「ライフイベントに伴って、
  自分の希望だったわけではなく、
  転職したり色々な決断したりしてきたんですね」

面接の際にそう言われて、胸が熱くなった。
かくありたいと思える女性に出会った。

ともあれ、８回目の転職活動中である。

なんともまぁ！
８回目って、エリザベステーラーの再婚回数みたい。
何度も懲りずにまぁ！
そのパワー、リズに負けてない。すごくない？！

。。。自画自賛である。

４年に一度くらいのスパンで、人生のオーディションを受け続けているようなものである。転職は私にとって、オリンピックやワールドカップみたいなものだと言ったら、真剣度合いが違う！と怒号が飛んできそうだ。

いや、あたしだって生活がかかっているんだ。
子どもたち二人を食べさせなきゃなのだ。真剣なのである。
いつもこれが最後の転職活動だと思いながら取り組んでいる。それは真実。

転職は、趣味でもないし、特技でもない。

それなのになぜか何度もチャレンジする羽目になっている。
終身雇用システムで勤めている人を尊敬しつつ、
うらやましいとも思いつつ、きっと無理だなぁとも思いつつ。
そもそも企業に雇用されるというライフスタイルが
自分の身の丈にあっていないのかもしれない。
月日が経って居心地がよくなりすぎるのが怖くて、逃げ出したくなるし。
いつも　I don't belong here.　と思いながら、生きている。

それにしても世間はやさしい。知らぬ間に真綿で首をしめてくる。

「長期的なキャリアを形成するには年齢的に…」とか、
「コンサルタントの力不足で採用にいたりませんで…」
なんて言葉をスルスル出してくる。

「貴殿のますますのご活躍を祈念いたします」
って、一体全体、何社分の念を送られて背負っているんだよ、あたしゃ。

やわな真綿言葉ではなくて
「雇いません」とか「雇えません」とバッサリ言われたら、
怒りの感情が沸いて、それが次に進むエネルギーになるのに、
ちょっとちょっと真綿さんは残酷だなとも思う。

真綿でグルグル巻きになって、いろんな念を一心に受けた身で、
毎日、ぼんやりと求人サイトを眺めては、ぱたんとPCを閉じる。

好きだった映画のDVDをメルカリで眺めているのと同じ体温で。

同じようなどよんとした頭の重さと視線の動き。
メガネはかけない。
タイピングはしない。
マウスでどよーんとスクロール。
自分の輪郭が溶かされそうになったら、
健康維持のために転職活動を切り上げる。
明日もどろーんとするために。

そうこうしているうちに、あっという間に二か月が経過した。
転職活動８回目でもやはり苦手なものは苦手だ。

「会社に不利益をもたらすことはしません。」

むしろ

「雇って得したぜと必ずや思わせてみます。」

って、どういう言葉に置き換えたら、
初対面の人に伝わるのかまったくもってわからない。

強みは、
たいしてこだわりなくなんでも器用にそつなくこなすことです。
ゆっくり話してくだされば、
口述筆記くらいのスピードでタイピングできます。

弱みは、
合理的に納得がいかない方法論がめちゃくちゃ苦手なことです。

あ、そうだ、弱みを思い出した！！

直近の企業では、社員食堂を利用「しなかった」部署メンバーの人数を
システム入力する日次業務があった。

2秒くらいで終わるその作業。
誰でも何も考えずにできる作業なのだけど、
何のための作業か不明で、毎日、その画面を立ち上げるのが苦痛だった。
2年くらいたったある日、死ぬほどその作業が心底嫌になってしまって、
忘れたふりして何日か入力をしなかった。

弱み
「意味が理解できないと、
　たいしたことない作業でも大変な苦痛に感じることがあります」

拷問である。
昔、ある国で政治犯にスコップを持たせて
砂山を右から左に移して、
またそれを左から右へ移すの繰り返しをさせていたそうだ。

★

平和な解決方法を模索してみる。

デフォルトを、
「全員食べている」にシステムを変更するのは大変なのか？

システムの担当者に聞いてみた。

できなくはないですけど。
ほかの仕事で手いっぱいで回らないんです。

ふむ。
それなら、あたしも他の仕事で手いっぱいで、
食べなかった人はゼロです入力の２秒作業に手が回らないんです。
と言い返したかったが、大人なのでやめた。

これまでの非合理的な方法を踏襲するのは仕方ないと言う一方で、
「効率」とか「生産性」とか言われて、
産休の代替要員が配置されない業務をカバーしろと指揮命令されるのは
もう理解不能であった。
給料は増えない。業務が増える。
こぼれた分はやりきれない。当然各方面に迷惑がかかる。
毎日、謝罪ばかりしていて、モチベーションだだ下がり。
やりがい搾取だなーつらいなぁ。

誰か説明してやってください。
ロボJには悪気は全くないんです。
理解できない作業は、指令を出しても動いてくれないんです。
はい、ロボJなんで。正しく理解するよう指令出してください。
動かしたいなら理解できるようにプログラミングしてやってください。

ここまで感情に突き動かされて書いたが、
ロジカルな文章展開は向いていないことに改めて気づかされる。

そうか。だから何度システム担当や人事担当に伝えても、
取り合ってくれなかったんだ。
毎日のように夕方に私の内線は鳴っていた。

「今日も入力されていません」
「出社したら一番初めに入力するようにしたらどうですか」
ていねいなご提案をありがとう。
残念ながら、問題解決にはつながりません。

すみません、ロボJ不具合が発生しています。

ロボJのレジスタンスに気付いて、不具合を直さなきゃ、
内線が内戦に発展するぞと勝手に思っていたけど、
1500人規模の会社で私だけが歯向かっていたようで、
他には誰も疑問視しなかった。

がーん（哀）

ロボJは不具合を抱えたまま、
よどんだ雰囲気に窒息しそうだった。

あー、世間体を大切にしているカルチャーでは
パフォーマンスが落ちるんだな、みじめなロボJ。
そりゃ生き延びるために４年に一度の行事が必要なわけだ。
そうそう、深い息継ぎを４年に一度。

唐突だが、友だちを作るのは楽しい。

好きな音楽と映画、そして今読んでいる本の題名を聞いたら、
友だちになれる。
あとはビールで一緒に乾杯したら
いっちょう友だちできあがり。

そういう風に軽やかに転職ができたら、
なんていい世の中になるだろうなとつくづく思う。

５年以上いた会社、好きな本と映画の話をちょっとしたら怒られた。
ひー！私語厳禁だって！！！

ロボJの転職活動は、まだまだ続きます。

近日中に何社目かの役員面接を控えているので、
子どもたちがお腹を空かせているので念じていてください。
心よりお願い申し上げます。

。。。役員面接までいって採用されないって
そーとーそーとーだわよ。
各社からの「念」をずしんと背負いながら、対策を練らなきゃね。
では、まずは美容院へ行ってきます！
数時間、いい気持ちになれるもんね！

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