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言葉とイメージの狭間で

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ヨーロッパ文化史に関する話題を中心的に扱いながら、人間がいかに考え、行動するのか?を、言葉とイメージという2大思考ツールの狭間で考える日々の思考実験場
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2019年7月の記事一覧

動物としてのバランス

物事の行いやすさというのは、体系化された手法の中にあるのではなく、もともとの身体の感覚がもつ性質に忠実かどうかだと思っている。 手法から入るのではなく……いまから10年以上前に「デザイン思考」の本を書いたときも、デザイン思考を手法として利用する以前に、自身の感覚を研ぎ澄ませて、感覚に従った判断ができるようになっていないと、オブザベーションも、KJ法を使った発想もできないと思って書いた。 すこし前に「理解力と転換力」という記事で、手法だけでは足りず教養が必要だと書いたのも、手

質量をもった大切なピースたち

気持ちよく過ごすためにはそのための行動がいる。うまくやるためにはそうなるようにしないといけない。 自分から、そういう風に仕掛けないのにうまくいくことを望むのは、なかなか図々しい。良くない結果を望まないなら、自分で考え、ちゃんと仕掛けていく必要がある。 楽しく楽してやれるように考えることが大事だと思う。 まわりも自分も楽しみながら必要以上の苦労なく過ごし、目指すべきところに向かうためには、どうしたらいいかを考え、実行する。 そうしてはじめて、物事はうまくいく。 自業自得人

想像する力と想像を捨てる力

想像力が大事だ。 他人のことを想像する力、自分の言ったこと/書いたことがちゃんと相手に伝わるかを検討してみる力、自分が行うこと/行なおうとしていることが外にどんな影響をもたらすかを想像する力、自分の仕事がどういう結果につながるかを想像する力。 ようは自分の言動に責任をもつために、想像力は欠かせないということだ。 だから、「自分勝手ではない」というのは、こうした想像力を常に働かせているか?ということに他ならない。だけど、自分勝手じゃないと言いつつ、こうした想像がほとんどでき

答えを見つけることを楽しむ

答えが見つからない時、つらそうな表情をしてしまう人がいる。そして、あきらめてしまって愚痴をこぼしはじめる。 そもそもの仕事をする上でのスタンスが違うんだろうなと思う。 プロフェッショナルの仕事というのは、基本的にクライアントが自分たちでは解けない難問を責任をもって解くことだろう。 で、プロフェッショナルとして仕事を続けていきたいならその「難問を解く」という責務を楽しめるようでないと、仕事が単につらいものになってしまう。いつも新しい仕事がはじまる度に、ああ、いやだななんて感じ

理解力と転換力

問題を適切に理解し、課題解決策へと転換する。 よりシンプルに言えば、問いと解の両方をつくりだすことだ。 状況を適切に理解するたとえば、関係者へのヒアリングや事前調査の資料の閲覧を通じて、あるクライアントの現市場環境における問題を洗い出し、適切に取り組むべき課題を設定し、力のある解決策を見つけだす。「力のある」とは、その解決策によって社会的環境に大きな変化を及ぼし、クライアントにとっても利点があるようなものだ。 また、たとえば、クライアント自身が具体的な問題を把握していない

変化と知識

昨日紹介した『流れといのち 万物の進化を支配するコンストラクタル法則』の番外編。 著者のエイドリアン・ベジャンによる知能と知識に関する、こんな区別についても紹介しておきたい。 もし物理学現象としての知識と知能を区別するとすれば、知能は知識を所有したり、創造したり、伝えたりする人間の能力ということになる。 まず「物理学現象としての知識と知能」っていうのがいいよね。知識や知恵まで物理学の現象として捉えようとする徹底した姿勢。 で、物理学現象としての知能がそんな風に知識

持続可能な社会のためのシステム的思考

いまの時代、物事をシステムとして捉え、思考する力が何より必要だと、強く感じる。 いま読んでいるエイドリアン・ベジャンの『流れといのち 万物の進化を支配するコンストラクタル法則』は、そのタイトルにあるとおり、世の中のさまざまなことを「流れ」に着目する。「流れ」という観点で考えることで、生物に限らず、あらゆる進化が世の中の流れや動きをより良くするためのデザイン変更であることを提示する。 力の生成と消費と動きは、進化の統一的見解を提示する。この見解によって、動物のデザインと

普通にできることのレベルを上げる

フォロワー数が30000人を超えた。 10000人を超えるまで8ヶ月、次の20000人までは6ヶ月だったが、今回は5ケ月で30000人に到達。ペースが上がってるのは、noteそのもののユーザーが増えているからなのだろう。 とても万人向けとは言えない内容のこのnoteに、その3倍の3万人のフォロワーがいるのはいつも不思議に思いつつも、現にそれだけの方が気にしてくれているのだと思うと、何ともありがたい気持ちになる。 とはいえ、フォロワー数が30000人を超えたとて、僕の書く

大人の学び

いま読んでるエイドリアン・ベジャンの『流れといのち 万物の進化を支配するコンストラクタル法則』は、いろいろ示唆的だ。 例えば、税収を増やすには、所得と資本に対する税率を下げるといいという話かある。「なるほど」と思った。 アメリカの経済学者アーサー・ラッファーは、所得と資本に対する税を減らすことを提案し、それが税収の増加につながると主張した。彼は正しかった。彼が提唱した変化は経済全体の流れを解放し、経済が成長したからだ。現在の結果、効率と生産性と経済活動が増加した。

共創の技術

いっしょに創るための技術が足りない。 これだけ「共創」だとか「協創」なんてことが言われていながら、まだまだ世の中では、どうやったらうまく効果的に異なる文化や専門領域をもった他の人たちと仕事ができるかという観点での技術は、残念ながら未熟な段階にあるなと感じる。 個人においても、組織においても、共創技術が未熟それは個々人の考え方や仕事をする上でのスキルという面でも、共創のスタイルで仕事をするためのものに書き換えられていないし、それを学習、教育するための仕組みもまだまだ整備が圧

時間のなかに生きる

僕らは空間のなかに生きているのではない。 僕らは時間のなかに生きているのだと思う。 変わらぬ空間を前提にするよりも、変化そのものである時間のなかで生きている、そのことを前提に考えてみる。行動してみる。 自分たちが変化からどんな影響を受け、逆に自分たちの活動によってどんな変化を生み出しているかを考えることが自然にできるようになるといい。 生成であり、変化である時間物質の性質や、種としての生物の特徴も常に変化するようなものではない。 けれど、個々の物質の状態はむしろ一定ではな