平行棒

実はリハビリテーションは誤解されている!?

前回、作業療法という言葉がわかりづらいことで、作業療法士という職業は誤解されやすいということをお話ししました.

僕も実際に病院に勤務していた頃,看護師さんや医師などの他の医療職の方から「作業療法って何なのか結局よくわからない」などと言われたことがあります...

そうなんです.
【作業療法】って,実は同じ医療職からも何をするかわからないと思われてしまうことがあるんです.

医療職でさえわからないのに,医療職以外の方に内容が伝わるということ自体が難しいことだと思います(もちろん作業療法士について理解してくれている医療職の人もたくさんいます).


僕も作業療法が正しく世間に伝わってほしいと思ってこんなものを書いていますが,作業療法をわかってもらうためには,まずはその大元である【リハビリテーション】がどういうものかをわかってもらわないとなかなか難しいかもしれません.

なぜリハビリテーションかというと作業療法士はリハビリテーション専門職として位置づけられていて,リハビリテーションを行う専門職の1つが作業療法士だからです.


ですが、そもそもリハビリテーションという言葉自体が誤解されています.ぼくも養成校に入るまでは当然誤解していました.

そこで今回は,【リハビリテーション】についてお話ししたいと思います.


リハビリテーション(以下リハビリとします)と聞かれて1番に思いつくのは,上のイラストのように棒の間を歩いている場面ではないでしょうか.

これは歩行訓練,つまり歩く練習をしている所です(画像はフリー画像を使わせてもらってます).

たぶん多くの方は「怪我や障害などで歩けなくなった人を歩けるようにするために行うもの」だと認識していることが多いと思います.


これは

・病気や障害になったものを元通りに治すこと や

・病気や障害で低下した機能を訓練して,前のように出来るようにすること

をリハビリだと思っている人が多いということだと思います.これがリハビリじゃないとか言いたいわけではありません.これももちろんリハビリに含まれますし,元通りに戻すことが出来ればそれが最良だと思います.

ただ,考えなければならないのは,病気や怪我・障害などを負った場合,元通りには戻らない場合もあるということです.

もし元通りには戻らない状態になり、それで出来なくなったことがあったとします.どんなに機能訓練(足の力をつけたり、歩く練習をするなど)をしても元通りにならないとしたらそこでリハビリは終わってしまうのでしょうか.
例えば仮に歩けなくなった人がいたとしても,車椅子や義足などそれを補う方法はあると思います.

大事なのは,今まで通りには出来なくなった事があった時に,どうやってそれを生活の中でカバーするか,困ることが少ないような生活ややりたいことが続けられる生活を送るための方法を見つけることだと思います.それにはいろんなことが考えられるはずです.

例えば

・他の機能で使って出来るようにする
・違うやり方で出来るようにする
・道具を使う
・周りの環境を変える
・周りの人の助けを借りる

などがあるのではないでしょうか.

実は【リハビリテーション】という言葉には,「病気や障害になり低下した機能を訓練して元の状態に戻す」だけではなくて,上に挙げたような支援なども全て含まれるのです.


【病気や障害を負った場合でも,その人がやりたいことができる】

ということが大事なことで,そのための支援は全て【リハビリテーション】になるのです.

他にも生まれつき能力が他人と異なる場合や徐々に機能が低下する病気などもリハビリの対象に含まれます(病気や障害で何かを失った人だけが対象ではないということです).

大きく話を広げると

【どんな人でも同じように生活できるようになる】

ことがリハビリです!


難しい言葉では全人的復権と言ったりもします.


長くなってしまいましたが,今回言いたかったのは

・機能訓練だけがリハビリじゃない!

・その人が生活で困らないようにすることは全部リハビリなんだ!

ということです.


【リハビリテーション】の本当の意味が少しでも多くの方に伝わればいいなと思います.

この次から【作業療法】の話をしていきますので,引き続きよろしくお願いします.

ありがとうございます! 少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです.