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台湾ひとり研究室:映像編「23/12/22〜劇場公開の台湾映画『赤い糸 輪廻のひみつ』を応援したい理由。」

台湾映画『赤い糸 輪廻のひみつ』(原題:月老)が今週22日、金曜日から各地で公開になります。

台湾で2021年11月に公開されて約2年。台湾での興行収入は約2億6000万元(約11億7000万円)というメガヒット作品です。日本では3日間だけ公開されたそうですが、このたび正式に、今月22日からシネマート新宿、心斎橋を皮切りに、宮城、長野、京都、神戸などでも劇場公開がスタートします。

✔️作家でもある監督の小説を映画化
✔️実力派ぞろいの俳優陣
✔️FIRST TAKEも認めた主題歌

……と聞くと、いたってフツーの映画のように見えてしまいそうですが、実は今回の日本配給、台湾映画社の葉山友美さんと、台湾映画同好会の小島烈子さんという、個人ユニットのおふたりが手がけておられるんです。「社」とか「会」ってついていますが、個人による活動名なのだそう(驚)。

制作元との権利交渉から、買い付け、字幕制作、パンフ制作、宣伝活動まで、おふたりはゼロからスタート。途中、クラファンも立ち上げ、台湾映画の普及に尽力されている様子は、葉山さんが出演されたこちらのPodcastで赤裸々に話しています。いやあ、ご苦労が伝わってきます。

まるでドキュメンタリー制作のような舞台裏ですが、「なんとかして台湾映画を日本に届けたい」という熱意が、とてもきめ細やかな活動につながっていることにとても感銘を受けました。

すでに終了してしまったクラファンでは、結果、222人から合計162万1500円という金額が寄せられました。クラファンのリターンとして用意された内容はとてもユニークで、さまざまな楽しみ方をしてほしい、という思いにあふれたものばかり。もっと早く紹介できればよかったのですが、個人的にそれが悔やまれます。申し訳ない。

ところで、今回の映画もですが、過去に日本で刊行された台湾関連の書籍も、日本で受け入れられるまでにかなり地道な努力を重ねられているものばかりです。実際、今、翻訳作業を続けている《大港的女兒》も日本の版元さんが買ってくださったことで、私は翻訳が進められるわけですが、そこに至るまでにはこの映画配給同様の苦労が重ねられています。台湾作品を日本に届ける、それは決して楽な道ではありません。本作配給のおふたりも、くじけそうになったことは一度や二度ではなかったはず。

Podcastの中で葉山さんは多様な作品のある台湾映画の中でも本作を「本来は、私個人が配給するような規模の作品ではない」としながらも、「こんなに安心してお勧めできる作品は初めてです」とおっしゃっていました。そんな大好きな作品をなんとかして届けたい、というおふたりの思いが、どうかいろんな人に伝わってほしいと思います。

ちなみに不肖タナカ、光栄にもこのパンフレットへの寄稿を仰せつかり、2ページで監督の小説から作品の文化的背景まで解説しました。

劇場へ足を運べるようになった今こそ、ひとりでも多くの皆様に、本作ご覧いただきたく。そして、おふたりの熱い思いのこもった台湾映画をご堪能くださいましたら。劇場情報は下記公式サイトでチェックしてください!

勝手口から見た台湾の姿を、さまざまにお届けすべく活動しています。2023〜24年にかけては日本で刊行予定の翻訳作業が中心ですが、24年には同書の関連イベントを開催したいと考えています。応援団、サポーターとしてご協力いただけたらうれしいです。2023.8.15