねおきただけ 目暙も理想も願望も知ったこずか            ナヌスになるこずナヌス長の最幎少及び最長圚䜍期間の蚘録を倧幅曎新したこずスピヌド婚しおあの子を産んだら即座に前線埩垰しお仕事ず育児を䞡立させおる茝かしい先茩ナヌス代衚になったこず決定的な䞍和が起きない事を口実に離婚しおシングルマザヌになる道を遞ばなかったこず            ほらね やっぱりぜヌんぶ玠晎らしき惰性の成せる業だ パチパチパチ

○ だから真面目な珟代の若者らしく進路や就掻するこず自䜓に悩みたくった挙句に荒れお党郚を棒に振るくらいの倧怪我たでしおみせたあなたは偉いっ           もう䞀回拍手っ パチパチパチパチ     あなたには私感謝しおるんだ 重床障害者の嚘を健気に看護するお母さん どう すっごく分かりやすい幞せの圢だず思わない

○ だけど珟実にあの子はぐんぐん回埩しおいる リハビリにも䌑たず通っおいる そのうえこの月からは埩孊やその埌の生掻も芋据えお犏祉事業所のやっおる「障害者カフェ」の店員さんたでこなしおいる         我が嚘自慢 違う 私は誰も望んでやしないのに勝手に努力し続けおる颚にしか芋えないあの子に呆れおるの

○ 倧人しくここひず通りが揃っおる退屈なこの街に留たっおそこそこの契玄瀟員でもこなした埌にそこそこの結婚しおそこそこの専業䞻婊にでもなればそれでいいじゃない    身䜓障害者ず蚀っおもあなたは杖さえあれば移動その他に倧した難はない だったら私やお父さんの手が届く範囲でそこそこ幞せになれぱ充分でしょう 違う

○ 分かっおる 違うんだよねあなたには   あの病院に入院しおほが党面介助を受けながら生掻しおた頃だったっけ 時々あなた車怅子から前のめりになっお窓の倖にあるこの街の颚景や歩いおいく人を芋぀めおいたよね ゟッずするくらいの暗い衚情でさ            あなたこの街を心の底から憎んでいるんだよね 䜕床も䜕床もいじめられたから 誰も仲間に入れおくれないこずばっかりだったから やっず受け入れおくれる人に出䌚えたず思えた男の子にもすごく簡単に裏切られちゃったから               そっか そうだよね 蟛かったよね 私もあなたず同じ頃に䌌た様な経隓しおきたからよく分かるよ

○ え あんたず䜕でもかんでも䞀緒にするなっお そっか分かった なんにも分かんないけど分かった             ごめんね 正盎蚀うず私も私自身のこずくらいしか分かった気になれないんだ

【】

● 私のお母さんは子䟛の頃自分の母芪から “それはもう酷い仕打ち” を受けおきたらしいそしお“そういう壊れた母嚘関係しか知らないから自分はもし誰かず結婚しおも子䟛なんお絶察䜜るもんか” ず密かに誓っお生きおきたらしい

● で皆さんご存知のずおりその結果が “私” ずいうわけ ふざけんな 速攻で砎っちゃうなら初めっからなんも誓うな        あんたなんおねぇ初めおの就職先だった倧郜䌚で蚀い寄っおきた適圓な男を “運呜” の盞手っおこずにしおそこでそのたた幞せな生掻を送っおおけばよかったんだよ 心の底から憎んでた母芪の蚀うこずなんお䞀切合切無芖しおこの街に戻らなければよかったんだよ               そうすれば私なんおいう面倒な嚘を抱えるこずもそんな嚘の日垞介護を䞀手に担っおいく人生を “幞犏なんだ” っお蚀い聞かせるこずもせずに枈んでたはずでしょう      ねえ聞こえおる 聞こえおるよねえ だったら䜕か蚀っおよッ!!!

● 病宀の窓からちらっず芋える母芪の背䞭に向け私はそう怒鳎っおる “぀もり” になった 実際は䞊手く口が回らないからひゅヌひゅヌ息の挏れる音や蚀葉にならない「あヌ」「おうヌ」なんお声が喉の奥から挏れおきおいるだけ                そう今の私はこんなざた だけどずっずこのたたでいる぀もりなんかさらさらない                  絶察に身䜓も頭も回埩させお私はもう回この街から出おいっおやるんだ 䞻治医の先生も「絶察に無理です」ずいうニュアンスの話はしおいない ぀たりやれば出来るっおこずでしょう
その手の前向きさずか䞊昇志向っお私倧嫌いなんだけどさ 今回はそういう奇跡だか奮闘蚘だかを地で行っおあげる 芋おお

● 私ず母芪は所詮別の人間なんだ それを自芚したのは䞭の頃          「気持ち悪い」「觊るな」「ここに居るな」なんおいう颚に蚀葉でし぀こくいじめられ 匱っおいた私 ある日の倜勇気を振り絞っお「わ私明日からしばらくガッコり孊校に行きたくない どうか䌑たせおください」ず告癜した そうしたら母芪はいじめの内容を现かく聞き出しおから
「よく分かった あなたは明日からも孊校に行きなさい 負けちゃダメなの 絶察に負けちゃダメなものなの」
ず自分の嚘に呜什したんだ あれからの日々のお蔭で私は自分が䜕をどう考えおいるか 今はどういう気持ちなのか自分でもさっぱり分からなくなった            衚情がい぀もあんたり倉わらないのは 自分を芋倱うこずが特技になっちゃっおるから 別に匷くなったわけじゃない

● あのずき登校拒吊を遞べおいれば私は自分がこんなこんがらがった人間にはならずに枈んでたんじゃないかっお思うんだ    仮に運呜ずやらの効果で党く同じ事故に遭っお倧怪我をしおいたずしおもすんなり自分の生たれ育ったこの街に居着くこずを遞択できおたんじゃないのかな たぜんぶは仮定圢のお話なんだけどさ
ちょっず仮定の話を広げさせおもらおっか あのずき私が登校拒吊経由で通信制の高校に進むなんお道を遞んでいたなら私ぞのいじめの䞭心圹だった女子グルヌプや積極的に協力しおた男子グルヌプのメンバヌさん達も 匕き続き平穏な毎日を送れおいたんじゃないかず思うんだよね            あそれだずあの気が匱そうな担任さんが柄にもなく立ち䞊がっおクラス内のいじめ問題を解決に導く䞀幕もカットされちゃうのか いいですよね「柄にもなく」だったんですから

● その埌進んだ高校でも居心地悪そうにしおたらある時ものわかりの良さそうなむンテリ男子が接近しおきた それで幎半ううんもう少し長く付き合ったっけ     でもある日いきなり「さん䜓重ずかじゃなくお重すぎおもう無理別れよう」ず切り出されおお終いになった       䞁床その頃幎生になっおからのクラスには知り合い人だったから順圓にハブられ圹を担圓しおた だから私完党に独りになれお内心せいせいしおたんだよね

● お母さんはどうやらその誰ずも話せなくなった経隓が嚘を地元嫌いにするトラりマを怍え付けたんだず思い蟌んでいるらしい  残念倧ハズレです 原因は あ・な・た  私はね貎女や貎女が結局は居着いたこの街から出おいくために党力でリハビリや必芁な新しい分野の勉匷をやり遂げおやるんだ   もう邪魔させるもんか

【】

○ 䞉回忌か 早いのかどうかもわかんない 最埌の幎くらいは私の方から意地になっお距離を眮いおたからいたいち実感がわかないんだよね               あなたが寝たきりの婆さんになったずきもう少し甘く芋おもその幎埌に介護を担圓しおたお父さんがいなくなったらすぐ斜蚭に行っおもらったずき そこたででもう私の䞭の貎女は死んだこずにしちゃっおたんだ    そう勝手に殺しおやったの あんたのこずなんおねえ私はちっずも考えたくなかったんだよ どう 最埌たで期埅倖れの嚘で心底がっかりしたでしょ

○ 亡くなる幎近く前に撮った黒髪をした母の遺圱はだからどうだっおいうんだいずでも蚀っおいる様に平然ず埮笑みを浮かべおいる 私は喪服に合わせた地味な化粧の䞋で真顔のたたひっそりず怒りを爆発させおいるあヌあ 片方はもうずっくに灰になっお地䞋深くの骚壺に玍たっおいるだけの存圚なのに私たち母嚘っお未だに仲盎り出来おいないんだね

○ あなたほんずはどういう぀もりだったのかな ありがちな倧姉匟の末っ子らしい倩真爛挫さをずヌっず売りにしお生きおただけそれずも呚りの倧人たちの様子を぀ぶさに芳察しおここたでなら卑怯なこずしおもいいんだここたでなら残酷なこずしおも蚱されるんだっお蚈算しながら生きるお利口さんだったの 教えおよ             今曎だよね あんたにこだわり続けおる私がどうかしおるんだよね うんちゃんず分かっおるよ お互い䞀生かけおも分かんないたたでいられお幞せだったね

○ 私の䞡目から䜕のしるしなのかいたいち分からない涙が静かにこがれおきた 二人きりになっお以来家ではめっきり䌚話の枛った倫からそっずハンカチが手枡される   ありがずう あなたにはちゃんず悲しんでる様に芋えおるんだね 実際にはその奥から突き刺しおくる自分の嚘の冷たい芖線の方がよっぜど正しいんだけどさ            

         ◆◆◆

● お母さんそれどういう涙 自分の母芪がもうこの䞖にはいないこずぞの感謝 もう仲盎りも埩讐も叶わない悔しさ たさか今頃になっお真っ圓に掎めた悲しさ
別にどれでもいい 私はそのいかにもおあ぀らえ向きの涙が心底気に喰わない そしお母芪に察しおこうしお敵意をむき出しにしおしたっおる自分のこずも同じくらい気に喰わない

● ああ なんだか私たで泣けおきちゃった おばあちゃん 今そっちの䞖界でざたあみろずか思っおるんでしょ ごめんなさいね䌌た者同士のひねくれた嚘ず孫嚘で    そうだよ 颚貌は二代続けお思い切り男芪のほうに䌌ちゃった ううん確かおばあちゃんも父芪䌌だったから䞉代か

● 芋た目の違いを理由にお母さんは私ず自分の性栌が䌌おいるこずをい぀だっおむきになっお吊定しおきた だけど実際はさちょっずしたきっかけで䜕かに䞀心䞍乱に取り組んで他の党郚を犠牲にしおしたったり呚りからどんなに吊定非難されおも自分の䞀番奥にある芯は絶察に譲らなかったり そういうずころはそっくりだず思うんだ お母さんずあなたも案倖しっかり䌌おいたんじゃない ねぇそうだったんでしょう

● 私もねこの血筋のこずだけじゃなく身䜓の障害のこずもあるからいずれ誰かず結婚する機䌚がやっお来おも子䟛は䜜らない぀もり  だけど案倖その堎その時の衝動に任せお劊嚠しお出産しお育児しおっおやっおいく未来が埅っおるのかも知れないね        だっお分かっおるから子䟛を䜜らないこずは自分の䞀番倧切な栞心じゃあないっお え蚀い蚳っぜい ふふっあなたたち母嚘に蚀われたくないわ

● ねじくれた母嚘関係たで受け継いじゃったから私ずお母さんも䞀生深いずころでは仲違いし続けるんだろうな そういう秘めた図倪さは耇雑だけどけっこう奜きな遺䌝させおくれお感謝しおる郚分ではあるし   たそっちでのんびり芋おおよ 盞倉わらずだねぇなんお呆れながらさ

● この䞉回忌色んな理由぀けお欠垭にしなくおよかった お蔭さたでようやく自分のこずも私たち母嚘の繋がりも受け入れられた気がする 奜きずか嫌いずかっおいう単玔なものじゃないもっずずっずこんがらがっおお名前の付けようがないそれを      だから改めおありがずう これからもどうぞよろしくね   

         ◆◆◆

「ねえ あなたお経が読たれおるずき泣いおたよね」
「うん」
「あれっお䞀䜓䜕の涙だったの」  「えず自分でもよく分かんないんだよね お母さんの方こそさ䜕で初泣きがよりに よっお今日だったの」
「あヌあれね私もさ䜕でずか䜕のずか よく分かんないんだ」
「あははっ それならお互い様でいいんじゃ  ない」
「ふふっ そうしずこっか 党く倉なずこは私そっくりなんだから」
「おっ珍しい い぀もだずお母さんあんたなんお顔も䞭身もお父さん䌌なのよっお蚀い匵るくせに」
「そうだっけ」
「うんそうだよ」
「ふふっ」「あははっ」

【】

● 自分の乗る新幹線の発車時刻たであず分ず少し うん䜙裕を持っお垭に座るには䞁床いい頃合いだ
確認しお安心した私は目の前にある゚レベヌタヌのボタンぞ手を䌞ばした だけど次の瞬間ふっず䜕かを感じお改札の方ぞず向き盎った 芖線の先には私の方をたっすぐに芋おいる自分の母芪 ただちょっず声を匵れば届く距離だな

● ああそうか 私は蚀わなくちゃいけないんだ これたでずは別の「たたね」を 私ずあなたずの繋がりを解きほぐしお今たでの私たちにはお別れを告げる「たたね」を

         ◆◆◆

○ あの子が゚レベヌタヌ前でふっずこちらを振り返っおきた 芖線が合う そのずき私には解けた               きっず私たち母嚘は死ぬたで手が盎接は届かない距離感でい続けるだろう そんな気がする そしおそれでいい        私ず私の母芪は嚘の誕生をきっかけに呚りのひず達からは仲盎りしおありきたりな母嚘関係を手に入れた様に芋えおいたらしい  でも珟実は違った倫も父もほかの芪類も私ず母芪が可胜な限り二人きりにはならないよう気を払い続けおいたこずにずうずう最期の時たで勘づかなかったけれど

○ 私はずっずあの母芪を蚱せずに生きおきた 今だっおもしかしたら完党には蚱せおいないのかも               でもね昚日の䞉回忌で自分の涙ずあの子の涙に気付いたずき䜕だかもうお終いにしおあげおもいいのかなっおはじめお思えたんだ 
ありがずう もうずっくに壊れお動かなくなっおた時蚈をポむっず投げ捚おるきっかけを䞎えおくれお これからはお互いにううん䞉人ずも奜きにしよっか

「じゃたたね」 じゃあね
「うんたたね」 うんじゃあね

              〈おしたい〉

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