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リハビリテーションの誤解について考える


以前、【実はリハビリテーションは誤解されている!?】というnoteで、一般の人にリハビリテーションという言葉自体が誤解されがちである、という話を書きました.

このことについて、もう少し詳しく触れてみたいと思います.


まず、以前も言ったようにリハビリというのは、

こんな感じで、平行棒の中を歩く、というイメージが強いと思います.


そこで、前回は

・病気や障害を負った場合でも,その人がやりたいことができるようになる

・どんな人でも同じように生活できるようになる

ために行うものがリハビリテーションであって、

・機能訓練だけがリハビリじゃない

・失った機能を取り戻すだけがリハビリじゃない

というようなことを書かせて頂きました.もちろん、機能訓練も失った機能を取り戻すこともリハビリテーションにとって重要なものです.

ただし、機能の改善だけがリハビリテーションの目的であってはならない、ということもまた重要なことなのです.


実はこういうことを作業療法士(僕は作業療法士です)が言うと、作業療法士は機能をみることが苦手だからすぐこういうことを言い出すんだ、なんて言われたりもします.

特に理学療法士や、作業療法士の中でも機能をみることが重きを置いている人にこういうことを言われがちかなと思います.


ですので、作業療法を引き合いに出さずに、理学療法士の方が関わる機会が多いスポーツリハビリテーションを例に出して説明していきたいと思います.

スポーツリハビリテーションについて想像してみて下さい.

なんとなく筋力トレーニングだったり、ストレッチだったり、動作やフォームの改善、などが思い浮かぶと思います.

そうすると、やっぱり目指すべき所は以前と同じような機能を取り戻すことなんじゃないか!って思うかもしれないですよね.


でもよーく考えてみて下さい.

怪我をしたスポーツ選手が目指しているのはどこでしょう?

目指しているのは本当に機能の向上でしょうか???


わかりやすいように野球のピッチャーで例えてみましょう.

ピッチャーが怪我をしてから、リハビリをするとします.

そうするとリハビリの目的は、

・以前のような筋力を取り戻すことでしょうか?

・それとも以前と同じような身体の柔軟性でしょうか?

・はたまた以前と同様のフォームで投げられることでしょうか?

きっと、スポーツをしている人であれば、あれ?ちょっと違うぞ?と思うのではないでしょうか.


怪我のピッチャーが目指すのは、以前と同じような筋力や柔軟性だったり、以前と同じようなフォーム、ではなく、

リハビリを終えた後に【どんな球を投げられるようになるのか】

つまり

【野球のパフォーマンスがどの程度まで向上するのか】ということや

【同じような怪我をしないためにどうしたらいいのか】

という所が目標となってくるんじゃないでしょうか.


極端に言ってしまえば、

筋力や柔軟性が怪我をする前同様の状態に戻ったり、怪我をする前と同じフォームで投げられるようになったとしても、良い球が投げられるようにならなかったり、良い球が投げられてもすぐに怪我をしてしまう、ような状態であれば、リハビリを受けた本人は納得しないんじゃないかと思います.


つまり、機能中心のリハビリが重要視されそうなスポーツリハビリテーションにおいても、

・そのスポーツが再開できるのか

・そのスポーツを競技者として再開できるのか

・その競技のパフォーマンスがどの程度まで改善するのか

・どうやったら同じような怪我をせずにパフォーマンスを発揮できるのか

などといった所が目標になってくるのではないでしょうか.

つまり、機能の改善は目標ではなく、あくまでも競技を以前と同じ様にまたやりたいということが目標になってくると思います.プロスポーツ選手であれば、以前と同様のパフォーマンスを発揮して、仕事としてのスポーツを再開する、というところになってくると思います.


機能が重視されそうなスポーツリハビリテーションにおいても、機能を改善するということはリハビリテーションの手段であって目標・目的ではないことが多いのです.


ただ単に、スポーツリハビリテーションではその人のリハビリテーションの対象となるやりたいことが「スポーツ」だった

と言ってもいいと思います.

リハビリテーション全体の概念から考えると、スポーツリハビリテーションでは、その方の【生活】において解決するべき課題が「スポーツ」になっている、と考えられるということです.

そうすると、機能を改善することだけがリハビリテーションではないということが伝わるかなと思います.


このようにリハビリテーションでは、その対象者にとって【生活の中で重きを置いているもの】に焦点を向けることが多いです.

ですので、足の筋力がついたかどうか、何メートル歩けるようになったか、というような【機能】よりも家でトイレまで歩けるようになったかどうか、といったところが重要とされます.


どうでしょうか?

リハビリテーション=機能訓練ではない!

ということが伝わったでしょうか?


もちろんリハビリテーションの一環として機能訓練を行うことはありますが、それはあくまでその方の生活にとって解決するべき課題、目指すべき目標のために行っているものであって、ただ低下した機能を改善することだけを目指しているわけではないということです(しつこいようですが).

この中で、理学療法士と作業療法士(と言語聴覚士)がそれぞれの専門性に特化した部分の支援を行っていくということになります.


ですので、リハビリテーションに関わる方は実際に一般の方がイメージするものよりも実は複雑なことを考えていて、そのために医学的なこと以外のことも学んでいたりします.

なんか難しいそうこと言ってんなと思う方もいるかもしれません(そもそも僕は文章が分かりづらいほうですし頭も固いので 笑)が、その分やりがいもある仕事です!


実際にどんなことをするのか、だったり、理学療法士と作業療法士の違い、などについても、更新していきたいと思っています.


とりあえず、リハビリテーションは機能訓練だけじゃない!ということが分かってもらえれば、このnoteは成功です.


御拝読ありがとうございました.

ありがとうございます! 少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです.