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日本一になるための妄想力ってなんだ?

妄想日記2022.1.10

帝京大学ラグビー部のみなさん、大学選手権優勝おめでとう。
後輩たちが4シーズンぶりに大学選手権優勝に返り咲いてくれた。


初回優勝からいきなり怒涛の9連覇。そこから3年間V逸した後の王者復活劇であった。

優勝できなかったとはいえ、3年の間にベスト4に2回なっているものの、世間からは低迷と言われるほどの今やラグビー王国である。

122年の日本大学ラグビーの歴史で優勝経験校は10校。そのうち2連覇は3校、3連覇は同志社大学1校のみ。9連覇がどれだけありえない前代未聞の記録であることか。毎年主力が卒業していく大学ラグビーにおいて、まさに岩出監督の指導力が際立っている。


岩出監督の凄さは、教育者として人材のポテンシャルの見極めと人間力を鍛える哲学、組織開発力、そしてイノベーターとして指導法に科学を導入した事である。そして妄想力が際立っていたと言える。


当たり前や常識を疑い、覆していくトライアル。こうだったらいいのに、を実際にやってみる勇気が素晴らしい。たとえば、数十年前でもスポーツに科学を導入する。大学スポーツに学内医学部の研究を重ね、より効率的かつ安全なトレーニングを個々にあてていく、といったフィジカルの理想形の実践。


また、大学最上級生が掃除洗濯、下級生がのびのびと大学生活に慣れるための環境をつくることは、いまでは有名になったが、それ以外にも多くの、近い将来ひとりの社会人として活かせる思考のトレーニングなどもラグビーに取り入れられている。帝京大学が強いのは、この試合中にも監督コーチの指示なしに自らを修正していける思考とそれを実現するスキルにある。


岩出監督は学生たちにダブルゴールを設定するよう指導されていたという。人生の成功、大学ラグビーの成功というダブルである。それこそが勝つことよりもまず重要だということである。大学時代が人生で一番輝いていたってのはよくない、という妄想から生まれた理論だ。誰も考えなかった概念をご自身の信念で未来設計し、それを構造化されたことこそが、監督の妄想力の凄さなのだと思う。。


もうひとつ。部員への妄想力の落とし込みが秀逸だと思う。主将に「君の行き着きたいゴールは京王線の高尾山か?新宿か?どちらに行きたいのか?(帝京大学ラグビー部グランドが京王聖蹟桜ヶ丘)」という目の前の日常に落とし込むという、知覚への置き換えが秀逸だ。


そして過去、歴代のチームを目指すのではなく。前年のチームを超えて独自の新たなチームをメンバー同士で1年間話し合いながら信頼関係を構築し、あるべきチームを作り上げていく。この様な繊細な活動の先に、あの細木主将の涙があり、あらゆる重圧と戦った結果である。平成生まれの細木主将が「人生と命をかけて決勝に臨む」と言うほど決勝に賭けていたのである。これは論理と情熱の双方が組織づくりには重要である証明だと考える。


この様なマネジメントの科学を構造化してスポーツ界とビジネス界に応用していくことができれば、あらゆる領域で日本一が生み出せるのではないか。私はついまた妄想してしまう。


世界一の山の名前は誰でも知っているが、二位の山の名前は誰も知らない。


全ては妄想力からだと考える。


たなかやすひと...

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