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夫は世界選手権4連覇の人。 なんで勝てるの?それを妻も知りたかったので、メントレ専門家に相談してみた話。③ →

③→【テーマ】国枝慎吾選手のメンタルトレーニングに思う

今回の内容は、なんと東京パラリンピック金メダリストの国枝慎吾選手のメンタルの強さと比較して「意識していないのにメンタルが強い我が夫(小林幸一郎、全盲クライマー)はすごいんじゃない?」ってことを書いてみたい。


東京2020パラリンピックは熱かった!


 東京2020パラリンピックの閉幕が昨夜行われた。大会を通してたくさんワクワク・ドキドキの感動をもらい、世界のことを学んだり共生を考えることができた。また、私自身がこれまで出会った友人知人が選手として、開会式・閉会式のアーティストとして、ボランティアとして活躍していて、勝手に誇らしく感じさせてもらっていた2週間だった。

 今回のパラリンピックの中でも、車椅子テニスの国枝慎吾選手のパラリンピック世界チャンピオンへの返り咲き、金メダル獲得に多くの人が胸を打たれたことだろう。国枝選手、おめでとうございます!

国枝選手もメンタルトレーニングをしている!?

 そんな国枝選手は、金メダル獲得後すぐのインタビューの中でも外国人のメンタルトレーナーが付いていることを口にされていた。きっと彼の勝利に大きく貢献をしているから、大切な場面で支えてくれた人として出てきたのだと思う。少し調べてみた。

世界ランキング10位まで順位を上げた2006年。オーストラリア人のメンタルトレーナー、アン・クイン氏との出会いが、彼のテニス人生を変える。全豪オープンの会場で受けたカウンセリングで、「『ナンバーワンになりたい』じゃなくて、これからは『俺がナンバーワンだ』と断言するトレーニングを始めましょう」と指導された。       ーーーパラサポWEB 国枝慎吾選手

なるほど~。『ナンバーワンになりたい』という「未来形」に向かってのトレーニングの言葉と『俺がナンバーワンだ』つまりは「今・現在の自分を信じる力(=自信/現在形)をトレーニングで鍛えていきましょう!」という言葉。似ているようで全く違う。変化の時だったのだろうと想像できる。そんな人が自分を支えてくれると思うだけで、私なら心強さを感じる。

コートの中でも外でも、自分は最強なんだというオーラをまとうため、国枝は3年から4年もの間、毎朝「オレは最強だ!」と鏡に向かって叫んだ。当初は半信半疑だったが、それを続けるうちに、自分のなかに、ある変化が生まれたことに気づいた、と振り返る。
「テニスの試合は長引くと3時間はかかるので、やはりメンタル的な波が出てくるんです。それで、サーブを打つ時に『もしかしたらダブルフォルトしちゃうかな』と考えてしまうんですが、ラケットに刻んだ『オレは最強だ!』のフレーズを見て口に出すと、そういう弱気がパッとなくなるんです」                                                          ーーーパラサポWEB 国枝慎吾選手

 国枝選手でさえ試合中に弱気になることもあり、そのために自分を取り戻す魔法の言葉が効いていることが分かる。この言葉を魔法の言葉とたらしめるかどうかは、その言葉とどう向き合ってきたかで活用の仕方が変わってくる。よくある「頑張れ!」「落ち着いて!」「強気でいけ!」と精神論でアドバイスする言葉たちとは全く異なる。

メンタルの強さは習慣化

 国際メンタルトレーニング学会理事の(2016年当時)高松容一氏が、メンタルトレーニングと国枝選手の強さについて書いた記事に、以下のように答えている。

――(子どもたちや選手が)1人でやれるトレーニングはありますか?
「セルフトーク」というトレーニングがあります。独り言をすべてポジティブにする方法です。例えば、ため息が出そうになったら、語尾を上げて元気よく「よーし、まだまだ次々、OK、OK」「絶好調!」「まだまだ、これから!」などとポジティブな言葉をつぶやく。ポイントは、楽しく、元気よく行うこと。自分に言い聞かせるように話したり、言葉を口にしたりすることで自己暗示をかける方法でもあるのです。
  パラリンピック車いすテニスの金メダリストである国枝慎吾選手は、鏡の前で「俺は最強だ!」と毎日言い続けたといいます。彼は海外の専門家から指導を受けていましたが、これは正しいセルフトークで、彼のメンタルをさらに強めた1つの習慣でしょう。
    ーー“勝負強さ”はポジティブ思考が生み出す (2016年5月31日)

 やはり、メンタルを強めるためには一朝一夕ではなく、メンタルをいい形にしておく習慣化(その方法はメンタルトレーニングを含む)が科学的にも効果があることが分かる。

(恐れ多くも)国枝選手と夫の共通点

 そんな国枝選手について調べていると、恐れ多くも我が夫(全盲クライマー)との共通点を勝手に感じてしまって、めちゃくちゃ楽しくなっている。どんなところが共通点だと私が感じたのか。


・レジェンドである
 →国枝選手:37歳/夫53歳 
こう比較すると、国枝選手はまだまだお若い。ん?レジェンドってそもそもどういう意味?(夫のこともレジェンドって言ってしまっていいの?)

「伝説あるいは伝説的人物という意味で用いられる表現。昨今の日本語表現としては、各界において「この人を抜きにしては語れない」「生きた伝説」と言い得るような、偉大な功績をあげた人物を指す意味合いで用いられることが多い。」

 言い切ってしまおう。二人はそれぞれ、レジェンドってことで!そこには、年齢もさることながら、色んな経験と工夫から来る成果が含まれそうだ。

・パラ競技の認知度アップの想い

国枝が熱望するのは更なるパラ競技の認知度アップだ。
---プロ車いすテニス選手・国枝慎吾が語る──「オレが最強だ!」復活を果たした絶対チャンピオン

国枝選手は今やCMでも活躍、車椅子テニスに関してもパラリンピックでの認知も広がり、誰もが知っているスポーツになっているけれど、まだまだ誰も知らないという状況を支えてきたのだろうと想像できる。パラクライミングはまだまだ認知も低いが、愛好者・選手層・応援してくれる人が夫が日本で活動を始めた17年前に比べて増え続けている。ここまでの発展は夫なしにはないし、これからも貢献していきたいと本人も強く思っている。7年先の2028年のロスパラリンピック種目入りも目指している。
 国枝選手もパラ競技の認知度アップの強い想いをもって進んできたことを思うと、パラクライミングも多くの人たちに知ってもらいたい、という力になる。そして、恐らく「認知度を上げたい」というモチベーションが国枝選手の強さの力にもなってきたのだろうとメンタルトレーニングに触れ感じている。

・プレッシャーはネガティブではない
→夫は、家庭内では「調子が出ない」「身体が動かない」「若い選手と同じようには回復しない」と不安になったり、プレッシャーに押しつぶされそうになり弱音を吐いている姿がある。「今うじうじしててもしょうがないじゃん!」と妻に軽くあしらわれたりもしている。それなのに、外では「3連覇を目指します!」「50歳で金狙います!」と宣言&豪語。自分にプレッシャーかけたりして「よくやるわ」って思ってたりする。

 国枝選手はというと

期待や重圧が大きければ大きいほど、勝ったときの喜びはでかい。もう一度、あの鳥肌が立つような感動の瞬間を味わいたいですね        ーーーパラサポWEB 『国枝慎吾』 (2015年インタビューより)        


「重圧があるからこそ、あのパフォーマンスができたと思います」。国枝選手は圧巻の内容で制した東京2020パラリンピックの勝因について、こう表現しました。
(省略)
「僕自身が日本選手団の主将、最初にこけるわけにはいかないと、結果で貢献できてほっとしています」。リオのリベンジ、世界トップランカー、そして日本選手団の顔など、様々なプレッシャーを乗り越えてつかんだ頂点。決勝の第2セット、相手の返球がネットにかかり決着がつくと、涙を流して、喜びをあらわにしました。
「負けられない、負けたくないは重圧ですし、また期待に応えたいも重圧です。でもそれが強ければ強いほど、乗り越えたときの喜びは何倍にも膨れあがりますし、そうでないと勝って涙することはありません。金メダル獲得の瞬間は、ぼくの人生の中で幸せでした」                 ---国枝慎吾選手「オレは最強。重圧があったからこそ、できたあのパフォーマンス」メダリストインタビュー  (2021年9月6日)


 国枝選手が自分からプレッシャーを高めることをしているかは定かではないが、プレッシャーを必ずしもネガティブに捉えていないことは感じられた。

 プレッシャーのよき扱い方は?

 プレッシャーを力に変える?プレッシャーと仲良くする?夫がメンタルトレーニングの指導を受けてみて、私が今しっくりくると思うのは「プレッシャーを受入れる、ということから始める」ということのように思っている。

今日のまとめ 

 国枝選手の強さ、そして夫の強さをもメンタルの強さの上に成り立っていると仮定すると、上記の共通点は実はあるべきして見つかったのでは、と今回の夫のメンタルトレーニングの指導を受けて感じている。
 そして、我が夫のすごいところは、これまでメンタルトレーニングの指導を受けていなかったのに、勝ち続けられるようなメンタルの強さのマインドや行動をしていた=習慣化ができていた、というところだ(妻、ベタ褒め。珍しい!)。その辺の具体例はまた。

おまけ

 ちなみに、色々検索していたら、国枝選手を支える奥様についての記事もあり、こちらの奥様の興味を誘った。アスリートを食事で支えるための専門資格を取ったり献身的なところが私と違うところだけれど、ケンカを普通にしたり「いい加減にしてくれ」と思うことがあることに、親近感!いつか居酒屋でサシ飲みでもできたら楽しい。

夫のパブリックなイメージは、まじめ、優しい、しっかりしてる、とか? プライベートでは、昔から全く変わらないけど、いいかげんにしてくれってことが多い。 
国枝家には、もう笑い話としてネタになっているけんか話がある。
愛さん 夫は、飲み終わったペットボトルとか床に置く癖がある。せめて机に置いてほしい。何で捨てないのって怒ると、夫は「おれ障がい者だからできない」って。私は、いい意味で、国枝の妻で、お手伝いさんじゃないんだよって。
ーー“愛”妻料理で国枝慎吾を支える妻・愛さん 結婚10年けんか話もある日常

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