『未来』2023年10月号掲載9首
きみの目に暗黒はいま光りつつ黒い紫陽花の造花の心よ
虚無をまとい煙のように人が消え、男たちは証拠を奪った
女たちは答えを隠し立ち去った私は消えた跡を探す
満月の光で息を吹き返し街は真夜中に活動する
夜を駆けるマキャベリストの子供たち成長してもそのままであれ
盲目の老詩人は秘密の鍵で無限の図書館へと消えた
そびえ立つ絶望の塔は膨張せり夜道を歩く人々を喰う
現代のソドムとゴモラでは何が起こっているか君は知らない
コーカサス行きは廃線となって閉ざされた救済の地は存在しない