営業学[14-1]

経営者の職責と役割


経営者の職責と、社員の職責は異なります。

経営者の職責は、ヒト・モノ・カネを動かして、経営を維持すること。

わかりやすくいえば、銀行から一億円なり借りてきて、月末の支払いに充てることです。

一億円という資金を動かすのも、人事を差配するのも、労働環境を整えるのも、経営者の仕事。

それへ、社員が、建設的な意見を提案するのは結構なことですが、異を唱えるのは越権行為。

特に地方は、地域密着型が殆どですから、中小企業の77%が、現状維持経営で、

100人中77人の経営者は、会社を成長させるよりも、維持するほうが優先だと考えていますから、
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/PDF/06Hakusyo_part3_chap1_web.pdf#search='%E4%BC%81%E6%A5%AD+%E7%B6%AD%E6%8C%8170%EF%BC%85+%E7%99%BA%E5%B1%9530%EF%BC%85'

会社を発展させる意見や、成長させる献策は、建設的な意見であっても、経営者から嫌われる可能性が高く、

それを知らずに、

「社長!会社を伸ばすには、こうしましょう!」

と奮って旗を振れば、成長志向の17%の経営者には喜ばれますが、維持志向の77%の経営者からは、かえって煙たがられます。

経営者にとって大事なのは、会社を成長させることよりも、潰さないことですからね。毎年一万社(十万事業者)も倒産していますので。


「そんなことを言っていたら、会社は伸びないだろう」

という反論もあるでしょう。

その通りです。77%の中小企業は伸びません。もちろん、伸ばしたいのは山々でしょうけれども。

伸ばしたいけど、伸ばせないジレンマ。

新しい人材が欲しいけれども、現在の雇用を確保しなければならない責任。

成長よりも、会社の維持を優先させなければならない苦悩。

そうした悩みや、やるせなさを、特に地方の経営者は、抱えています。

その苦しみを、社員の皆さんが理解してあげられるかどうかは、個々の価値観です。


それでも尚、ヒト・モノ・カネに異を唱えるのなら、経営陣に入って取締役会に参加することです。

具体的には、今月の支払いや、来月の運転資金が足りなくなった時、銀行から一億円を借りて、会社へ融通することです。

それができなければ、転職することです。

転職する自由が、社員には、あります。

経営者には、ありませんケドね(経営者が転職するときは、会社が倒産するか、経営を譲る時。または、株主から三行半を突きつけられる時)

独立するのも良いでしょう。いきなりヒト・モノ・カネの苦労に直面しますが。

(直面しました筆者。フリーの頃なら大したことありませんでしたが、会社を設立したとたんブチ当たりました)

どれも無理なら、ことさらに異を唱えなくても、

「自分が経営者だったら、どうするか?ドコから一億円を引っ張ってくるか?」

「どういう人材を、どうやって採用するか?給料ナンボ払うか?」

「どういう商品を作るか?どうやって売るか?」

等々、在職中に、密かにシュミレーションしておくと、いずれは、独立できる経営者の意識へ変わっていくはず。

以上のように、経営者には経営者の役割があります。

では、社員の役割とは?

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