三毛猫ミーのクリスマス 第1話 幽霊の正体!見~た~ニャア~


新企画“三毛猫ミーのクリスマスのご案内

当ブログのメイン記事「マーケティング編」に続き、新しい企画が始まりました。

しかも、ビジネス記事ではなく、小説ネコを主人公にした小説です。

では、どうぞ、お楽しみ下さい。

(ここから物語が始まります。読み終わるまで5分くらいかかります)


 



クリスマス・イヴの前夜らしからぬ、お化《ば》けでも出そうな、生《なま》あたたい風が吹く夜でした。

 静まり返った漆黒《しっこく》の森に、色とりどりの光《ひかり》の玉が浮《う》かびました。

 その光景を眺《なが》めていた酔っ払いの女が、千鳥足《ちどりあし》を停《と》めて言いました。

「飲みすぎたから、夜風に当たりたくて、散歩に出てきたけど……」
「うん?」
「もしかして、かなり飲んだ?」

 観光客らしく、真冬にもかかわらず、小洒落《こじゃれ》た軽装《けいそう》の若い女子たちでした。

「えー?そんな飲んでないよお」
「そう?だって、火の玉が見えるんだもん。ほら」

 彼女が指差した先で、光は、飛び、跳《は》ね、這《は》い、一時《いっとき》も休むことなく、せわしげに動いていました。

「あれ、火の玉じゃなくて、人魂《ひとだま》じゃない?尾を引いてないもん」
「もしかして、幽霊?」

 たじろいだ足元のそばで、フギャーッと、赤ん坊の泣き叫ぶような甲高《かんだか》い声が聞こえました。

「げっ!赤ちゃんがいる」
 ウギャーッ
「まさか!こんな真夜中の森に?」

 またしても、ウギャーッと、赤子らしき声。
「出たあ!」
 フギャーッ
「キャアアア!」

 一旦パニックが起きてしまえば、もう、どうにも止まりません。女たちは、悲鳴をあげつつ、千鳥足で、ふらふら逃げて行きました。

 その後を追うように、泣き声も、遠ざかって行きました。赤ちゃんらしき泣き声は、猫の鳴き声でした。

 猫同士が喧嘩《けんか》する時、
「コテンパンに、やっつけちゃうぞ!」
「やれるもんなら、やってみやがれ!」
 と威嚇《いかく》し合います。

 その鳴き声は、人間の赤ん坊そっくりで、都会では、事件かと勘違いした人が、警察へ通報することさえあります。

 人間と、猫が去り、静寂《せいじゃく》を取り戻した森で、光は、やがて動きをとめました。

 光の正体は、三毛猫《みけねこ》が担いでいる白い袋から漏《も》れ輝《かがや》いていた発光体《はっこうたい》でした。

 発光体は、三毛猫が担いできた、クリスマス・プレゼントでした。

 三毛猫は、もってきたクリスマス・プレゼントが、あまりにも多かったので、小分《こわ》けにして、岩の中、木の枝の上、草むらに隠《かく》す作業を繰り返していました。

 その動きが、酔客《すいきゃく》には、人魂《ひとだま》に見えたようです。

 三毛猫は、プレゼントを隠し終えると、寝心地《ねごごち》が良さそうな枯《か》れ草を見つけて、丸くなりました。

白、茶、黒の三毛《みけ》ですから、枯れ草の中に紛《まぎ》れてしまうと、保護色《ほごしょく》になって、見分けつきません。

 夜行性《やこうせい》と思われている猫ですが、人に飼われていた猫は、人間と同じように、夜になると眠り、朝になると目覚め、昼間に活動します。

 やがて、三毛猫は、眠そうに瞼《まぶた》を閉じました。

 あさってのクリスマス、この島が、人間との生死を賭けた、決戦の場になるとも知らず。

【2話へ続く】https://note.com/tanaka4040/n/n64a85b505aca

【4話まで】舞台となる島や、登場キャストの紹介です。

【5話より】ストーリーが動き出します。

【16話~23話】戦闘シーンが苦手でしたら読まないほうが無難です、24話へお進みください。

 これから登場するキャスト
【猫】
 三毛猫のミー(主人公)
 黒猫のクー
 ブチ猫のブー
 ぼやき猫のモンクー
 もの知り猫のリュー
 ロシアンブルーのシャドー
 ボス猫のハロー
 カシラのジロチョー
 白猫のジョー
 アイパッチ猫のダンペー
 アメリカンショートヘアのショー
 伝令のハンゾー
【人間】
 ローコー
 ローバー
 スケサー
 カクサー
 ドクトル・ゲー先生
 武器を持った三人組
【幽霊】
 サンタクロース
 トナカイのルドルフ



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