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言葉とイメージの狭間で

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ヨーロッパ文化史に関する話題を中心的に扱いながら、人間がいかに考え、行動するのか?を、言葉とイメージという2大思考ツールの狭間で考える日々の思考実験場
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2020年10月の記事一覧

お金を増やすことと気候変動の問題

表象と現実。 あるいは、言い方を変えれば、人間が扱いやすくするために用いる記号的なものと、記号によって示される元の現実にある物や出来事。 たとえば、デザインが可能なのは、画面や紙の上でつくろうとしているものを図示したり、場合によっては物理的なプロトタイピングでも実物とは異なる素材やつくりかたで試作したりすることで思考できるからだ。 そうした図示やプロトタイピングによる代理的な記号操作を経ずに、直接、実物=最終製品をいきなりつくるのだとしたら、それはデザインという工程なしの

脱成長コミュニズム

まだ読み途中だけど、これは絶対読んだほうがいい。 そう、声を大にして言いたいくらい、持続可能な社会を問う上で素晴らしく、かつ独自性のある提案をしているのご、斎藤幸平さんの『人新世の「資本論」』だ。 ひとことで、その特徴を言うなら、斎藤さんはこの本で持続可能性の実現のためには、資本主義を停止させ、脱成長の経済へと移行する必要があると言っていることだ。 『資本論』以降のマルクスその思考の根底をなすのが、『資本論』以降の著書に結実していないマルクスの思考だ。 晩年のマルクス